KANA-BOON、ヒトリエ……ライブシーンで台頭する“高速テンポ”バンドたち

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2014年02月07日 10:50  リアルサウンド

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KANA-BOON - 『結晶星(初回生産限定盤)(DVD付) [Single, CD+DVD, Limited Edition]』

 このところ急速に注目度を高めている若手バンド、KANA-BOON。メンバー全員が憧れているバンドであるASIAN KUNG-FU GENERATIONのオープニングアクトを実力で掴み取り、そこからは順調すぎるほどのスピードでスターダムをのし上がっており、今年の5月より全国ワンマンツアーも開催される。彼らがここまで急速に人気が出た理由とは何なのだろうか。ライターの柴那典氏に詳しく聞いてみた。



(参考:「20代のバンドはどう食べていくか?」石田ショーキチが示す、これからの音楽家サバイバル術



 「KANA-BOONの魅力を最も的確に感じられるのはライブの場です。各地で行われたフェスやイベントで目撃したんですが、どんな場所でも最初は彼らのことをほとんど知らず、後ろの方で腕組みをしているようなお客さんたちが一定数いるんです。でも、そんな人たちも、30分のライブの終盤には踊っている。そんな光景を何度も見ました。そういった彼らの魅力がフェスに行く10代の男女を中心に、口コミで急速に広まったということが大きいでしょう」



 たった30分でそこまで人を惹き付ける、その音楽的理由とは?



 「楽曲面では、BPM170以上の四つ打ちを中心にしたノリやすい曲が多いのが要素の一つです。でも、彼らは別に速いテンポの楽曲をやろうと思っているわけではなく、自分たちが演奏をしていて心地のいいテンポ、アガれるリズムを追求していくうちに、この速さに辿り着いたと語っています。同年代の若者に支持者が多いのも、その『ちょうど良くアガれる音』に快感を覚えているのでしょう。あと、メロディーとリフに一発で覚えられるキャッチーさがあることも大きいです。彼らもそれを念頭に置いて作っているということですし。サビの歌メロだけではなく、イントロのギターリフも口ずさめる。『ああ、あの曲ね』と会話できるくらい記名性のある楽曲を作っています」



 確かに、彼らの曲にはキャッチ―なギターリフから始まる「ワールド」や「ないものねだり」など、イントロが流れた途端に、どの曲かはっきりわかるものが多い。



 続けて、人間的な魅力もこのバンドにはあると柴氏は語る。



「ボーカルの谷口鮪は、中学の卒業文集で『17歳の時にインディーズデビューして、20歳でメジャーデビューする』と、夢を言葉にしています。今もインタビューやライヴのMCでは『もっと上にいきたい』『大きな存在になりたい』というようなことを言うことが多く、明確に『成り上がり』を意識していることが伺えます。目標を言葉にし、それをちゃんと信じてきて、しかも実現させる才能を持っている。そういう意味では、サッカー選手で現在はイタリアのACミランにいる本田圭佑と同じ様なパーソナリティー、スター性を感じます。それでいて、尊大なところは一切ない。自分たちのことを“イケてない”と言うし、だからこそ共感を得ていると言う。大阪出身らしい人懐っこいユーモアもある。曲調が似たバンドは沢山いますが、こういうキャラクターや人間性の部分は大きな違いでしょう」



 フロントマンにカリスマ性があるのは、売れるバンドが絶対的に持っている条件ではあるが、KANA-BOONのスター性は、ありのままの若者として、ファンの立場に近く親しみが持てるものでもある。つまり、彼らにとってKANA-BOONという存在は、目をキラキラさせて見る、「手の届きそうなヒーロー」なのかもしれない。



 彼らの他にも、高速テンポや転調を巧みに操り、キャッチ―な曲を作り続ける、才能があるバンドたちは存在する。最近10〜20代中心に支持を集めているヒトリエ、THE ORAL CIGARETTES、QOOLAND、コンテンポラリーな生活などがそうだ。ときには「曲が速すぎてついていけない」などの声もあるが、それでも折れずに自分たちの音楽性を突き通すことに期待したい。(編集部)



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