コケの胞子、宇宙で長期生存=ISSの船外で実証―北大など

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2025年11月21日 07:31  時事通信社

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宇宙空間にさらされた後、地上で発芽したコケの胞子(北海道大のメンチャンヒョン博士研究員ら提供)
 北海道大などの研究チームは、コケの胞子を約9カ月間、宇宙空間にさらした後に回収したところ、8割以上が正常に発芽したと発表した。コケ類が、過酷な宇宙空間で一定期間生存可能なことを実証したのは初めて。将来、月や火星などで食料や酸素を供給する基盤構築に役立つ知見だという。論文は21日、米科学誌アイサイエンスに掲載された。

 北大の藤田知道教授らは、国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」の船外にある実験装置に、コケの一種ヒメツリガネゴケの胞子が詰まった胞子体を納め、2022年3月〜12月の約9カ月間、宇宙空間にさらした。

 その後回収し、地上で胞子の発芽率を調べたところ、宇宙空間で可視光と紫外線を遮蔽(しゃへい)した群、紫外線だけを遮蔽した群、地上で可視光と紫外線を遮蔽した対照群はいずれも95〜97%以上発芽。宇宙空間で紫外線を浴びた最も過酷な環境の群も86%が発芽するなど高い確率で生き延びた。

 コケ類は約5億年前、最初に地上に進出した植物の一つで、環境適応力が高く、必要な水や栄養分も少なくて済む。藤田教授は「生態系の第1ステップはコケによってつくられる」と指摘。将来の月や火星探査を視野に「コケは植物のパイオニア。有機物がない火星の土でも、最初の有機成分を作ってくれる」と話した。 

コケの胞子を宇宙空間にさらす実験装置。100円玉は大きさの比較用(北海道大・藤田知道教授提供)
コケの胞子を宇宙空間にさらす実験装置。100円玉は大きさの比較用(北海道大・藤田知道教授提供)


ヒメツリガネゴケの胞子体。中央の丸い部分に胞子が多数入っている(北海道大・藤田知道教授提供)
ヒメツリガネゴケの胞子体。中央の丸い部分に胞子が多数入っている(北海道大・藤田知道教授提供)

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