手塚治虫の名作『リボンの騎士』、宝塚歌劇団で上演されない理由は「自家中毒になる」

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2025年05月14日 14:13  ORICON NEWS

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『手塚世界と私 〜W3ワンダースリーの出演者が語る〜』に出席した(左から)成河、彩吹真央、井上瑞稀、ウォーリー木下氏 撮影:岡千里
 手塚治虫さんの漫画を原作とした舞台『W3 ワンダースリー』が6月から東京と兵庫で上演される。これに先駆け、『手塚世界と私 〜W3ワンダースリーの出演者が語る〜』が12日、都内で行われ、手塚プロダクションの湯本裕幸氏が出席。宝塚歌劇団で『リボンの騎士』が上演されない理由を明かした。

【写真】手塚治虫さん原作『W3』の舞台化作品に出演する井上瑞稀ら

 本会は、手塚プロダクションの協力のもと、舞台『W3 ワンダースリー』上演へ向けてより作品への見識を高めるべく、手塚治虫の聖地、手塚プロダクション事務所ロビーの「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」のキャラクターが展示されている中で開催。ほかに、KEY TO LITの井上瑞稀、俳優の彩吹真央、成河、演出・上演台本のウォーリー木下氏が参加した。

 彩吹が宝塚歌劇団時代から手塚治虫作品と縁があるという話から、宝塚歌劇団での手塚作品舞台化についての話題に。彩吹の初舞台となった1994年の『ブラック・ジャック 危険な賭け』が、宝塚歌劇団での初の手塚作品舞台化。湯本氏は「手塚治虫は89年に亡くなっていますので、生前には手塚治虫の原作は宝塚歌劇団では上演されていません」と説明した。

 続けて「手塚が幼少の頃から手塚の母親が大好きだったので、小さいときから連れられて観ていましたし、歌劇団の雑誌かな、挿絵を描いたりという仕事もしていたので、本人も歌劇大好きで観ていました。なので本当は存命中に手塚の原作をやっていただけたらよかったかもしれないですけど」とさみしそうに話す。

 また、宝塚歌劇団にインスパイアされて誕生したという『リボンの騎士』が宝塚歌劇団で上演されない理由については、『ブラック・ジャック』上演の頃に当時の宝塚歌劇団理事長の植田紳爾氏が語っていたといい、「うちの関係者が聞いたんですけど、『リボンの騎士』は宝塚歌劇団でやると”自家中毒”になるからやらないんだ、と」と明かした。

 湯本氏はその話を聞いた当時を振り返り「よくわかんないんですけど、一瞬なるほどと。歌劇団の歴史を見て育った手塚が、さらに歌劇団の出し物からインスパイアされて作り上げた自分の漫画を、もう1回歌劇団の芝居にしちゃうと自家中毒になるっていう。『ああそうか』みたいな納得はしましたけど、よくわからない」と苦笑い。隣で聞いていた成河が「男装の麗人が、反転していくおもしろさがあると僕は思うけど、宝塚の人からするとそれは”自家中毒”っていうことですね」とフォローした。

 さらに『ブラック・ジャック』については「宝塚歌劇団では事件だったらしいですよ。主役の顔に傷をつけるっていうのは」とも明かした湯本氏。「だけど演じられて、その後東京公演をやっていただいて。そんな感じで歌劇とは、手塚は縁があります」と現在に続くつながりを振り返った。

 本作の原作『W3』は、1965年〜66年まで『週刊少年サンデー』に連載されたSF漫画で、誕生してから今年で60周年を迎える名作。原作者である手塚さんは「ただ一つ。これだけは断じて殺されても翻せない主義がある。それは戦争はご免だということだ。だから反戦テーマだけは描き続けたい」と語ったといわれている。

 そしてこの『W3』も、戦争、温暖化、食糧危機、地震やエネルギー不足など、人類が直面している自然と共存する上での多くの課題を抱えた地球の宇宙から観た姿を描き、宇宙からやってきたボッコ、ノッコ、プッコや、手塚漫画に欠くことのできないランプなど多彩な登場人物で構成され、反戦テーマをベースに描かれている。

 舞台では、日本の田舎にある小川村に住む少年・星真一役を井上、星兄弟の母でF6号役を彩吹、秘密諜報機関フェニックスの一員である真一の兄・光一の潜入先で待ち受けるエーグニ警備隊のランプ役を成河が演じる。

 本公演は、6月7日〜29日に東京・THEATER MILANO-Za、7月4日〜6日に兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールにて上演される。

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  • ヘアアイロン押し付けてヤケドさせるイジメ学校にはリボンの騎士はそぐわないからじゃないですかプゲラ
    • イイネ!14
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