SEKAI NO OWARI『情熱大陸』で心情を吐露 「1人でもいなくなると、空中分解してしまう」

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2014年01月27日 16:20  リアルサウンド

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SEKAI NO OWARI 『スノーマジックファンタジー 初回限定盤A』(トイズファクトリー)

 SEKAI NO OWARIが1月26日放送のドキュメンタリー番組『情熱大陸』(毎日放送・TBS系)に出演した。番組では、2013年10月12日〜14日まで開催された「炎と森のカーニバル」の舞台裏に密着。共同生活を送る4人の関係性と心の闇の部分に迫った。



(参考:“ピエロ広告”でも話題のSEKAI NO OWARIは、なぜ10代の心を掴むのか?



 結成から7年。現代の若者の心に刺さる歌詞と、ファンタジー的な世界観を観客と共有出来るライブ演出で、リスナーの心をつかんで離さない彼ら。昨年リリースされたファーストアルバム『ENTERTAINMENT』は約30万枚を売り上げ、その支持を不動のものとした。



 ボーカルのFukaseは精神の不調に苦しんだ時期があることを公表しており、番組中でも紹介された。彼の儚さや危なげな部分に引き寄せられるようにして集まった3人が、Fukaseについて語った。ピアノとステージ演出を担当し、Fukaseとは幼稚園時代からの幼馴染であるSaoriは「私の夢はFukaseの夢を叶えることだと思うんですよね」と話し、ギターを担当するNakajinは「Fukaseのままだと、世界中の人たちにまっすぐ伝わらないと思うんです。僕がいることによってそれを世の中に伝えることが出来る」と自身の必要性を語る。サウンドセレクターのDJ LOVEは「1人でもいなくなると空中分解してしまう」と現体制の4人がそれぞれ依存し合って成り立っている現状を語った。



 現在は東京に一軒家を借り、共同生活をしている彼ら。番組ではその生活の一部を紹介。地下のスタジオではFukaseが決めたコンセプトを元に、メンバーが様々な意見を出して、肉づけをしていく過程を紹介。この時は1時間足らずで楽曲の枠組みが完成した。
 
 Fukaseはバンドの現状について「何を歌っていくバンドなんだろうと考えた時に、ファンタジーがやりたいなと思って。現実的ではないところを超えていくからこそ、そこにファンタジーがあって、面白さがある。現実的なものばっかりやっているんだったら、おれたちは解散してしまえばいい」と語る。



 同番組では、Fukaseがしばしば夢に見る風景を具現化したフェスティバル「炎と森のカーニバル」の設営や会場の雰囲気、本番の様子を紹介。公演中に何度も変わる衣装や、ステージ演出など、あらゆる細部までFukaseの意向を反映したこの公演には、5億円の予算が投じられたという。



 思いのたけをつぎ込んだ念願のライブが終わると、Fukaseは「ずっとイメージしてきたものが実現した喜びと、実現してしまった悲しみでどうしていいかわからない」と抜け殻のようになり、宿舎へ戻る。残ったSaoriはスタッフたちと会場に残り、会場の演出について改良の余地がないか打ち合わせ。この日はちょうどFukaseの誕生日だったようで、先に宿舎に帰ったメンバーにメッセージを託し、Saori自身は「もっともっと頑張らなくては、彼を孤独にさせてしまう」と自らのブログに書き記した。



 Fukaseは普段、自転車を乗り回している。多いときは一日6時間も自転車に乗り、曲が出てくるのを待っている。ある日の寒い雪の夜、自転車から降りたったところで、Fukaseは生々しい心情を吐露する。中学生の頃に集団リンチにあい、ほぼ学校に行かなくなってしまったこと、アメリカンスクールに通うもパニック障害を起こしてしまい入院することとなったこと。Fukaseにとって世界は終わっていた、だからバンドを「SEKAI NO OWARI」と名付け、そこから這い上がっていこうと決めたというのだ。



 20歳の時に4人で作ったライブハウス「Club EARTH」。ここが4人の出発点であり、共同生活の始まりだった。当初予算を6万円しか持っていなかった彼らが、理想のライブハウスを実現するために生活を切り詰め、最終的には約500万円をつぎ込んだ。当時のことを「6万円を70万円にするビジネスチャンスだと思ってたけど、考えが甘かった」と語る。初ライブの観客は15人。そんな場所から現在まで這い上がってきたのだ。



 番組後半では、Fukase以外のメンバーの過去も語られた。Saoriは中学時代にいじめを経験したという。当時、彼女にとっての逃げ場は読書だったことを、書店で落ち着く彼女の映像とともに紹介。いじめにあっていた時期に、幼稚園から知り合いだったFukaseが話しかけてくれ、救われたのだそうだ。現在の活動については「自分には才能がないから必要ないんじゃないかとずっと思っていて、でも必要とされたくて頑張っている」と語った。



 今やその手腕を買われ、他のアーティストへの楽曲提供も担当するNakajinも「常に何かと闘っている。このバンドに自分がいらなくなる時が来るんじゃないかと思う。」と、つきまとう不安を拭い切れないと話す。Fukaseが3人を必要とするように、3人もまたFukaseを必要としていることが語られた。



 新曲『スノーマジックファンタジー』の歌入れにも密着。上手くいかずにイライラするFukaseをSaoriとNakajinが説得し、無事に歌入れを終わらせる。メンバーに感謝するFukaseの顔にはあどけない笑顔が戻っていた。



 自宅で落ち込んでいるFukaseのもとに集まるメンバーの様子も放送。カードゲームをし、互いに些細なことで笑いあう。そうやって過ごすことでお互いを救い合うシーンが「4人だから成り立っている関係性」を表している。番組の最後には、Fukaseが卒業した中学校を訪問。過去に向き合えるようになった彼の姿と「自分を変えたいけど変えられないというのが一番苦しい。必要とされるプレッシャーにつぶされるんじゃないかとたまに思うけど、必要とされない寂しさに比べたら、屁でもない。だから必要とされるためには、いくらでも頑張る」とメッセージを残し、番組は幕を閉じる。



 音楽シーンにおける彼らは、まさに破竹の快進撃を続けている。その背景にある生々しいメンバーの心情が明かされたことで、彼らがいかに多くのリスナーの心を掴んでいるか、その一端を見ることが出来たのではないだろうか。(松下博夫)



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  • 30分じゃ語りきれないしもっと見たかったけど、情熱大陸良かったなー!ますます好きになりました(*^^*)そして千葉から無事戻ってきました。明日から現実頑張るよー!
    • イイネ!24
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