山根捺星さんの遺骨が入った骨つぼを抱き締める母千弓さん=16日午後、宮城県南三陸町 東日本大震災で行方不明になっていた岩手県山田町の山根捺星さん=当時(6)=の遺骨の一部が16日、宮城県警南三陸署で遺族に引き渡された。母の千弓さん(49)は「14年たってやっと手元に戻ってきた喜びが半分と、こんな形で帰ってきたという寂しさも半分ある」と話した。
遺骨は下顎の一部で、宮城県南三陸町の建設会社の従業員が2023年2月に発見した。県警は今月9日、ミトコンドリアDNA型鑑定や歯のたんぱく質の解析結果などから、山根さんと特定したと発表していた。
遺族によると、山根さんは祖母と自宅にいたところを津波に襲われた。祖母は家族に救助されたが、山根さんの行方は分からないままだった。
この日午後、南三陸署長から骨つぼに入った遺骨を受け取ると、千弓さんは涙ぐみながらつぼを抱き締め、隣にいた父朋紀さん(52)はしばらくの間、天を見上げていた。
千弓さんは「また(息子を含めた)4人で生活できるという気持ちになっている」と話した。朋紀さんは山根さんの好物がケーキだったことに触れ、「早くケーキを食べさせてあげたい」と語った。

山根捺星さんの遺骨を受け取った後、取材に応じる(左から)父朋紀さん、母千弓さん=16日午後、宮城県南三陸町