
『アンパンマン』を生んだやなせたかしさんと、妻の暢さん夫婦をモデルとしたNHK連続テレビ小説『あんぱん』。第1話から阿部サダヲ演じるパン職人の屋村草吉が、焼きたてのパンを幼少期の嵩に食べさせる場面が放送された。
第2話では嵩の父・清(二宮和也)が回想で登場し、銀座の『美村屋』というパン屋の前で家族団らんのなか「嵩、おいしいかい?」とあんぱんを食べる嵩に微笑むシーンが話題を呼んだ。
あんぱんの元祖に直撃
SNSでは、
《前回の朝ドラでおむすび食べたいって1回も思わんかったけど、今はすでにあんぱん食べたいよね》
《『あんぱん』が始まってからパンがとても食べたい。きっと…私みたいな人たくさんいてパンの売り上げ上がるかも?》
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と、パンを食べたくなる人が続出。
あんぱんの元祖である老舗パン店の『銀座木村家』に、朝ドラ『あんぱん』の影響であんぱんの売り上げに変化はあったのか直撃した。
「あんぱんの売り上げは放送前から20%ほど増えました。海外のお客様が増えていて、日本人のお客様の数はそんなに増えた感じはしないですね」(『銀座木村家』広報担当者、以下同)
ドラマの美村屋は銀座木村家がモデルになっているかと思われるが、
「ありがたいですね。実際に当社がドラマの監修にも携わっています。東京の有明に工場があるのですが、阿部サダヲさんが工場にいらっしゃって、パンの作り方などを指導しました」
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地元でも『あんぱん』効果
銀座木村家のあんぱんの一番の売りはというと、
「やはり、あんぱんの発祥の店であるというところですね。あんぱんができたのは明治7年で、その時代からほとんど変わっていない味を楽しめます」
やなせさんの地元、高知県香美市でも“あんぱんブーム”なのか、香美市土佐山田町西本町にある『ベークショップヒジリ』に話を聞いた。
「あんぱんは朝ドラ放送前の2〜3倍は売れていますね。土日は県外のお客様が増えました。お客様の数でいうと、平日は30%〜40%増えて、土日は70%〜80%増えています。朝ドラは見ていますし、あんぱんがよく出てくるのはパン屋としてもうれしいです」(『ベークショップヒジリ』責任者)
アンパンマンの絵本や、やなせさんの著作を多数、発行している出版社の『フレーベル館』でも、
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「朝ドラが始まった週は、ネット書店でやなせ先生の本の売り上げが放送前の週から約140%に伸びました」(『フレーベル館』出版マーケティング部担当者、以下同)
出版社として、やなせ夫妻が朝ドラで描かれることについては、
「世にアンパンマンという作品が広まり、いろいろな形で喜びを与えてくれた先生なので、やなせ先生と奥様が脚光を浴びるのは、われわれとしても非常に喜ばしいことです」
数多の場所で“特需”をもたらしている朝ドラ『あんぱん』。その経済効果はこれからもっと広まりそうだ。