首相官邸に入る高市早苗首相=28日、東京・永田町 高市早苗首相の台湾有事を巡る発言以降、冷え込んだ日中関係に改善の兆しが見えない。招待を受けた超党派の議員団が中国共産党幹部と面会したが、具体的な成果は得られなかった。11月には中国でアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれる。首相は習近平国家主席との首脳会談に意欲を示すが、実現するかは不透明だ。
「中国と建設的かつ安定的な関係を構築していく方針は一貫している。APECを楽しみにしている」。首相は7月27日の記者会見で、習氏に秋波を送った。だが、「高市政権の間は距離を置く方針」(日中外交筋)とされる中国側の反応は乏しい。
これまで政府レベルでの対話が難しい時期は、議員外交が下支えしてきた。しかし、自民、公明両党と中国共産党による「日中与党交流協議会」の枠組みは、公明の連立離脱で途切れた。超党派の「日中友好議員連盟」(会長・森山裕自民前幹事長)は5月の訪中を調整したが、3月に自衛官が在日中国大使館の敷地に侵入した影響で頓挫。年内訪中も視野に、中国共産党幹部との会談を引き続き探る。
こうした中、中国共産党の外交を担う中央対外連絡部(中連部)の招待で、中道改革連合の伊佐進一広報委員長ら超党派の議員団が訪中。自民関係者によると、劉海星中連部長は姿を見せず、夕食会も開催されなかった。
劉氏に代わって対応した陸慷副部長は、台湾を巡る高市氏の発言や認識が変わらない限り「中国として政策を変えるつもりはない」と宣言。日中関係筋は「議員交流は雰囲気づくりにはなるが、本質は政府間で交渉して出口を見つけることだ」と指摘した。
今後、日本政府はAPECでの首脳会談実現へ本格的に動きだす方針。ホスト国という中国の立場も踏まえ、外務省関係者は「日本側はいつでもオープンだ」と期待を寄せる。ただ、日本にとっても台湾政策の転換は容易ではない。日中議連幹部は「首脳同士の接触があるとしても、儀礼的なレベルにとどまるだろう」と悲観的だ。