展示されるウクライナの攻撃ドローン「バンパイア」=2月7日、キーウ 日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、防衛省はドローン数千機を活用した沿岸防衛体制「シールド」の構築を目指している。運用には訓練環境や生産基盤など克服すべき課題も多く、自衛隊は世界的に進む「新しい戦い方」への対応を急ぐ。
シールドは敵艦艇の迎撃や情報収集、レーダーサイト防衛などを担う10種類以上のドローンを組み合わせ、侵攻を試みる敵を多層的に食い止める構想。同省は2026年度予算案に約1000億円を計上し、27年度中の実現を目指す。
ウクライナや中東などでの紛争で大量投入されたドローンは、「戦争の在り方を変えた」とされる。日本周辺でも近年、中国機とみられる機体が飛来し、自衛隊機が緊急発進(スクランブル)することも少なくない。ある幹部は「従来型の戦い方では置いていかれる」と危機感をあらわにする。
ただ、戦力化には課題も多い。機体との通信では「テレビや民間人のスマートフォンなどに影響を及ぼさないよう周波数帯を調整しなければならない」(陸上自衛隊幹部)。防衛省担当者は「訓練場所や方法は工夫が必要」と話す。
1月には陸自霧島演習場(宮崎、鹿児島両県)で偵察用の機体が訓練中に強風にあおられ、近隣の畑に墜落する事故が発生。陸自は昨年3月末時点で約1200機を保有しているが、シールドでの大量導入を見据え、さまざまな機種を操縦できる人材の養成も急務という。
有事に備え、国内の生産基盤整備も欠かせない。同省によると、ドローンは技術の進歩や有事の消耗が激しく、ウクライナでの生産数は24年に約230万機に上った。
小泉進次郎防衛相は省内の会議で「早期かつ大量に調達し、改修・改善できる基盤を作ることは、抑止力強化の観点からも重要」と強調。「企業側は日本での需要予測が立てづらい」(同省関係者)との事情もあり、同省は有事に戦闘を継続できる能力を確保するため、防衛産業や研究機関との連携を強化する方針だ。