日米の金融政策にも影響 トランプ関税で高まる経済の「不確実性」【Bizスクエア】

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2025年03月26日 06:08  TBS NEWS DIG

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日米の中央銀行の金融政策決定会合が開かれ、どちらもトランプ関税による先行きの不確実性から政策金利は据え置かれた。

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「4月2日は米国の解放記念日」 トランプ関税で高まる「不確実性」

トランプ大統領:
4月2日は米国解放記念日になる。非常に愚かな大統領たちが失った富を取り戻す。

貿易相手国と同じように関税を課す「相互関税」や自動車など品目別の関税について、4月2日に導入すると改めて表明したトランプ大統領。自動車への関税を25%程度にする方針に対して、業界団体からは…

日本自動車工業会 片山正則会長:
もし仮に4月2日にそういうこと(関税25%)になれば、やはりかなり生産調整というようなことは予測される。

アメリカのラトニック商務長官は自動車関税で日本も対象外にならないとの見方を示していて、日本自動車工業会の片山会長は今後、官民が連携しながら関税適用の除外を求めていくとしている。こうした中、今週、日米両国で金融政策決定会合が開かれた。

日米の金融政策にも影響 世界で高まる「不確実性」

日本銀行 植田和男総裁:
アメリカや海外の貿易政策、その他の政策の不確実性が高い中で簡単に判断ができない。4月にならないとわからない。あるいはその後もいろいろ不確実性が続く。我が国の経済物価を巡る不確実性は引き続き高く…

会見で何度も「不確実性」と口にする日本銀行の植田総裁。トランプ政権の関税政策が経済に及ぼす影響を見極めたいとして、政策金利を現在の0.5%のまま据え置くことを決めた。一方、国内の経済の現状についてはこう述べている。

日本銀行 植田和男総裁:
賃金と物価はオントラック(想定通り)でやや賃金は強めくらい。

経済と物価はおおむね見通しどおりに進んでいるとして、今後、アメリカや他の国の経済とのバランスをみながら、追加利上げのタイミングを模索する考えを示した。

植田総裁が強めに出ていると評価とした賃上げについて、連合は3月21日、春闘の2回目の集計を発表した。平均の賃上げ率は5.40%で1回目に続き2回目も去年2024年の数字を上回っている。

アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)も、3月19日に金融政策を決める会合を開き、現在、4.5%を上限としている政策金利を2会合連続で据え置く決定をした。

FRB パウエル議長:
経済の予測は常にとても難しいものだが、現在の状況は不確実性がきわめて高い。あまりに不確実性が高い点がもう1つの要因だ。

FRBのパウエル議長も会見で日銀の植田総裁と同じように「不確実性」という言葉を繰り返した。今後の金融政策については、年内に0.25%の利下げを2回行うという見通しを示している。さらに、トランプ関税について、パウエル議長は…

FRB パウエル議長:
今年最初の2か月で物価はかなり上がったとみんな感じていると思うが、確実な答えはその一部が明らかに関税の影響だということだ。

そして、公表した今後の経済見通しでは、今年2025年10月から12月の物価上昇率を引き上げた。その一方で、経済成長率は引き下げられている。

FRBの金利据え置きに対し、トランプ大統領は、SNSに「FRBは利下げをする方がずっといい」と書き込み、政策金利を引き下げるべきだとの考えを改めて示した。トランプ関税による世界経済の不確実性で日本をはじめ、世界各国が難しいかじ取りを迫られている。

トランプ関税 交渉のカギは?

トランプ関税の最新情勢について、ワシントン支局の涌井記者に聞いた。

――品目別と国別の相互関税、両方やるのか。

ワシントン支局 涌井文晶記者:
4月2日に国ごとの相互関税、自動車、半導体などの品目別関税を両方発表する予定で今動いている。相互関税については具体的な課税方法、どういうものになるかというのが焦点。現在有力とされている案が、国ごとに一つ税率を課すというアイディア。日本は何%、韓国は何%というような形になると見られる。元々ナバロ大統領上級顧問が話していたアイディアでこんなことを実現できるのかという疑問も出ていたが、今週ベッセント財務長官も「4月2日に各国はその国の関税率を表す数字を受け取る。国によって高かったり低かったりするだろう」と話しており、実現の方向で動いている。

この税率の設定に当たっては、平均の関税率の他、規制などいわゆる非関税障壁、さらには消費税も考慮されると見られている。一方、品目別の関税は自動車や半導体などが対象になる方向で、税率は25%程度と見られている。これが相互関税と完全に別の枠組みか、関連してくるのかなどの詳細はわかっていない。

――発動された後、交渉のポイントはどこか。

ワシントン支局 涌井文晶記者:
トランプ大統領は、相互関税も品目別の関税も例外を設けないと繰り返し強調しているので、発動前に例外にしてもらうのは難しい。日本は、関税が発動された後に例外措置を求めて交渉するということになりそうだが、その中では、トランプ氏が関税を通じて何を実現したいのか、関税以外の方法でも実現できるのかを特定する必要がある。この間トランプ氏は関税を通じて国内の産業を復活させて雇用を増やすこと、貿易赤字を減らすこと、さらに歳入を増やすことができると説明している。

しかし関税を上げても、思い通りに雇用が増えなかったり、物価が上がったりとアメリカが行き詰ったときに、日本側から別の方法が取れるということを提案できれば、引き換えに関税の除外措置を得る可能性もある。ただ、トランプ大統領は「株価は気にしない」「短期的な景気減速は気にしない」という姿勢を貫いているので、交渉に臨むにあたっては長期戦を覚悟する必要がありそうだ。

トランプ関税で高まる「不確実性」 世界経済どうなる?影響を懸念

トランプ関税を改めて整理すると、2月から中国、そしてカナダ、メキシコに関税を発動。品目別では、鉄鋼・アルミニウムに25%の関税を発動した。さらに、国別の相互関税や自動車、半導体、医薬品など品目別の関税発動が予定されている。

――トランプ氏は4月2日が「米国の解放記念日」になるというが、経済が混乱する可能性はあるか。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
悪くなると思う。悪くなったときに、トランプ大統領が今やっていることを止めてくれるのではと各国思っている。長期戦になりそうな感じがする。

アメリカが何を狙ってるのか。アメリカの貿易赤字が多い10の主要国と地域、単純平均関税率をまとめたグラフを見る。日本の貿易赤字は7位と相対的に低いということがわかる。関税率で見ても日本は、日米貿易協定結んでいるので低い水準。

――日本がメインターゲットにされるのは、おかしいのでは。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
日本は対米貿易赤字の額も小さい、アメリカと直でやっているので、関税率も低い。国別という意味では大きな関税の引き上げはかからないのではと思う。

――問題は「自動車」か?

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
アメリカから見たときに、貿易赤字で「自動車」が大きいのが日本だ。

アメリカの自動車の輸入台数のシェアを見ると、メキシコが37%。次いで韓国の方が日本より多く19%。日本も17%ある。

――アメリカから見ると多いのか。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
一つはメキシコから日本産の車がアメリカに入ってきているので、それを足し合わせるとより大きい。アメリカから富を取っているのは日本の車なので何らかの関税をかけるという話になっている。

――メキシコからの輸入で一番多いのは米ビッグ3の車。日本人としてなかなか納得しがたい。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
全く納得できないが、トランプ政権はそこが全く見えない。

――25%の関税が自動車にかかると、日本経済にとっては相当なダメージだ。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
現時点で自動車の高関税は非常に経済にブレーキがかかる。日本の交渉は絶対そこを避けたい。そういう意味でバーター(交換条件)を出す。アメリカにとって貿易赤字を減らすようなバーターは日本の企業がアメリカで生産をして、雇用を産んで、そこで収益を上げる。投資をしてアメリカに工場を作る。もしくはエネルギーをアメリカから購入することで貿易赤字の額を減らす案が出てくると思う。しかし、アメリカが要求する内容が何かによって交渉することも変わってくるので現時点で予想は立つが、「こうなる」とは、なかなか言えない。

――2月に石破総理が「1億ドル投資する」と先にカードを切ってしまった。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
そこから上積みするのか、それでいいのかどうかも全く見えない。

そうした中で世界全体では経済の先行き不透明感が広がっているということで「不確実性指数」のグラフをみる。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
今マーケットでものすごく注目されている。物事が悪くなるのがわかっていれば、いろんなことできるが、「最悪期」がいつなのかわからないと何もできない、と言うことを指数化しているもの。これを見ると、今はコロナ禍のときよりも、高くなり始めている。

――コロナが爆発した2020年よりも、高い不確実性指数になっている。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
コロナ時は何が起こるかわからないと不安だったと思うが、それよりも高いことがトランプ政権が主導して世界的に起こっていて、いろんな「悪さ」をし始めている。

――関税の応酬が経済を収縮させるだけでなく、どうなるか分からないから投資も待てよとなってしまう。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
皆、投資をやめようとなってしまう。

こうした中、日米の金融政策の決定会合が開かれ、キーワードが「不確実性」になった。FRBは今後の経済見通しで、前回12月時点と比べて物価上昇率は高まると予想したが、GDPの成長率の予測は引き下げた。不確実性といってもアメリカは方向性は見えていて、FRBは「物価は今までよりも上振れする、経済成長率は下振れすることは変わらない」としている。

――これがどの程度になるかが、「不確実性」という話か。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
そうですね。

アメリカの2025年末の政策金利を各委員はどう見ているのか。「ドットチャート」を見てみる。年内にあと2回利下げするというメインシナリオは変わっていないが、去年12月の時点では「利下げなし」「1回しかできない」という人は4人しかいない。しかし、今回は8人に増えた。中央値は変わっていないが、本当に2回利下げできるかどうかわからないと思っている委員も増えている。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
利下げと思う人がどんどん減ってきていることを、如実に表している。

国際機関であるOECD(経済協力開発機構)も経済見通しを出している。みんな成長率を下方修正しているが、日本が一番下方修正のポイントが大きい。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
そうですね。いろいろな内需の問題もあるが、世界経済の影響を受けやすいというところも反映しているのではないか。

――「不確実性」という意味では、日本の方がより深いのか。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
アメリカは、経済が低迷して、物価が上がるという方向だが、日本を考えたとき、アメリカが景気後退になるのか、アメリカがやった政策によって世界経済はどうなるのか。アメリカがやった政策によって日本はどうなるのか、いろんなものが関わっているので、シナリオがたくさん書ける。

――関税戦争になると、日本の輸出先はどこも駄目だという話になるのか。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
そうですね。日本は貿易立国なので、世界経済の影響をものすごく受ける。

第1次トランプ政権時の「鉱工業生産指数」を見てみると、日本は景気が後退していることがわかる。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
コロナ禍があった。コロナで景気後退になった。

――その前に消費税の引き上げや、米中貿易戦争の勃発があった。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
貿易戦争が勃発して今回と同じように、不確実性が上がったので、各国の設備投資が止まった。各国の設備投資が止まると、日本の輸出が止まって、生産が振るわなくなった。後から考えると、実はそういうことが起こっていた。前回、アメリカは中国を相手にしていたが、今回は世界を相手にしているので、いろんなものが止まる可能性がすごく高い。

――経済の好循環を目指していたが、突然世界同時不況にもなりかねない。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
非常にリスクが高いという言い方もできるし、「不確実性が高い」という今日のキーワードのようなことも起こっている。そうなってくると、国内の政策ではざわつかせないということがすごく大事。

――日銀の利上げは、急がない方がよいのか。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
市場が織り込んでないものをやるのは、避けた方がよい。できるだけ慎重に。過去のトランプの第一次政権のトラウマ、経験から言えること。

連合が、3月21日発表した「春闘賃上げ率」の2次集計。全体の賃上げ率は5.40%となった。先週の第1次集計に続いて去年を上回る水準となっている。

――今のところ賃上げ率は好調だが、この先、不確実性の影響を受けかねないか。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
輸出が止まって、生産が止まると特に中小企業への影響が大きくなってくる。今賃上げを頑張っている中小企業も来年の今の時期は、状況が変わる可能性も出てきていると思う。

(BS-TBS『Bizスクエア』 3月22日放送より)

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  • 中央銀行システムって国の規模に見合った通貨を流通する事を阻害して世界経済をコントロールして儲けるシステム。FRB解体を言うと米大統領は暗殺されてきたからね。世界の国の99%に中央銀行が在るのが異常
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