サッポロラガー、売り上げ急拡大 人づてと口コミ、10年で3.5倍に 普遍的で信念あるビール目指す

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2026年06月02日 17:00  OVO [オーヴォ]

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サッポロラガー、売り上げ急拡大 人づてと口コミ、10年で3.5倍に 普遍的で信念あるビール目指す

 飲食店で、レトロな赤い星のラベルが貼られた大瓶を見かけたことがある人も多いだろう。ビール通から「赤星」の愛称で親しまれるこのビールが、いま猛烈な勢いで売れている。この10年で売り上げは3.5倍に急拡大。ビールの総需要が頭打ちと言われる現代において、この数字はビール業界では驚きを持って迎えられている。

 なぜ、明治生まれの「日本最古のビールブランド」が、令和のいま、これほどまでに人々をひきつけるのか。その背景には、サッポロビールが仕掛けた「物語戦略」があった。

▽希少性を前面に

 現在、日本のビールのほとんどは、製造工程で加熱殺菌を行わず、酵母を専用のフィルターでろ過した「生ビール(非熱処理)」だ。同社の「黒ラベル」や「ヱビス」も生ビールにあたる。

 一方、赤星こと「サッポロラガービール」は、あえて熱処理を施す昔ながらの製法を守り続けている。熱処理ならではの、厚みのあるしっかりとした味わいと、すっきりとした後味のバランスが特徴だ。

 かつては「こだわり店主の酒場に置いてある幻のビール」というポジションだった。しかし、サッポロビールは2016年から「お店でしか飲めない希少性」を独自の「資産(アセット)」として、あえて前面に押し出す戦略にかじを切った。

▽若者がSNSにアップ

 この戦略が思いがけない層に刺さった。デジタルネーティブである若い世代だ。 どこか懐かしく、昭和レトロな雰囲気を醸し出す「赤星」の絵柄が彼らの心をとらえた。SNSには、居酒屋のテーブルで赤星の瓶とグラスを並べた写真が次々とアップされるようになった。

 また、コロナ禍を経て、若者を中心に人々は「リアルなつながり」や「温かみのある酒場空間」の価値を再認識。「赤星が置いてある店は、おいしいお店」という一種の”聖地巡礼”のような現象も起き、若い世代が赤星を求めて赤提灯ののれんをくぐるようになったのだ。

 サッポロビールが掲げる「“情質価値”(心を満たし前に進む意欲)の創造」という方針は、まさにこの赤星の広がり方に体現されている。単にビールを飲むという行為だけではなく、「あの店で、あの仲間と楽しむ」という“体験”そのものが心をつかんだといえるだろう。

▽CMを打たないという戦略

 2016年からのこの10年で3.5倍という、ビール業界を驚かす成長を遂げた赤星。今や一過性のブームではなく、ひとつの「シーン」として定着した感がある。

 6月1日、サッポロビールマーケティング本部のブランドマネージャーである桑村美里氏が、この好調な売り上げ状況と今後の戦略について話してくれた。

 桑村氏は、赤星が支持される理由について「飲食店さまの店主さんの思いや、常連のお客さまからの人づて、口コミによって広がってきました」と感謝の言葉を表した。

 驚くべきことに、サッポロビールはテレビCMなどで赤星の大々的なコマーシャルを打っていない。これについて桑村氏は「メーカー側が一方的に広告をお伝えするのではなく、お客さまや飲食店さまに『余白』を持って語っていただきたいから」と説明。押し付けがましい宣伝を嫌う現代の若者に、自分たちの物語として受け入れられる「余白」があったことがヒットの真相だったのだ。

 同席した「いせや総本店」(東京都武蔵野市)の斉藤茂規主任は「小さいころに親に連れられてお店に来た子どもが、大人になって『今度は自分がビールを飲みに来ました』と通ってくれます」と、赤星をめぐるエピソードを語った。


▽ラガー「缶」も人気けん引

 取扱店舗数は2016年からの比較で約1.9倍、1店舗あたりでの売り上げ実績は約2.6倍に伸長しており(いずれも同社調べ)、「間口・奥行きの両面が拡大したことが異次元成長を支えている」(桑村氏)と分析する。

 飲食店での人気上昇を受け、同社が定期的に投入している「サッポロラガービール缶(限定発売)」も、売り上げを伸ばしている。

 本来なら「飲食店限定」の価値を薄めかねない缶展開だが、あえて「酒場の雰囲気を自宅でも味わう」との戦略を取った。これが功を奏し、コンビニやスーパーで完売が相次ぐ人気商品に定着。2024年の売り上げは前年比121%を記録し、2025年以降もさらにその勢いを加速させている。

▽「ラガービールは変えない」

 2026年の戦略目標として、桑村氏は「2025年比で113%の売り上げ、取扱店舗数は115%の拡大を目指す」と力強い。

 2020年から始めた、全国の飲食店とタッグを組んで赤星を盛り上げる「赤星☆縁日キャンペーン」については、2026年は30エリアで実施予定、2027年は40エリアに拡大し実施するという。

 効率性や利便性が求められる現代において「あえて手酌で瓶から注ぐ」「昔ながらの熱処理にこだわる」という、一見すると不便でクラシカルな要素を現代のスタイルに合わせたサッポロビール。

 今年10月の酒税改正について、桑村氏は「市場背景に合わせてサッポロラガービールを変えることはない」とし、「普遍的で信念のあるビールブランドを目指す」と言い切る。

 日本の酒場文化を未来へつなぐために、同社はどんな一手を次に繰り出すのか。ビールの楽しさを再発見させてくれる同社の挑戦から今後も目が離せない。


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このニュースに関するつぶやき

  • 樽生ビールが生ビールと勘違いしている人多い。値段ちがうからだろうけど ビン生、缶生ビールも中身は同じ。また記事にあるように生のほうが味が熱処理ビールより上とも言えない。
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