宙づり国会、衆院法制局が悲鳴=修正・議員立法が増加―多忙解消へAI活用案

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2025年05月05日 07:31  時事通信社

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 政府提出法案の修正作業などを補佐する衆院法制局が悲鳴を上げている。与党が先の衆院選で過半数を割り込み、与野党協議の黒子役として出番が急増しているためだ。夏の参院選を見据え、各党は独自の主張を強めており、議員の「知恵袋」でもある法制局には疲労の色がにじんでいる。

 政府提出法案の審査や政府の法令解釈を行う「内閣法制局」と異なり、衆院法制局は衆院議長の下に置かれ、衆院議員による法案作成や審議の補佐、法律問題の助言などを担う。定員88人のうち、これらに携わるのは約70人だ。

 与野党協議に立ち会い、修正案の作成を手助けするのも業務の一環だ。前半国会でヤマ場となったのは3月末に成立した2025年度予算を巡る与野党の攻防。自民、公明両党は年度内成立をかけて立憲民主、日本維新の会、国民民主各党との協議に臨み、法制局は「公正、中立」の立場で合意形成に向けたアドバイス役を果たした。

 予算は3月、維新が求めた高校授業料無償化、国民民主党が要求した「年収103万円の壁」見直しを反映させる形で衆院を通過した。当初予算の国会修正は29年ぶりだった。

 予算審議を終えても、法制局に息つく暇はない。「1強多弱」と言われたかつての国会は様変わりし、法制局が立案段階から関わる議員立法も増加傾向にある。

 今国会の焦点の一つである企業・団体献金見直しを巡っては、自民案、立民・維新案、公明・国民民主案の3案をほぼ同時期に作成。サイバー攻撃を未然に防ぐための「能動的サイバー防御」導入法案や刑事手続きをデジタル化する刑事訴訟法改正案の審議でも修正作業に追われた。

 野党関係者の一人は衆院法制局について「欠かせない存在だ」と指摘。ただ、法制局関係者は「超勤時間が増大している」「土日も出勤しないと仕事が回らない」と苦しい実情を漏らす。

 首が回らなくなりつつある法制局の事情を考慮し、与野党は4月下旬、作業を依頼する場合は十分な時間的余裕を設けることを申し合わせた。今後、人工知能(AI)の活用や定員の拡充も検討する方針だ。

 とはいえ、大型連休が明けると、今国会は会期末まで1カ月余り。与野党対立が先鋭化し、企業献金見直しと並ぶ焦点の一つである選択的夫婦別姓制度では各党から法制局に依頼が押し寄せる可能性もある。「宙づり議会」のしわ寄せを受ける法制局の多忙は当分解消されそうにない。 

このニュースに関するつぶやき

  • AI活用案? アホなIはボヤくだけで活用ようなんて無理よ。 宙づり国会に、居座り内閣。一番悲鳴があげているのは国民だよね。
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