魚肉ソーセージは、なぜ「あの形」のままなのか 縮小市場で見えてきた、ロングセラー商品の戦い方

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2026年07月17日 07:51  ITmedia ビジネスオンライン

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Umiosの魚肉ソーセージ

 1972年ごろには業界全体で約18万トンあった魚肉ソーセージの生産量は、食の選択肢が増える中で長く縮小傾向が続き、2010年代には約5万トン台まで落ち込んだ。しかし近年は、健康志向や備蓄ニーズの高まりなどを背景に、生産量は再び持ち直しつつある(参照:Umios「フィッシュソーセージ/魚肉ソーセージの歴史」)。


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 市場が縮小すると、新たな顧客を求めて若年層向けの商品開発にかじを切る企業は少なくない。しかし、水産加工大手のUmios(旧:マルハニチロ)が最初に見直したのは、魚肉ソーセージをよく知る50〜70代の既存顧客だった。


 健康という新たな価値を加えながらも、味や形といった記憶は残す。そして、若年層には商品を変えるのではなく、「魚肉ソーセージを食べるきっかけ」を増やす――。世代ごとに異なるアプローチでブランドを育ててきた。


 ロングセラー商品は何を変え、何を変えないのか。縮小市場を生き抜く取り組みについて、担当者の上山光洋氏(加工食品ユニット チルド食品事業部 事業企画課 課長役)に話を聞いた。


●魚肉ソーセージはなぜ復調したのか


 魚肉ソーセージ市場が復調した背景には、コロナ禍や物価高を経て、商品の特徴が現在の消費者ニーズと重なったことがある。


 その一つが、常温で保存できる利便性だ。魚肉ソーセージはタチウオ、スケソウダラといった白身魚の冷凍すり身から作られる。中身を詰めてから、密封した包装フィルムごと高温高圧で加熱殺菌するため、保存料を使わずとも常温で長期間保存できる。


 上山氏は「コロナ禍以降の内食需要や備蓄ニーズ、健康志向の高まり、物価高の影響などを背景に、魚肉ソーセージの価値が改めて見直されつつあると感じています」と話す。朝食や弁当、子どものおやつ、酒のつまみなど用途は広いことに加え、魚由来のたんぱく質を手軽に取れる点や、災害時の備蓄として活用できる点も評価されている。


 さらに、畜肉ソーセージ(豚肉や牛肉を使用するソーセージ)と比較した際の割安感も追い風となった。KSP-POSデータ(2025年10月1日時点)によると、畜肉ソーセージの平均価格は320円なのに対し、魚肉ソーセージは207円と約110円安く、節約の観点から食事の選択肢に上がるようになった。


 レシピプラットフォーム「クラシル」が発表した「2025年の食トレンド分析」では、「魚肉ソーセージ」の検索伸長率が1.4倍になっており、消費者の関心の高まりがうかがえる。


 ロングセラーであるがゆえに、魚肉ソーセージはかつての「安くて懐かしい食品」というイメージが強かった。しかし現在は、健康や節約、備蓄、時短といった複数の文脈で改めて評価され始めている。


 もっとも、こうした再評価は自然発生したわけではない。市場環境の変化だけでなく、メーカー側も商品の価値を伝える取り組みを続けてきた。その一社であるUmiosは、主要顧客層を捉え直し、「健康」という切り口で消費者のニーズを獲得していった。


●まず見直したのは「かつての顧客」


 現在の魚肉ソーセージの市場では、50〜70代が主要な購買層となっている。男女差は特になく、女性が購入し、夫婦や家族で食べるようなシーンも想定されるという。


 上山氏は「市場が活況だった1970〜80年代に魚肉ソーセージをよく食べていた方々が、今の50〜70代です」と説明する。


 市場が縮小すると、新たな顧客を獲得するために若者向けの商品を出したり、SNSで話題化を狙ったり、パッケージを刷新したりといった施策を考えがちだ。しかし、Umiosが着目したのは、すでに魚肉ソーセージを知っている層だった。


 かつて食べていた人たちに、もう一度手に取ってもらうにはどうすればいいのか。その問いから見えてきたのが「健康」という切り口だった。


 年齢を重ねるにつれ、健康診断の数値や食事の塩分量を気にする人は増えていく。子どもの頃に食べていた魚肉ソーセージに、現在の健康課題を解決する価値を加えられないか。そこから生まれた商品の一つが、2005年に発売した特定保健用食品(トクホ)「DHA入り リサーラ ソーセージ」だ。


 同商品は、血液中の中性脂肪を低下させる機能が報告されている、魚油由来の成分「DHA(ドコサヘキサエン酸)」を1本当たり850ミリグラム配合した商品で、魚肉ソーセージとしては初めて特定保健用食品の許可を取得した(同社調べ)。魚肉ソーセージを「安価な常備食品」にとどめるのではなく、健康課題に応える食品として提案する。リサーラはその役割を担う商品として開発された。


 開発面で重視したのは、機能性だけではない。通常の魚肉ソーセージに近い味わいを保つことも意識した。リサーラには魚油由来のDHAを追加配合しているため、魚油特有の匂いが出やすい。そこで、味付けの配合を調整して匂いが気になりにくい味わいに仕上げた。また、DHAは酸化しやすい成分であることから、酸化による匂いの発生を抑える目的で、賞味期限も通常商品より短めに設定しているという。


 「健康訴求の商品でも、日常的においしく食べ続けられなければ定着しません。食べた時に飽きがこないような味わいにしています」と上山氏は説明する。


 もっとも、機能性を打ち出しただけですぐ売れたわけではない。認知を広げるため、テレビCMや店頭での販促物、売り場での展開などに取り組んだが、当初は苦戦したという。上山氏は「発売から一定の認知まで、3年程度はかかったという実感があります」と当時を振り返る。


 リサーラの購買層は魚肉ソーセージ全体の購買層の中でもやや年齢が高めで、健康意識の高い層が中心だ。健康診断のシーズンには売れ行きが伸びるほか、リピート率も高いという。機能性だけでなく、飽きのこない味わいを追求したことが、継続的な購入につながっている。


 近年は「リサーラシリーズ」として、心血管疾患のリスクに備える「DHA入りリサーラソーセージω(オメガ)」や、減塩タイプも展開。2025年には鉄分入りや、肌の健康維持をサポートする成分を加えた魚肉ソーセージも発売した。年齢や生活シーンで異なるニーズに応え、魚肉ソーセージを日々の健康課題に寄り添う食品へと広げようとしているのだ。


●なぜ魚肉ソーセージは「あの形」のままなのか


 健康価値や食べやすさといった新たな価値を加える一方で、Umiosが大きく変えていない部分がある。魚肉ソーセージの基本的な形状だ。


 現在も市場の主流は、オレンジ色のフィルムに包まれた棒状の商品を複数本束ねたタイプで、Umiosでも一番の売れ筋となっている。


 このオレンジ色のフィルムには歴史がある。上山氏によると、本格的な生産を開始した1950年代、魚肉ソーセージは直射日光が当たる店先で販売されることが多く、中身の劣化を防ぐために色付きのフィルムが採用されたという。現在は保存技術や売り場環境も変わっているが、オレンジ色の包装は魚肉ソーセージを想起させる要素として定着している。


 料理に使いやすいカット済みタイプや、子ども向けの小さなサイズなど、ニーズに合わせて形状そのものを変えるという選択肢も考えられるが、Umiosは基本的な形を維持してきた。上山氏に尋ねると、製造ラインやコストだけではない理由が返ってきた。


 「昔、子どもの頃に食べていた方たちにとって、魚肉ソーセージには『味や形の記憶』があります。見た目を大きく変えてしまうと、魚肉ソーセージのアイデンティティーが崩れてしまうのではと考えています」


 一方で、変えるべきところには手を加えてきた。その代表が「ケーシング」と呼ばれる包装フィルムの開けやすさだ。かつて魚肉ソーセージの両端は金具でとめられており、包丁や歯を使って開ける人も少なくなかった。「開けにくい」という声は以前から寄せられており、Umiosはこの不満を解消するため、開封性の改良を続けてきた。


 現在の主力商品では「1秒OPEN」を打ち出し、つまんで引っ張るだけで開けられる仕様にしている。ただし、開けやすさを追求しすぎれば、輸送中に包装が破損するリスクも高まる。開封性と耐久性のバランスを取りながら改良を続けてきたという。


 健康という付加価値を加え、開けやすさを改善する一方で、見た目や味はできるだけ変えない。魚肉ソーセージは変わっていないようで、変える部分と変えない部分を選んできた商品なのだ。


 こうした考え方は、商品の価値づくりにも表れている。魚肉ソーセージは日常的に購入される食品であるため、価格競争に陥りやすい。原材料費や物流費が上昇する中、安さだけを訴求し続けることには限界がある。


 そこでUmiosは、魚種や産地にこだわったシリーズや、災害時の備蓄を想定した長期保存タイプなども展開。魚肉ソーセージらしさは守りながら、健康や利便性、防災といった新たな価値を積み重ねることで、価格だけに依存しない商品の魅力を高めようとしている。


●新規層には「食べるきっかけ」をつくる


 既存顧客との接点を見直す一方で、Umiosは若年層へのアプローチも進めている。


 上山氏は「さまざまな年代の方にとって、魚肉ソーセージをフレンドリーな存在にしていきたいです」と話す。


 一方で、若い世代を取り巻く環境は、かつてとは大きく異なる。現在は畜肉ソーセージやスナック、プロテインバーなど、手軽にたんぱく質を摂取できる食品の選択肢が多い。そもそも魚肉ソーセージを食べたことがない人も少なくないという。


 「おいしさには自信があるので、一度食べてもらえたら続けてもらえると思います。魚肉ソーセージを過去のものではなく、今もおいしく食べられるものだと伝えていきたいです」


 そこで同社が重視しているのが「まず食べてもらうきっかけ」をつくることだ。商品の味や形を大きく若者向けに変えるのではなく、売り場での販促やキャンペーンを通じて親しみを持ってもらう取り組みを進めている。


 その一つが、クリエイターの牛人(うしひと)氏がデザインしたオリジナルキャラクター「魚肉ソーセージくん」の活用だ。カプセルトイとしても展開しており、出荷量は約10万個を記録したという。


 若年層向けの取り組みは始まったばかりで、明確な反応を得られているわけではないが、社内からは「変化の意思が感じられる」「目線が変わるので面白い」などの声があるという。上山氏も、自身の子どもに魚肉ソーセージを食べさせながら、「どのサイズなら食べ切れるのか」「どの味なら受け入れられるのか」を日々観察している。


 「魚肉ソーセージが最も売れていた頃に慣れ親しんでくださった世代が今も手に取ってくださっているように、若い世代の方たちも今の魚肉ソーセージの味や形状を記憶してもらえるよう、取り組んでいます」


 市場が縮小すると、新たな顧客を求めて商品そのものを大きく変えたくなる。しかし、Umiosが選んだのは、変えるべきところだけを変えるという戦略だった。健康という新たな価値を加えながら、味や形はできるだけ変えない。既存顧客には健康を入り口に再び接点をつくり、新しい世代にはまず「一度食べる」という体験を届ける。


 魚肉ソーセージを「懐かしい食品」で終わらせず、世代を超えて選ばれ続ける食品へ。その積み重ねが、縮小市場の中で魚肉ソーセージが再び存在感を高められた一因になっている。



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  • 怪奇現象なんだが、釣り餌に使おうと買っていくのだが、使うペースより早く無くなっていくんだよ、最悪1度も使わずに無くなる時がある…怖いなぁ…怖い怖い……
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