なぜファミマの「1998円腕時計」は完売したのか “ちょうどいい一本”がササった理由

37

2026年06月07日 07:20  ITmedia ビジネスオンライン

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ITmedia ビジネスオンライン

ファミマの腕時計が人気、なぜ?

 コンビニで腕時計を買う――。ちょっと前までなら「えっ、どういうこと? 腕時計なんて売っているの?」などと思われたかもしれない。しかし、今その意外な組み合わせがヒットしている。


【その他の画像】


 ファミリーマートが4月17日に発売したオリジナルの腕時計(1998円)が、発売から10日ほどでほぼ完売した。想定を上回る反響を受け、今秋には再販も予定しているのだ。


 この腕時計は、同社のオリジナルアパレルブランド「コンビニエンスウェア」の新商品として登場したもの。白と黒の2色展開で、10気圧防水に対応。秒針やベルト穴には、ファミマカラーの青と緑を取り入れた。シチズン時計との共同開発で、デザイン監修はファッションデザイナーの落合宏理氏が担当した。


 価格帯でいえば、チープウォッチのカテゴリーに入る。にもかかわらず、なぜファミマの腕時計は、ここまで話題になったのか。


 開発のきっかけは、お客から寄せられた声だった。


 ファミマによると「受験のときに腕時計が必要だったが、どこで買えばいいか分からなかった」「急に必要になったとき、コンビニで買えたら便利」といった声が寄せられていたという。


 同社は「コンビニエンスウェア」の立ち上げから5周年を迎え、靴下やTシャツだけでなく、雑貨類までラインアップを広げてきた。2025年に投入したサングラスは、発売から1カ月足らずで品薄状態に。さらに、晴雨兼用傘も好調だったことから、「次は腕時計にも挑戦できるのでは」と考えたという。


 ライフスタイル本部の須貝健彦(すがい・たけひこ)さんは、次のように話す。


 「コンビニエンスウェアは、全身コーディネートできるほどラインアップが拡充してきました。そうした中で、腕時計はチャレンジ商品として企画。子どものファーストウォッチとしても使いやすいサイズ感で、コンビニで時計を手に取るという新しい体験を提供したいと考えました」


●「高級」「多機能」「低価格」の3タイプが存在感


 一方、腕時計市場では、さまざまな動きが広がっている。


 若年層を中心に、チープウォッチの人気が広がっている。中でも、カシオ計算機の低価格腕時計「チープカシオ(チプカシ)」は、シンプルなデザインや手頃な価格感から支持を集めてきた。SNSでは「安いのにおしゃれ」「価格のわりに高機能」といった点が話題になることも多い。


 また「Apple Watch」をはじめとしたスマートウォッチ市場も拡大している。スマホと連携し、健康管理、キャッシュレス決済、メッセージ通知などを利用できる点が特徴だ。運動量や睡眠データを記録する目的で使う人も増えていて、腕時計というより“身に着けるデバイス”として定着している。


 さらに、高級時計市場も活況だ。中でも人気モデルの「ロレックス」は入手困難な状況が続いており、正規店を何度も巡って、入荷を確認する行為は「ロレックスマラソン」と呼ばれている。「今日は入荷していますか?」と連日のように店舗へ通う人もいて、その様子が“マラソンのようだ”と呼ばれ、ネット上で広まった言葉だ。


 こうした状況から、腕時計市場では「高級」「多機能」「低価格」の3タイプが存在感を強めている。その中で、ファミマは手に取りやすい時計が意外と少ないことに着目した。


 ポイントとなったのは価格だ。


 須貝さんによると「コンビニでつい手を伸ばしたくなる価格」を意識し、2000円以下を前提に検討したという。その結果、たどり着いた価格が1998円だった。


 実際、価格を抑えながらも、日常使いには十分な機能を備えている。防水仕様で、水泳時でも使用できる。さらに、ベルト穴の間隔を細かく設計した。


 文字盤は爽やかな白とシックな黒の2色展開で、日常使いしやすいデザインに仕上げた。そこにファミマカラーを差し込むことで、コンビニブランドらしさも表現した。


 ただ、時計にこだわりを持つ人からは、機能面やデザインについてはシンプルさゆえに物足りなさを感じる可能性もある。一方で、「この価格帯なら十分」と受け止める声もあり、評価は分かれそうだ。


●「腕時計離れ」と言われた時代に


 スマートフォンが普及して、ネット上でたびたび語られてきた言葉がある。「スマホがあれば、腕時計なんて必要ないでしょ」――。


 そう言われ続けてきた時代に、あえて腕時計がヒットした。なぜか。


 受験の日に必要になったり、スマホを取り出しづらい場面があったり。高級時計ほど気負わず、スマートウォッチほど多機能でもない。そんな「ちょうどいい一本」を、いつものコンビニで買える。その感覚が、多くの人にササったのかもしれない。


 「もう腕時計はいらない」と言われた時代でも、時計の針は意外と止まっていなかったようだ。


(土肥義則)


※下記の関連記事にある『【完全版】なぜファミマの「1998円腕時計」は完売したのか “ちょうどいい一本”がササった理由』では、配信していない図表や写真とともに記事を閲覧できます。



このニュースに関するつぶやき

  • 革やゴムだとすぐ千切れるから、ステンレスベルトの腕時計しか使わないな
    • イイネ!1
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(26件)

ニュース設定