森崎ウィン (C)ORICON NewS inc. ミャンマー出身の俳優・森崎ウィンが28日、NHK Eテレの番組『ハートネットTV』(毎週月〜水 午後8:00)に出演し、メディアで初めて、日本国籍取得を報告した。
【写真】やさしく目を合わせ笑い合う森崎ウィン、向井康二【インタビュー】 森崎は1990年にミャンマーで生まれ、政情不安から9歳で日本へ。公立小学校に入学し、いじめにあいながらも言葉や文化の壁を克服し、中学2年生のときに芸能界に足を踏み入れた。2018年にスティーブン・スピルバーグ監督の映画『レディ・プレイヤー1』に出演するなど世界で活躍するようになってからも、ミャンマー人としての誇りを大切にしてきた。
しかしミャンマー国籍で生活することへのハードルは高く、長く日本に住んでいても在留許可の定期的な更新が必要。日本人であればビザなし渡航できる国でも、何週間も前から手続きをしなければならない。『レディ・プレイヤー1』の少し前に興行ビザをとったが、音楽活動には制限があり、会場によってはライブができないということも。
2021年2月、ミャンマーで国軍によるクーデターが勃発。政情悪化によりミャンマーの国際的信用が失われ、海外への渡航が以前に増して難しくなってしまった。ミャンマーには祖母や両親も住んでいる。葛藤がありながらも、エンターテイナーとして祖国ミャンマーとして世界をつなぐ架け橋になりたいと願ってきた森崎の夢の実現には、ミャンマー国籍のままでは到達できないとして、日本国籍取得決意した。
聞き手の中村うさぎ氏が「日本国籍をとるっていうのは、ある種、ミャンマーを捨てるのかって…」と問いかけると、「絶対言う方もいるっていう覚悟はしています。これから勝負をかけていきたいというこの時間を、どう有効に使うか、自分の人生のためにどう生きるかっていう中で考えたときに、取れるのであれば、(日本の)国籍を取りたいというふうに決断をしました。本当に悩みましたね」と明かした。
ミャンマー国籍を手放すことになるが、「ただ、僕の心の中からミャンマーが消えたわけではないし、僕の血がミャンマー人というのは変わらないです」としながら、「でも、日本で培ったものはたくさんあるし、これから日本人として生きていく中で日本人として生きるための義務だったり、そこに対してのリスペクト、思い、たくさんあります。これは日本っていう国を背負うっていうことでもありますし、覚悟もあります」と背筋を正した。
日本国籍取得には、所属事務所に自分の活動経歴書や事務所の資料を用意してもらい、自身を保証し推薦してくれる人のサインをマネージャーが集めてくれたという。「全面協力があって、1年半くらいかかって」と告白。「申請の前にまず面接しなきゃいけなくて、法務局で。そこから審査。審査に至るまでに書類に不備がないかチェックがあって、それを経て審査があって…長い道のりがございます」と説明した。
日本国籍を取得し変化したことを問われると、「初めて言いますけど、この間の参議院選挙、行きました」と明かした森崎。「感動しました。選挙ってこんな感じなんだ!って」と声を弾ませ、「もちろん学校で学びましたけど、身近なものじゃないから。ニュースで流れますけど、僕が誰が政治家になってって決められる権利はないし、こう決まったんだ日本って受け入れることしかできなかった。いまは自分が選ぶ立場になったからちょっと勉強しなきゃと思って、勉強したりして」と晴れやかな笑顔を見せた。