経団連の夏季フォーラムで講演する石破茂首相=25日午後、長野県軽井沢町 参院選に大敗した自民党で、石破茂首相(党総裁)の責任を問うための両院議員総会の開催を求める有志の署名集めが25日、必要な賛同数に達した。党青年局も執行部に「けじめ」を要求。包囲網は一段と狭まっているが、首相はなお続投の意思を示しており、「石破降ろし」の行方は不透明さを増している。
総会は党の正式な意思決定機関。党則は、所属国会議員の3分の1以上の要求があれば、7日以内の開催を定めている。署名集めを主導した旧茂木派の笹川博義農林水産副大臣は記者団に「3分の1をクリアした」と明言。総会での過半数確保を目指し、賛同者をさらに募る考えを示した。
28日には参院選を総括する両院議員懇談会が開かれる。笹川氏は署名提出の時期について、懇談会での首相の対応を踏まえ判断すると説明した。
党青年局は25日、森山裕幹事長と党本部で面会し、緊急申し入れを提出。首相ら執行部に対して「自ら責任を取ることを求める」と明記した。面会後、中曽根康隆青年局長は記者団に「退陣要求か」と問われ、「その通りだ」と応じた。
かつての派閥の枠組みによる動きも目立つ。24日には、唯一存続する麻生派を率いる麻生太郎最高顧問と、旧安倍派の世耕弘成前参院幹事長(離党)が会談。世耕氏は翌25日、旧安倍派メンバーに「麻生氏も茂木敏充前幹事長もちゃんとやってくれる」と伝えたという。「石破降ろし」の背中を押す思惑は明らかだ。
首相と、首相経験者の麻生、菅義偉、岸田文雄3氏による23日の会談では、岸田氏が「敗北の検証も大事だが、今後の道筋も示さないと党内はもたない」と指摘し、菅氏も党再生の必要性を主張。会談後、麻生氏は党ベテランに「続投は『ノー』だ」と語ったという。
これに対して首相は25日、長野県軽井沢町で講演し、「参院選の反省も踏まえ、国家運営していかなければならない」と政権維持への意欲を重ねて強調。SNSでは「#石破辞めるな」との投稿が拡散しており、同日夜には首相官邸前で激励のデモも開かれた。
党幹部は「『反石破』サイドも今後の展望を描けていない」と指摘。執行部は週明けの懇談会で党内の不満と向き合うことで、退陣論の沈静化を図りたい考えだ。

記者団の取材に応じる自民党の中曽根康隆青年局長(中央)ら=25日午後、東京・永田町

自民党の有志による両院議員総会開催を要求する決議文=25日、国会内