消防設備の点検業務を実演する加藤さん。現場では必ず、消火器の設置場所、本数、製造年月日などをチェックする老後不安を抱える中年が増加する現代、その解決策はガテン系にあり! 稼ぎながら体を鍛え、健康を維持して“現役寿命”を延ばすことが、豊かな老後生活に繫がるからだ。おまけに、ガテン系職の多くは「AIに駆逐される」リスクもナシ。中年から始めるべき肉体派の仕事を調査した。
◆作業着で働き始める人が増えている理由
ザブングル加藤さん(51歳)
副業・消防設備士
週2〜3回稼働で副業月収20万円
ガテン系の逆襲が進んでいる。米国では「ブルーカラー・ビリオネア」と呼ばれる富裕層まで登場。日本でもホワイトカラーを離れ、作業着で働き始める人が増えているのだ。エッセンシャルワーカー向けの転職支援サービス「レバジョブ」を昨年から開始したレバシーズの広報担当者が話す。
「今年3月に当社で実施した調査では、現在ブルーカラー職に従事されている人の約5人に1人はホワイトカラーからの転職者でした。特徴的だったのは、20代の『ブルーカラーを選んだ理由』の2位に“AIに代替されにくい安心感”が入ったこと。加えて、どの年代でも“収入がいい”が選んだ理由の上位に入っています」
その調査では、40〜50代の回答者のブルーカラーを選んだ理由のトップは「体を動かす仕事が好き」だとか。つまり、ガテン系は稼げて、健康的で、AIに負けないのだ!
「僕もカッチカチのふくらはぎをつくり上げました!」
こう話すのは芸人の傍ら、「消防設備士」という肉体派の仕事もこなすザブングル加藤さん(51歳)だ。
「きっかけは、ある番組で消防設備士の吉村拓也さんと共演したこと。コロナ禍で仕事が減って、僕の収入が4分の1ぐらいに減ってしまったときに、吉村さんのことを思い出して弟子入りしたんです。そこから数か月で消防設備士の資格を取得しました」
◆「ジム代わり」として実践
加藤さんはその副業を「ジム代わり」と表現する。
「ビルやマンションの消火器が決められた本数あるか、期限切れになっていないか、火災報知器がちゃんと稼働しているかといったことを点検するのが主な仕事。現場では階段を上り下りすることが多いので、メチャクチャ下半身が鍛えられる。消火器の使用期限は約10年なので、期限切れになっているマンションなどでは、新しい消火器をダンベルだと思って運んでます。あと、天井を見上げることが多いので、姿勢が良くなった」
早朝集合の仕事が多いため、「早寝早起きの習慣が身についた」とも話す。それでいて、「いい収入になる」という。
「日給2万円の仕事が多いのですが、なかには午前中で終わる現場もある。消防法ですべての建物で半年に一度の消防設備点検が義務づけられていて常に仕事はたくさんあるので、週2〜3回は現場に入って月20万円以上の副収入を得てます。建設業のマッチングサービスがあるので駆け出しでも仕事は見つかりますよ」
◆消防設備士はハードルが低め
おまけにハードルは低め。
「ぶっちゃけ、1か月勉強したら僕が取った消防設備士乙種という資格は誰でも取れる。僕は吉村さんが書いた本や中古の過去問題集で準備したので、ほとんどお金がかかってない。仕事をするうえでも紺色の作業着が一着あれば十分なので初期投資は数千円です」
計1万戸以上を点検してきた加藤さんは今、新たな資格取得にも精を出している。
「すでに電気工事士という資格の学科試験をパスして、これから実技試験を受ける予定なんです。そのあと、消防設備士甲種の資格を取ったら、火災報知器や誘導灯の工事ができるようになって収入UPが期待できる。70歳を超えても消防設備士の仕事をやっている人は多いので、これで僕の経済力はカッチカチやぞ!って……なればいいなと(笑)」
◆報酬は今後も上がり続ける!?
実は、こうしたブルーカラーの報酬は今後も上がり続ける可能性が高い。坂の上社労士事務所の前田力也氏が話す。
「厚生労働省の『賃金構造基本統計調査』の’24年職種別年収を見ると、大工やとび職の年収はほとんどの一般事務職を上回る水準に達しています。’20年比での賃金上昇率上位を見ると、タクシードライバーなどのブルーカラーが半数を占めている。
事実上、損保会社によって工賃単価が決定されていた自動車整備士の業界は、’24に公正取引委員会が整備士らの価格交渉を独禁法上問題ないと認め、政府が業界に価格転嫁を強く要請して、急激に年収UPが進みました。
人手不足の解消が見られない以上、こうしたAIに代替れにくいブルーカラーの賃金上昇が続くのは必至。健康と老後を考えても、中高年にはおすすめです。隙間バイトでまずは手軽に挑戦してみるといいでしょう」
ガテン系の逆襲は続く!
【坂の上社労士事務所 前田力也代表】
特定社会保険労務士。大手社労士法人、税理士法人を経て’13 年に独立。人事労務を中心にしたアドバイザリー業務などを行う
※2026年7月7・14日合併号より
取材・文/週刊SPA!編集部
―[中年からでも稼げる[ガテン系職]案内]―