裏金「いつ誰が」解明遠く=企業献金見直しも先送り−自民・旧安倍派

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2025年05月28日 07:31  時事通信社

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時事通信社

衆院予算委員会の参考人招致で答弁する自民党旧安倍派幹部だった下村博文元政調会長=27日午後、国会内
 自民党旧安倍派の裏金事件を巡り27日に行われた下村博文元政調会長に対する参考人質疑では、焦点の政治資金パーティー収入の還流再開や政治資金収支報告書への不記載を「いつ」「誰が」指示したかについて、真相は明らかにならなかった。与党はこれ以上の解明に後ろ向き。参院選が近づく中、企業・団体献金の見直しも先送りされる方向で、幕引きムードが強まっている。

 「認識のそごの問題だ」。衆院予算委員会に出席した下村氏が繰り返したのは、派の元会計責任者と意思疎通が不足していたという説明だ。

 販売ノルマ超過分の還流は2022年4月にいったん中止が決まったが、会長だった安倍晋三元首相の死去後の8月5日に開かれた幹部協議を経て再開された。その時の出席者は当時会長代理の下村氏ら4人。同席していた元会計責任者は今年2月の衆院予算委による聴取に対し、協議に先立ち「ある幹部」から再開の要望があったと証言し、協議で方向が決まったと指摘した。

 この点をただされた下村氏は、22年6月下旬に「還付を求める声を報告した」と認めつつ、「再開しろと言ったつもりはない」と力説した。今年4月に参院予算委に招致された世耕弘成前参院幹事長(現衆院議員)と同様、幹部協議は所属議員個人のパーティー券を派閥が買う代替案が「議論の中心」だったと説明。「私が決められる立場でもない。そう(受け)取ったなら不徳の致すところだ」と自身の関与をほぼ全面否定した。

 一方で、幹部協議に出席していた塩谷立元総務会長は元会計責任者の証言を「私の説明と一致する」と認めている。下村氏は派内の再開要望を念のため安倍氏に伝えたと話し、この件に積極的に関わった様子をうかがわせた。その点で、幹部協議後の経緯はあずかり知らぬとする主張には不自然さが残る。

 「派の会長ポストを経験し、存命なのは森喜朗元首相しかいない」。予算委では還流分の不記載が始まった時期に関し、国民民主党の石井智恵氏が森氏の証言が不可欠だと強調。下村氏も「誠実に対応することが必要だ」と応じてみせた。

 ただ、自民幹部は「もう新しい話はない。世間の関心も薄れている」と断言。森氏や塩谷氏の招致を唱える野党の声には応じず、今回で打ち止めとしたい考えを示す。

 立憲民主党の野田佳彦代表は27日の石破茂首相らとの会談で、今国会での企業・団体献金見直しを改めて要求した。だが、野党内の足並みの乱れもあり、秋に想定される臨時国会以降に持ち越される見通し。「政治とカネの問題は下火になる」。立民の中堅はこう漏らした。 

このニュースに関するつぶやき

  • ズル賢いのばかりだ。政治家は素直さが大事。コイツらただの傲慢な嘘つきだ。議員の器にあらずだ。
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