限定公開( 27 )
インターネット通販大手「アマゾンジャパン」(東京都)に賠償を命じた25日の東京地裁判決を受けて、アマゾンに出品した原告の企業側が記者会見し、「市場への影響力が大きい企業だからこそ、責任を果たしてほしい」と求めた。
「偽造品だ」。2021年8月、アマゾンのサイトを見ていた医療機器販売会社「エクセルプラン」(神戸市)の社長だった藤井敬博さん(56)は直感した。
エクセル社は神戸市の製造会社の「パルスオキシメーター」を独占販売していた。血中酸素飽和度が測定できる機器で、新型コロナウイルスに罹患(りかん)した人の体調確認のために使われていた。
エクセル社の正規品は2万5740円なのに対し、酷似した偽造品の価格はわずか2200円。偽造品を手にした消費者から「中国製の商品が届いた」というクレームが相次いだ。
出品を止めてもらおうと、アマゾンに連絡したが事態は変わらなかった。逆に、エクセル社の商品が出品停止となり、サイトから消えた。アマゾンからは理由の説明もなかった。
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約1億円あったアマゾン経由の売り上げは2カ月後には約61万円まで減少した。「めちゃくちゃや!」。泣き寝入りはできないと司法に救済を求めた。
25日の判決はアマゾンがきちんと調査しなかった点を「故意または少なくとも重過失がある」とし、プラットフォーマーに偽造品への対策を求めた。
藤井さんは記者会見で、「自分以外にも偽造品を削除してもらえずに、苦慮している出品者は多い。(偽造品が流通しなくなれば)消費者のためにもなる。企業として重く受け止め、変わってほしい」と訴えた。
代理人の染谷隆明弁護士は「出品者は消費者の多くが利用するプラットフォームを使わざるを得ない。適正な運用を求めた点は非常に評価できる」と語った。【安元久美子、巽賢司】
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