身体能力の限界を競うTBSの番組「SASUKE」。2度目の出場を目指す53歳の京都市立小の校長がいる。初出場時は最初のステージで敗れたが、「挑戦する気持ちがあれば限界はない」と実感、グラウンドのうんていを難関エリアに見立てて指先だけでぶら下がるなど、年齢にあらがうように鍛える。「やればできる。そんなメッセージを子どもたちに伝えたい」と、黒く焼けた太い腕に誓う。
【写真】SASUKEのタックルエリアを意識しながら朝礼台を押す太田校長
花園小(右京区)校長の太田隆司さん。2018年に出場した。
SASUKEは、そり立った壁をよじのぼるなどして、複数あるステージの完全制覇を目指す。17年ごろ、当時4歳くらいの次男がはまった。一緒に見るうちに面白くなったという。
ラグビー選手としてならした。「趣味は筋トレ」でベンチプレスは現在も100キロを持ち上げる。だから、「いけそうな気がした」と、新林小(西京区)教頭だった18年に挑戦。腕立て伏せのテストでは70回ほど続けた。出場決定の連絡に次男は「え!行くの!」と目を丸くした。
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同年12月にSASUKEの聖地・緑山(神奈川県)へ。手足の力で両側のボードにとりつき、レールを下っていく難関ゾーンを突破。しかし、回転する複数の「骨」をよけながら、小さな足場を進むエリアで、冷たい水の中へ落とされた。
太田校長は45秒の挑戦をかみしめ、「夢は実現する」ことを胸に刻んだ。
以降の大会は書類選考を通らないが、諦めていない。学校では児童の見守りで積極的に階段を上り下りし、重い朝礼台を押して体力維持につなげる。
教員になったのは、高校生の時に見た映像がきっかけ。下半身が不自由になった人が水泳に挑み、優勝する内容だった。「スポーツが人生を変えることがある」。そんな喜びを届けたいと思った。50歳を過ぎて再び出場できれば、児童に何かを伝えられるかもしれない。「前回は出場シーンがカットされたので、次は放送されるよう爪痕を残したい」と笑う。今年も選考の結果を待つ。
(まいどなニュース/京都新聞・陰山 篤志)
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