
【写真】2人並べばもうそこは“特命係” 水谷豊&寺脇康文、撮りおろしショット
■25周年初回、まさかの展開には水谷豊も「破格」の驚き!
25周年となる記念すべき本シーズン。クランクインを迎えた心境を問われた水谷は「楽しみ」と破顔する。「初回は毎度我々にとっても『さてどんな話から始まるんだろう』という楽しみでもあるんです。さあ1回目はどんなことができるんだろうと」。
一方の寺脇は「25周年のうち、僕は約14年の空白がある。もう復帰して亀山薫も4年目に突入して……復帰した時は何かと皆さんちやほやしてくれましたが、もう今となっては当たり前のことになってきて(笑)。とはいえ、前シーズン終了からの数ヵ月間は右京さんにお会いできなかったので、今、毎日ご一緒できてうれしい限りです」と仲の良さをにじませる。
今シーズン第1話では、右京が人間国宝の講談師に弟子入りするという展開から物語がスタートする。これは水谷も意外だったようで「いつも初回は驚かされるんですが、今回はその中でも破格です」と振り返る。本編では実際に高座で講談を披露するシーンもあるが「もう自分が講談師になった気持ちでやるしかないなという思いで臨みました。大変というより楽しかったです」と振り返りつつ「先に出演シーンの終わった寺脇君が、客席に座って聞いてたんですよ!」と撮影時のエピソードを明かす。寺脇も「こんな機会ありませんからね!」とお茶目に笑った。
■理想の上司と部下。特命係に聞く“職場の人間関係の悩み”
水谷と寺脇といえば、“初代相棒”として長年タッグを組み、今回で通算11シーズン目を迎える。寺脇演じる薫が特命係を離れていた約14年の空白はすっかり埋まったのかという問いに、寺脇は「復活した初日から戻りました。最初のシーンを撮った時からブランクも全くなく。“右京と薫”というのは変わらずにいるから、あの時にすぐ戻る感覚があって。照れもなければ、凸と凹がピタッと合うような感覚が最初からありました」と振り返る。水谷も、「(薫との期間が空いたことは)全く意識しないでやっています。我々の関係が前と比べて親密になっているのかどうかは、見ている人のほうが分かるかもしれません」とした。
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特命係の“上司”を演じてきた水谷は「右京は警察官ですから、その正義として何が大切かというとまずは事件解決、犯人逮捕。そのためのあらゆる手段を使います。そういう意味では、右京は事件解決のために周りの人たちをとても大事にしますよね。最初のころに比べると、右京の中でも人を大切にするという気持ちが広がってきているのかもしれないですね」と、かつて何人もの部下が辞めていった右京の変化を分析する。
しかし、現実の職場では時に“正義”がぶつかることもある。「日本ではお互いに意見が違うと、もうその人と付き合えない、となってしまう。そうなりたくないから自分を殺す、ということも起きるでしょうからなかなか大変ですね。できればお互いに意見を言って、お互いに認め合う。きちんと話し合って認め合えたらいいですよね」と、しっかり相手と向き合うことの大切さを語った。
一方で“部下”を長年演じてきた寺脇は「僕の場合は、その同僚を嫌だなと思うのではなく、何か良いところを見つけようとする。そして無理にこうしてほしい、ああしてほしいと言うよりは、付き合いの距離感を考える。何か言われても聞いているふりして聞かなかったり……ちょっと聞き流しながら。考え方の違いは、絶対に交わらないところもあると思うので、いろんな人がいるなと思ってうまく距離を取ります」と回答。
特命係として一緒に働き始めたころ、よくぶつかっていた右京と薫については「ぶつかっていたけれど、根底にある正義が同じですから、多少の人間的な違いはそんなに大きな問題じゃない。大きな川の流れを一緒に渡っているから、泳ぎ方は違っても同じ方向に向かっている。あと、尊敬しているというのがありますね」と、右京と薫がまさに理想的な上司と部下でもあることを感じさせてくれた。
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通算で10ものシーズンを共にしてきた2人。水谷が今回、寺脇に何を期待するかを問うと「基本的に期待はしていないんだと思うんですよ」という回答が返ってきた。「むしろちょっと言い方を変えれば、それは信頼でもあると思います。期待するということは、期待を超えてもらわないとがっかりする。最初から期待をしなければ、もし何か素晴らしいことをやってくれた時、それはもうすごい喜びに繋がりますよね」。
シーズンを重ねるごとに信頼度も増す2人。2人が考える5年後、30周年を迎えた『相棒』とは。寺脇は「変わんないんじゃないかな!」と明るく答えてくれた。「右京と薫としている限りは年を取らないんです。僕は60代なのに(薫は)若造なんだよ!(笑) 右京さんという先輩がいて、若造の僕がいて。だからもう相棒でいる限りはずっと同じ。5年後もフライトジャケットを着て突っ走っていると思います!」とファンを安心させる。
一方で水谷は「右京も公務員ですから、定年退職があるんですよね……5年後に(右京が警察官を)やってるかどうか、ちょっと想像できないですね」と答える。「ドラマとしてはずっと変わらずいられるかもしれないけど、杉下右京はいつ定年退職になるんだろう、というほうが僕にとってはリアル感がありますね」という水谷に思わず、警察にも再雇用があるのでは? と投げかけると、「ありがとうございます、そこまで期待していただいて」と朗らかに笑った。
25年間演じ続けた『相棒』の世界について、「先が読めない面白さ」を魅力として挙げていた水谷。最後に、そんな水谷が“先が読めなくて面白い”と思うものを聞いた。「それはもう自分の人生でしょうね。この先何が起きるんだろう、何が待っているんだろう。自分がどこに向かっているんだろうというのはまだ分からないけど、確実になにかは起きていくでしょうから。そればちょっと楽しみだと思いますね」。今年もやっぱり“先が読めない魅力”たっぷりな『相棒』。水谷豊、寺脇康文の深い信頼感に、さらなる未来まで期待せざるを得ない。(取材・文:小島萌寧 写真:山田健史)
ドラマ『相棒 season24』は、テレビ朝日系にて毎週水曜21時放送。