HARAさんの一重メイクビフォーアフター(写真提供:HARAさん) K-POPアイドルの人気などを背景に「一重メイクもきれい」という認識が広がりつつある近年。ヘアメイクアーティスト・HARAさんは、一重を取り巻くメイクの価値観について「“絶対的な二重信仰”の揺らぎを感じる」と話しています。一重を活かしたメイク、一重を二重にするメイクの両方を発信する彼女に、過去のコンプレックスや印象を引き上げるメイクへの考え方について話を聞きました。
【写真】目は2倍、クールビューティ美女に…HARAさんの”別人級”メイクビフォーアフター■「可愛くなれない」と絶望した幼少期、1本のアイラインがメイクの道を志す転機に
――HARAさんご自身が一重にコンプレックスを抱いたのはいつ頃からでしたか。
【HARAさん】6歳の頃ですね。姉と母に「二重にしてみようよ」と言われてアイプチを試してみたのですが、誰も知識がない状態だったこともあり、長時間やっても全く二重にならなかったんです。そのときに「目小さっ」と笑われ、とても傷つきました。姉と母に悪気はなかったと思うのですが、「目が小さい=可愛くない」という感覚が自分の中にもあったので、「私はずっとこのままなんだ。可愛くなれない」と絶望したのを覚えています。
――学校生活でもかなりしんどい思いはされた?
【HARAさん】小学2年生の頃からメガネをかけていたので、それでなんとかやり過ごしていました。自分の中では、メガネをしていると、なんとなく目の大きさが誤魔化されているような感覚があって。どうしても外さなければいけない場面では、なるべく顔を見られないように下を向いていました。あとは、「目がちっちゃい!」といじられても、気にしないふりをして、お笑い担当みたいに明るく振る舞ってなんとか乗り切っていました。
――メイクとの出会いは?
【HARAさん】中学1年生のとき、友達にアイラインを引いてもらったことがきっかけです。鏡を見た瞬間、「すごい目が大きく見えるかも!」と衝撃を受け、一気にメイクの世界にのめり込んでいきました。当時は変身メイク動画が流行り始めた頃で、YouTubeを見ながら家でひとり練習していました。できることが増えるたびに、「私も意外と変われるのかも」と感じるようになり、次第に「自分と同じような悩みを持っている人を救えるようになりたい」という想いが芽生え、メイクさんを志すようになりました。
――メイクが上達すると、素顔への抵抗は強くなりませんでしたか?
【HARAさん】それが逆でした。「メイクってすごい」という感動の方が大きかったんです。これだけメイクで変われるなら、素顔で悩まなくてもいい世界が開けたというか、「自分が変われるなら、どんな人だって変われる」という確信もありました。
■「一重の状態でかわいくなりたい」と言われる時代、揺らぎ始めた“二重信仰”
――最近では韓国風一重メイクが流行っていたり、一重に対してプラスのイメージも広がっているように感じます。世間的に一重への評価は変わってきていると思いますか?
【HARAさん】段々と「一重もいいよね」という考えは広がっています。一重は、クールやカッコイイ、大人っぽいといった印象に向いている目の形ではあるので、そういったイメージをメイクでさらに印象付けることができます。一方で “可愛い印象”を目指すとなると、まだまだアイプチやつけまつげ等で二重にするメイクに寄りがちだと思います。
とはいえ、以前のような「二重であることが当たり前」のムードからは、少しずつ解放されてきていると感じます。それこそオンラインサロンを作ったときに、「一重の状態で可愛くなりたい」「アイプチや二重コスメもあるけど、現時点での自分を活かして、メイクで可愛くなりたい」という声が多く届いたんです。「一重でも方法次第で変われる」といった考え方や「一重でもカワイイ」といった趣向は、だんだんと広がってきているのかもしれません。
――昨今では整形も身近なものになってきていますが、それでもなおHARAさんがメイクにこだわるのは、なぜでしょうか?
【HARAさん】シンプルに、私がメイクさんだからというのも大きいのですが、かつての自分と同じような悩みを抱えている子に、メイクで自信をつけてほしいし、「自分も変われるんだ」と実感してほしいと思っています。「メイクの可能性に気づいてほしい」という想いで、メイクで変われるところを見せ続けています。
一方で、整形を否定する気持ちは全くありません。自分のことを好きになれるなら、どっちでもいいと思うんですよ。大切なのは、不自由な状態から脱して、自分に自信が持てること。メイクも整形も、選択肢のひとつだと思っています。
――同じ一重でも、メイクがうまくいく人とそうでない人がいるのはなぜなのでしょうか?
【HARAさん】世の中で紹介されている一重メイクって、実はまぶたが薄かったり、目の開きがいいタイプを前提にしているものが多いんです。私自身も「紹介されている通りにやっているのに、全然うまくいかない」と感じていました。同じ一重でも、目の形やまぶたの厚みで似合う方法は大きく変わるんですよね。そうした違いが共有されにくい環境では、「自分だけできない」と思ってしまう人も多い。そうした経験から、一重のタイプごとにメイクを考える必要性を強く感じるようになりました。
――その考え方は、現在の活動にもつながっているのでしょうか。
【HARAさん】そうですね。同じ悩みを持つ人が、自分に合う方法を見つけられる場所があったらいいなと思ったのが活動の出発点でした。「一重」とひとことで言っても本当に種類が多いので、自分と近いタイプの人の情報が分かるだけでも安心感が生まれるんです。実際に、メイクの相談をきっかけにユーザー同士で解決策を見つけていく場面も多くて。「同じ悩みの人がいる」と分かることで、諦めかけていたけど、もう一度コンプレックス克服にチャレンジするという方も多いです。
■一重にとって重要なのは“下まぶた”「アイメイク単体ではなく、顔全体のバランスで考えることが大切」
――一重メイクで、初心者がやりがちなNGはありますか?
【HARAさん】一番多いのは「上まぶたで勝負してしまうこと」です。世の中のメイク動画は二重向けの理論が多いので、アイシャドウを重ねて目を大きく見せようとしがちなんですが、一重の場合はそこが見せ場ではありません。
アイラインも同じで、二重と同じ感覚で引くと、真正面から見たときに線が折れて見えてしまうことがあります。まずは「二重と同じメイクをしない」という意識が大切だと思います。
――では、一重メイクで印象を引き上げるために、まず意識すべきポイントは何でしょうか?
【HARAさん】一重にとって重要なのは、上まぶたよりも「下まぶた」です。下まぶたに色を入れることで縦幅が生まれ、自然に目の印象を大きく見せることができます。一重さんは顔に余白感や平たさが出やすいんですが、下まぶたを活かすことでバランスが整いやすくなります。丸顔でも面長でも取り入れやすい方法ですね。
――まつ毛も重要なポイントになるのでしょうか。
【HARAさん】すごく重要です。ただ、長さや束感を強調するというより、「まつ毛が上がり続けている状態」を作ることが大事です。一重の方はまぶたの重みでカールが落ちやすいんですが、それはまつ毛の柔らかさが原因であることが多いんです。まぶたの重さに負けない“硬さ”を作ることで、正面から見たときの目の開きが変わります。
――つまり、目元だけを作り込めばいいわけではないんですね。
【HARAさん】そうですね。一重メイクはアイメイク単体ではなく、顔全体のバランスで考えることが大切です。目元だけを頑張りすぎると、逆に余白感が目立ってしまうこともあります。下まぶたやまつ毛を軸にしながら、全体の印象を整えていくイメージが理想だと思います。
――最後に、一重で悩んでいる方へメッセージをお願いします。
【HARAさん】一重の方にまず伝えたいのは、「自分でも変われる」ということを知ってほしい、ということです。自分に合ったやり方やアイテムに出会えれば、メイクで印象はいくらでも変えていけると思っています。
オンラインコミュニティも、ただ情報を受け取る場所ではなく、参加している皆さん自身が発信し、悩みを共有しながら一緒に答えを見つけていく場でありたいと考えています。今まで自分の一重を好きになれなかった方が、メイクで自分に自信をつけて、日々に希望を持って過ごせるようになってもらいたいと心から願っています。
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