33歳で念願リーガデビューを果たしたレバンテのDFナゴーレ(右端) [写真]=ムツ・カワモリ2月9日に行われたリーガ・エスパニョーラ第23節レアル・ソシエダ戦にて、レバンテのアルベルト・ゴメス“ナゴーレ”が33歳にしてプリメーラデビューを果たした。
「幸運にもレバンテのおかげで、もう叶わない夢だと思っていたプリメーラデビューを実現することができた」
試合後ナゴーレはそう喜びを語っていたが、長年抱いて来た夢の実現は前半24分、DFニコス・カランペラスの負傷退場という形で不意に訪れた。
「突然のことだった。ほとんどウォーミングアップもできず、何を考える時間もなかった。ピッチでは自分がデビューしたことを実感し、大きな喜びを感じることができたよ」
ナゴーレは1999年、テルセラ(4部相当)所属のラージョ・バジェカーノBでプロキャリアをスタート。それからテルセラとセグンダB(3部相当)の9クラブを渡り歩き、所属10クラブ目のアルコルコンでセグンダA(2部相当)昇格を果たすまでには丸10年を要した。
その後アルコルコンには4シーズン半所属。一昨季、昨季と連続でプリメーラ昇格プレーオフに進出したチームの主力としてプレーしてきた活躍が認められ、今年1月にレバンテから声がかかった。
とはいえ、レバンテでは守備陣のバックアッパーに甘んじることが濃厚だ。しかも契約は今シーズン終了までの僅か6カ月しかない。
それでも夢を実現するチャンスに飛びついた33歳のルーキーは「レバンテは夢を叶えるチャンスを与えてくれた。ここからは契約延長を勝ち取るために戦うつもりだ。半年間だけ所属するためなら来ていない。この先何年もプレーできることを証明したい」と入団時に語っている。
セルヒオ・バジェステロス、グスタボ・ムヌーア、フアンフラン、フアンル、フランシスコ・ファリノス、ホセ・バルケロ、ルベン・スアレス……「オーバー30」のベテランを多数擁したレバンテが台風の目となり、ヨーロッパリーグ出場権を獲得したのは2シーズン前のことだ。
その後に生じた内紛により、当時の主力のほとんどがチームを去った。現チームに30代の選手は多くないが、年齢を問わず「今良い選手を獲る」というマノロ・サルバドールSDの方針は今も変わっていない。
続々と才能ある若手選手を輩出しているリーガ・エスパニョーラだが、彼らベテランが見せる老獪かつ狡猾なプレーも欠かせない魅力の1つ。特に勝ち点1の重みが増してくるシーズン終盤は彼らの経験が必要になってくるはずだ。
文=工藤 拓