
何もしないでボーッとしている時間に、脳も休息できていると思っている人は多いでしょう。実はその時間こそ、脳に負担がかかっているかもしれません。精神科医であり漫画原作も手がけるゆうきゆうさんの作品『「何もしていないのに、なんか疲れた…」と感じてしまう理由。』では、この現象について解説しています。
【漫画】「何もしていないのに、なんか疲れた…」と感じてしまう理由(全編を読む)
同作に登場するふたりの登場人物は、長時間ぼんやりと過ごすAさんと、せわしなく過ごすBさんです。一見すると、Aさんのほうが脳を休めているように思えるかもしれません。ところが実は、このときのAさんの脳の疲労は、Bさんの2倍です。なぜ、何もしていないはずの「ボーッとする時間」が、脳にとって負担になるのでしょうか。同作の原作者であるゆうきゆうさんに聞きました。
脳はボーッとしている間にもフル稼働している
ーなぜ長時間忙しく過ごしているのに、脳の疲労が少ないのでしょうか
心理療法の1つに『マインドフルネス』というものがあります。マインドフル(な状態)とは、今の自分にたいして明確に意識を向けていることを指します。たとえば『今自分はご飯を食べている。おいしい!』などですね。
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この状態であるほど、脳は疲れにくいとされています。逆に、ボーッとしていることは『マインドレスネス(マインドレス状態)』と言われており、この状態は逆に脳が疲れやすいのです。
ーなぜマインドレスネス状態では脳が疲れやすくなってしまうのでしょうか
脳は『ボーッとしている』ようでいて、ぐるぐると過去のことや心配などを漠然と考え続けているからです。だからこそ『今を明確に楽しんでいる』ほうが脳疲労は少なくなります。楽しい映画を夢中で見たり、ゲームに熱中しているようなイメージですね。
疲れることもあるかもしれませんが、『心地よい疲労感』や『充実感』が得られます。よって意識的に『今を感じる』ことが大切なのです。この考え方がマインドフルネスです。
「今」を意識する練習をはじめてみよう
ーでは日常的にマインドフルネス状態を維持できないのはなぜでしょうか
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マインドフルネスは本当に素晴らしいテクニックですが、一番の弱点は『最初のうちは気をつけるけど、しばらくすると忘れる』ということです。『姿勢を良くしよう』と意識するのに似ています。
そのため、練習が必要です。私は練習を重ねてきたので、毎日1000回以上はマインドフルネスを意識していますが、ここに至るまでには本当に積み重ねが重要です。
ー忙しい毎日の中でも、手軽に取り入れられるコツはあるのでしょうか。
まずは『歯磨き前には必ずやる(意識する)』、『トイレに入る前に必ず意識する』など、日常生活に絡めることから始めてみましょう。
(海川 まこと/漫画収集家)
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