ラット腎臓、胎児同士の移植成功=「異種」間の臨床研究促進へ―慈恵医大など

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2025年04月11日 14:01  時事通信社

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時事通信社

東京慈恵会医科大学と付属病院=東京都港区
 胎児間での臓器移植の実現を目指す東京慈恵会医科大などの研究グループが、ラット同士で腎臓移植に成功したと11日までに発表した。実験では組織が順調に成長し、尿も最長で移植後150日間作られたことを確認したという。

 研究グループの横尾隆・慈恵医大教授らは、腎不全で尿が十分に作れず、肺が未発達なまま生まれる「ポッター症候群」を患う人の胎児に、ブタの腎臓組織を一時的に移植する臨床研究を計画している。出産後、透析を受けられるようになるまでの「橋渡し」とするもので、2026年度の実施を目指す考えだ。今回はラットを用いて、組織が定着するかや発達段階での免疫反応などを調べた。

 移植したラット9匹のうち、8匹で血液から老廃物をこし取る「糸球体」や体に必要な成分を再吸収する「尿細管」などの組織が成長し、尿が作られていることを確認した。移植を受けたラットの血管が新しい腎臓に入り込んで糸球体を形成しており、免疫抑制剤を使用しなくても拒絶反応が起きなかったという。

 研究グループは、マウスからラットへの異種間での腎臓移植実験も実施。少量の免疫抑制剤を使用した上で、組織の成長を確認した。人の臓器と大きさや構造が近いブタについて、胎児間の腎臓移植の実験も進めているという。

 動物の臓器を人に移植する「異種移植」は国内では例がないものの、提供臓器が不足する現状への切り札として注目されている。研究に携わった慈恵医大の森本啓太医師は、「臨床応用を目指し、ブタの腎臓を人以外の霊長類の胎児に移植する実験を進めていきたい」と話している。 

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