生活保護減額訴訟の最高裁判決を受けた報告集会で、声明を発表する原告側代理人の小久保哲郎弁護士(右から4人目)=27日午後、国会内 生活保護減額訴訟を巡っては、原告側敗訴とした3件の判決文が酷似しているとして、「コピー・アンド・ペースト(コピペ)の疑いがある」と指摘した報道が大きな反響を呼んだ。原告側弁護団は「訴訟の流れが変わるきっかけになった」と評価する。
2014年から各地で起こされた訴訟は当初、原告側の敗訴が続いていた。そのさなかの21年12月、信濃毎日新聞は福岡と京都、金沢の各地裁が出した判決文が酷似しており「コピペとみられる」と報道。いずれも「NHK受信料」を「NHK受診料」と誤記しており、誤記を含む文章もほぼ同じだったことから、先行した福岡地裁の判決文を京都、金沢両地裁の裁判官が使い回した疑いを指摘した。
大阪訴訟の原告側代理人を務める小久保哲郎弁護士は「裁判所が安易に敗訴判決をなぞらなくなった」と話す。
16年6月には北海道新聞が情報公開請求で入手した資料を基に、厚生労働省が専門部会の「検証結果」の数値を半分しか反映させずに支給額を決めていたと報じた。厚労省は「激変緩和措置」としているが、減額幅が圧縮される一方、増額幅も抑えられ、全体では削減額が大きくなったと伝えた。
一連の訴訟では、この調整処理の違法性を認定した判決も複数出ている。小久保弁護士は「北海道新聞の報道で初めて明らかになり、われわれも資料を国に請求して裁判に活用した」と説明している。