限定公開( 8 )

25年10月10日に公開された映画「見はらし世代」(団塚唯我監督)に製作上の問題が生じ、上映中止に追い込まれるトラブルが発生している。映画の公式Xが、3日までに文書を発表した。
それによると、「SNS上でご指摘をいただいております音声使用について、関係各所との協議を終えるまで上映を中止することに致しました。明日から上映予定だったMorc阿佐ケ谷とCINEMA NEKOでの上映も中止致します。急遽のご案内となり、上映を楽しみにしていたお客様、上映を予定していた劇場様にはご不便をお掛けしまして大変申し訳ございません」とした。
事の発端は、野宿者を中心とした団体「ねる会議」公式サイトで3月31日、同団体のXで1日に、音声使用に関する抗議文が発表されたことだった。「宮下公園の再開発、およびそれにともなう野宿者追い出しに抵抗する、私たちの音声が使われていることがわかりました。私たちはこの映画での音声の利用を許諾していません。音声の利用について、映画製作者からの連絡も受けていません。このような音声の利用について、映画の配給会社である株式会社シグロ、プロデューサーである山上賢治氏、監督である団塚唯我氏に対して抗議します」というものだった。
「見はらし世代」は、主演の黒崎煌代(23)演じる蓮が、井川遥(49)演じる母由美子を亡くしたことを契機にすっかり疎遠になった、遠藤憲一(64)演じるランドスケープデザイナーの父初と、大人になって胡蝶蘭の配送運転手として働く中、再会。そのことを話すも、我関せずといった様子で黙々と自分の結婚の準備を進める、木竜麻生(31)演じる姉恵美を交え、蓮が家族の距離を測り直そうとする物語。
同作は、25年5月に世界3大映画祭の1つ、第78回カンヌ映画祭(フランス)に併設して開催された監督週間に出品された。団塚唯我監督(28)は、協同組合日本映画製作者協会が主催・選出する第30回新藤兼人賞で金賞を受賞。主演の黒崎は、第99回キネマ旬報ベスト・テンで新人男優賞を受賞するなど、国内外で高く評価された。25年10月10日の公開から半年たっても各所で公開が続き、WOWOWなどで放送もされた。
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その中で浮上した、今回のトラブル。映画は、再開発が進む東京・渋谷を舞台に描かれ、映画の舞台あいさつも渋谷で行われた。一方、ねる会議は、宮下公園で寝ることをきっかけに、17年から、野宿者としての生活や人権を守るため渋谷・新宿などで野宿者を中心に活動している団体で、双方とも渋谷への思いは深い。ねる会議の抗議に対し、映画を製作した株式会社シグロは1日「製作者からのお知らせ」と題した文書を発表。「当社としましては、当該音声素材につきまして、提供元のメディアから正式に許諾を得た上で使用したという認識でおります」と主張。「その一方で、本件に関して関係者間で認識の相違が生じている可能性があるため、現在、事実関係および確認を進めております」とした。
その上で「なお、団塚唯我監督については映画製作に関わる許諾取得には関わっておらず、許諾を得たものという認識のもと、映画を完成させております」と団塚監督に責任はないと強調。「当社は、本件を真摯(しんし)に受け止めており、関係者との対話を通じて、誠実に対応してまいります」とした。
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