<『おむすび』最終週>「ヒロインをお願いして本当に良かった」橋本環奈に感謝【宇佐川隆史統括インタビュー】

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2025年03月27日 10:40  クランクイン!

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連続テレビ小説『おむすび』より (C)NHK
 “ギャル”という異色テーマを朝ドラに取り入れ、平成から令和の現代を舞台に、懸命に生きる市井の人々を描いてきた連続テレビ小説『おむすび』。主演の橋本環奈をはじめとするキャスト陣、そして制作陣と共に物語を「今」へと結んだ宇佐川隆史統括に、改めて話を聞く。さまざまな反響をどう受け止めているのか。ゴールを目前に控えた現在の心境とは。また、『おむすび』がもたらしたサプライズ、昨年末のB’zの紅白歌合戦出演も振り返る。

【写真】さまざまな人をむすんできた結(橋本環奈)

■「朝ドラにはいろんな形があっていい」

Q:いよいよ最終回を迎えます。

宇佐川統括:新しいことにチャレンジしようとこれまでやってきました。最後も『おむすび』らしく、そこまで大きなことがあるわけではないかもしれませんが、何かが皆さまの心の中に残すことができたら幸いです。

Q:平成から令和まで一気に駆け抜けて、本当に盛りだくさんな内容とテーマでした。放送中にさまざまな意見と向き合われてきたと思いますが、ここまでの感想を改めて伺えますか?

宇佐川統括: そうですね、とにかく反響がいろんな意味で多かったと思います。批判のご意見も含めて向き合ってきたつもりですし、その上で楽しんでいただけた方々にも本当に感謝しています。朝ドラにはいろんな形があっていいと思っていて、今しかできない朝ドラを目指しました。

Q:ヒロインの米田結は、最終回の令和7年時点で36歳か37歳ですね。朝ドラのヒロインは年老いていくイメージがあるので、意外でした。

宇佐川統括: やはり「今」というテーマが大きいですね。最初から「今の私たちに戻ってくる」ことを考えていました。平成という身近な過去を通して、「こうやって私たちは生きてきたんだ」「大変なこともあったけど乗り越えてきたよね」と振り返りつつ、「だからこれからも大丈夫、大変だけど楽しく生きていこう」と伝えたかったんです。米田結や米田家はこれからも一緒に歩んでいくし、私たちのすぐそばにいる。そんな思いを込めて、「今」に戻ることが重要だと考えました。

■人助けが“呪い”である理由

Q:「米田家の呪い」は、永吉から聖人、結、花へと受け継がれています。人助けをあえて「呪い」と表現したのが印象的でした。この令和の時代にも、米田家の呪いは通用するのでしょうか?

宇佐川統括: そうですね、「人のために何ができるか」、そして「人は、人のためにこそ頑張れる」ということもテーマとして描きたかったんです。私たちが本来持っている美徳といいますか。利他主義という言葉もありますが、今の時代、他人を思いやる余裕がなくなるような環境や出来事が多くあります。そんな中で、泥臭くても「人のために何かをする」ことの大切さを伝えたかったんです。

ただ、一方で人助けは単なる美談ではありません。時には犠牲を伴い、相手にとっては余計なお世話になってしまうこともある。永吉さんが困っている人のために貸した聖人の学費は、結局戻ってきませんでした。聖人は結果的にいい人生を送っていますが、それによって身近な人を犠牲にしてしまったことも事実です。

それでも、「人を助けることに価値はあるのか?」「人を支えることは本当に大切なのか?」――そうした問いを、真剣に考えました。だからこそ、「米田家の呪い」という言葉を用いることで、その重みや責任を強調し、視聴者の皆さんに考えてもらうきっかけになればと思いました。

Q:「米田家の呪い」を発動した結の描かれ方が、ヒーローというより「普通の人」でした。それを橋本さんが自然に演じていたのが新鮮でした。

宇佐川統括: 橋本さんにヒロインをお願いして本当に良かったと思います。彼女は特異なキャラクターではなく、いわゆる“普通の人”を無理なく自然に演じる力がある。名もなき人々が、誰かの支えになりながら生きている。それを橋本さんならではの表現で伝えてくれました。感謝しかありません。

■橋本環奈は周りを輝かせる存在

Q:年末の紅白歌合戦の司会を務める橋本さんを見て、結にぴったりだと思いました。

宇佐川統括: 本当にそう思います。実は、私は紅白を見て「悔しくなって」オファーしたんですよ(笑)。彼女の芝居でこういうものを見たい、と思ったんです。紅白の司会の姿を見ても、結はスーパーな存在に見えるかもしれませんが、私が感じたのはその根底にあるもの。彼女は、いろんな人をつなぎながら、一歩ずつ確実に歩んでいく。その姿勢が、人として本当にすごいなと思いました。

Q:主人公でありながら、ポジティブな意味で引き立て役でもあるように感じました。

宇佐川統括: そうなんです。周りを輝かせる存在なんですよね。周囲のスターたちを引き立てながらも、橋本さん自身の存在感がしっかりある。それが結という役にぴったりだったし、橋本さんにとってもふさわしい物語を作ることができたと思っております。

■B‘zの主題歌「イルミネーション」と紅白

Q:紅白歌合戦でのB‘zさんのNHKホールサプライズ登場は興奮しました。

宇佐川統括: 家族キャストのサプライズ登場は私も関わっていたのですが、B’zさんの登場には私も驚きました。

Q:ご存知なかったんですね!

宇佐川統括: もちろん期待はしていましたが、情報統制の関係上、B‘zさんの紅白出演に関しては紅白スタッフが全て行っていて。そしてもしサプライズがあるとしても、それを聞くのは野暮なので(笑)。

Q:NHKホールも大興奮でした。どんな気持ちでご覧になっていましたか?

宇佐川統括: 主題歌をオファーする際にお手紙を書いたのですが、頑張って思いを伝えてよかったなと、しみじみ思いました。特にドラマの序盤では、“歌の力”をテーマに時代を表現しようとしていたので、B‘zさんがステージで全員を盛り立てている姿を見て、改めて“歌の力”という思いが響いてくるのを感じました。

Q:フルコーラスの「イルミネーション」を聞いて、『おむすび』を象徴する歌詞になっていると、改めて感じました。

宇佐川統括: 台本をB‘zさんにお渡しした上で、イルミネーションは誕生しました。B’zさんがいかにドラマのことを、そして聴く人々のことを考えて歌を作っているかが分かる、何よりの証拠ですね。やさしさに溢れた方々だと思います。イルミネーションは、「ギャルマインド」であり「結」であり「米田家」であり、メッセージ性が強く、ドラマにとても寄り添った楽曲でした。歌は人生と共にあり、人生を支える存在でもある。安室奈美恵さんや浜崎あゆみさんを通して描いたドラマと同じように、紅白のライブもまた、その時代の体現者が私たちに届けてくれたものだったと思います。これ以上、ドラマのテーマと合致した演出はないなと、紅白を見ていて感じました。いよいよ最終回を迎えますが、私も皆さんと一緒に見届けられたらうれしいです。

(取材・文:川辺想子)

 連続テレビ小説『おむすび』はNHK総合にて毎週月曜〜土曜8時ほか放送。

このニュースに関するつぶやき

  • 主題歌ダサい、主演女優ダサい、脚本ダサいの三重苦。心癒されそうなアンパンマンやなせたかし先生の話が早く始まって、この汚れたドラマ枠を浄化してくれ。
    • イイネ!2
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