
「緑を見ることは本当に目に良いの?」「暗い所での読書やスマホで視力が下がる?」
「目」についてきちんと理解することは、目の健康寿命を延ばすことにつながります。
近視にも老眼にも効果が期待できる、トレーニングもご紹介します!
【写真を見る】“暗い所でのスマホで目が悪くなる”は正しくない!?眼科医に聞く「目の健康」新常識【ひるおび】
“目の健康寿命”はどのくらい?ジョンソン・エンド・ジョンソンが2025年7月に発表した「目の健康寿命」に関する調査によると、男性の「目の健康寿命」は61.9歳で、平均寿命と約20年の差があります。
女性は62.2歳で、平均寿命より25年ほど短くなっています。
眼科専門医の平松類医師は、
『人生の4分の1を「見えにくい状態」で過ごすのは損。まずは目を理解することが健康寿命を延ばす第一歩』だと話します。
コメンテーター 朝日奈央:
昔から言われていますから、低下するんじゃないですか?「暗い中で見ちゃ駄目だよ」って、何度も注意されてきたことですよね。
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平松医師によると、この“常識”は厳密にいうと間違い。
正しくは、「近くで見るから視力が低下する」のだそうです。
二本松眼科病院副院長 平松類医師:
暗いから見えにくくなるわけではなくて、「距離」が大切です。
例えば「映画館で映画を見ると目が悪くなる」とは聞いたことがないと思うんですけど、あれは距離があるからです。
一方、暗いところでスマートフォンや本を見ると、距離が近くなってしまう。
近距離で長時間読書やスマホの操作を行うことで目が悪くなってしまうのです。
なぜ近くを見る時間が長いと目が悪くなってしまうのでしょうか?
通常、物を見るときは、目の奥の網膜に光があたります。
近くを見る時間が長いと、ピントの調節が鈍って目の奥にピントが合います。その状態が続くと人間の目がそれに合わせていき、眼球が奥側に伸びてしまうのです。
結果として、普通に見たときに中空にピントが合ってしまい、遠くがぼやけることになります。
平松医師によると、通常24mmほどの直径が、30mmになることも。
しかも、伸びてしまった眼球は元に戻ることはありません。
恵俊彰:
伸びているか伸びていないかは検査でわかるんですか?
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平松類医師:
はい。超音波の検査で、今は1ミリの1,000分の1単位で計測することができます。
恵俊彰:
何回ぐらいで伸びちゃうんでしょうか?
平松類医師:
続けることによって適応して伸びていくので、1〜2日や1週間ではなく、長期間でなります。
平松医師によると、この“常識”も間違い。
「緑に視力回復効果は期待できない」そうです。
「緑色」ではなく、先ほどと同じように、大切なのは「距離」。
実際に目にいいのは遠くを見ることです。習慣的に遠くを見ると近視が進行しづらくなります。
理想は6m、科学的には最低2m以上遠くを見るといいとされています。
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恵俊彰:
目が良くなるんですか?
平松類医師:
近視になりにくいということと、一時的な近視であれば、戻ったりリカバリーできる可能性があります。
次に、目の健康維持に役立つ実践的なトレーニングを教えてもらいます。
「脳」を鍛えて視力回復 「ガボール・アイ」そもそも、人はモノを見るときに、まず目で情報を拾い、それを脳で処理しています。
目で見たぼやけた画像を、脳が鮮明な画像に補正する。
すなわち「視力」は「目」と「脳」のチームプレーなので、視力の要である「脳」を鍛えることが大切なのです。
科学的に実証された視力回復法「ガボール・アイ」というものがあります。
不鮮明な模様の中から同じ柄を探し出し、画像を鮮明にする脳の処理能力を鍛えることで、視力回復と同様の効果が期待できるというものです。
米カンザス大学の研究では、被験者全員の視力が改善し、老眼では近見視力が平均0.3向上。カリフォルニア大学の研究では、大学生と高齢者の近視と老眼の改善が示されています。
平松医師によると、完全な視力回復にはならないが、より鮮明に見ることができ目が疲れにくくなる効果が期待できるといいます。
平松類医師:
ぼやけた画像を見ることで、それをどうにか処理しようとする脳の能力が改善するので、普段の見え方も良くなるという感じです。
ノーベル賞を受賞されたガボール博士が開発されたもので、実際に私の研究でも30人ぐらいやっていただき、大体7割の人が平均0.2程度改善しました。
ただ、私のようにすごく近視が強い人は改善できないというところはあります。
身近にある千円札を使って、ガボール・アイのようなトレーニングをすることができます。
【1】目から約30cm離して千円札を持つ
【2】上に向けて透かしをしっかり見る
【3】徐々に下におろして透かしがギリギリ見える位置で10秒間見続ける
※これを10回繰り返す
裏返したレシートや書類を透かして見るトレーニングも有効です。
100均の「老眼鏡」で出来るセルフケアやり方は簡単です。
100円ショップなどで販売されている「+2度」の老眼鏡をかけて、1m以上先(景色や目標物)を少なくとも1分間ぼんやりしたまま見るだけ。
近視の眼鏡やコンタクトレンズをしている人は、上からかけてOKです。
平松類医師:
雲霧法(うんむほう)と正確には言うんですけど、よく目の検査で気球の画像を見ているときに、1回ぼやける。あれはぼやけることによって、ピントの調節をリセットしているんです。
近視で「手元を見よう」とか「遠くを見よう」と頑張るのを1回リセットするので、目の筋肉の緊張をとってくれます。
睡眠前などのリラックスしているときに行うと良いそうです。
(ひるおび 2025年10月8日放送より)
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<プロフィール>
平松類医師
二本松眼科病院副院長
眼科専門医 著書累計100万部以上