
今年はまだ台風が発生していません。先月5月は、台風の発生の促進にもつながるといわれているマッデン・ジュリアン振動(MJO)が弱く、確認されない時期もありました。南の海上では、6月に入ってから状況が変わり、雲が発達しだしています。近々台風が発生するかは、まだわかりませんが、熱帯由来の暖かく湿った空気が、本州付近に停滞する梅雨前線の活動を活発にする可能性があります。
台風シーズンに入るのか 熱帯由来の暖湿気が流入し前線の活動が活発に
今年は、まだ台風が発生していません。台風1号の発生が、6月以降になるのは、1951年の統計開始以来、6回しかありません。
比較的穏やかだった南の海上ですが、今日8日の雲の様子をみると、南シナ海からフィリピンの東に発達した雲がみられます。
6月の半ばを過ぎる頃にかけて、南シナ海からフィリピンの東で、雲が発達しやすいでしょう。この海域で、西風が渦を巻くなど、きっかけがあれば、台風が発生することがあるかもしれません。場合によっては、複数の台風が発生することもないとは限りません。
近々台風が発生するかは、まだわかりませんが、熱帯由来の暖かく湿った空気が、本州付近に停滞する梅雨前線の活動を活発にする可能性があります。関東甲信など本州でも梅雨入りが近くなっています。雨の降り方にいっそう注意、警戒が必要になることもありますので、側溝の掃除をして水はけをよくしておくなど、日頃から大雨への備えをしておくとよいでしょう。
台風1号の発生が遅れている今年の特徴は?
先月5月は、台風の発生の促進にもつながるといわれているマッデン・ジュリアン振動(MJO)が弱く、認識されない時期もありました。
マッデン・ジュリアン振動(MJO)は、熱帯域における顕著な気象現象の一つで、主にインド洋で水平方向に数千kmにもわたる巨大な積乱雲の塊として現れ、その雲の塊が、約5m/sという自転車並みの速さで、太平洋上に向かって数十日かけて移動する現象として観測されます。
これまで弱かったマッデン・ジュリアン振動(MJO)は、今月3日頃から、南シナ海からフィリピンの東付近で突然強まり、強い状態が続いています。現在、雲が発達している海域にあたります。
台風は、マッデン・ジュリアン振動(MJO)に関係なく発生することもありますが、今回は、南の海上が、比較的穏やかであった時期と、突然、雲が発達しだした時期に一致しているようです。
参照:国立研究開発法人海洋研究開発機構HP
https://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20211013/
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近々台風が発生しない場合は、台風シーズンはずっと先になる可能性
マッデン・ジュリアン振動(MJO)は、今後、中米付近へと東進し、次第に弱くなるでしょう。
もし、6月の半ばころまでに台風の発生がなければ、その後、南の海上は、再び穏やかになり、6月下旬に入っても、台風1号の発生がないということになるかもしれません。
台風シーズンの始まりが遅くても、接近数は8月から平年より多い予想
台風シーズンの始まりが遅くても、今年はシーズン終盤まで警戒が必要です。
日本気象協会独自の予報モデルでの解析によると、6月から7月までの本州、北海道、九州、四国への接近数は平年並みの予想ですが、台風シーズンである8月から10月は接近数が平年並みか多くなるでしょう。