新型ウイルス薬、8割に効果=悪性黒色腫治験で縮小・消失―東大と信大

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2025年08月01日 07:31  時事通信社

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時事通信社

 東京大と信州大は31日、難治性の皮膚がん「悪性黒色腫」に対する新型ウイルス療法薬の臨床試験(治験)で、がんが縮小または消失した患者の割合が77.8%に達したと発表した。標準治療の34.8%を大きく上回り、高い治療効果が確認された。研究チームは治験をさらに進め、製造販売承認の申請を目指す。

 この新薬は、2021年に脳腫瘍治療薬として国内で承認された「デリタクト注」(一般名テセルパツレブ)に、免疫を強く活性化させる「インターロイキン12」の遺伝子を組み込んだウイルス。がん細胞にだけ感染・増殖して破壊するほか、免疫反応を促すことで、離れた部位のがんにも効果が及ぶ可能性がある。

 治験は、手術が困難または転移を伴う悪性黒色腫患者18人を対象に実施。標準治療薬のがん免疫治療薬オプジーボと新薬を併用し、9人分のデータを中間的に解析したところ、7人でがんの縮小または消失を確認した。残る1人は目立った変化がなく、もう1人は途中で治験を中止したため、効果の判定ができなかった。

 副作用としては、発熱やリンパ球の一時的な減少が見られたが、いずれも軽度で重篤な有害事象は報告されていない。

 悪性黒色腫は転移しやすく、進行すると治療が難しいがんとして知られている。今回の結果は新たな治療選択肢の可能性を示すもので、研究チームの奥山隆平・信州大教授は「ウイルスに遺伝子を組み込むことで多様な作用を持たせることができる。多くのがんで役に立つ薬になると信じている」と話した。 

このニュースに関するつぶやき

  • なにそれ。もの凄い朗報ではないですか。さすがは信大。イヤなニュースばかりですが、こういった報道はとても良いですなあ。
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