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「痩せているのが当たり前」というプレッシャーで拒食症にさえ陥ってしまう女優やモデル、アーティストが後を絶たないハリウッド。ケイト・ウィンスレットやジェニファー・ローレンス、『GIRLS/ガールズ』のレナ・ダナムなどはかねて「自分の体型に満足すべき」「痩せすぎは危険」とハリウッドに蔓延するボディ・シェイミング(体型への批判)に警鐘を鳴らしてきた。
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最近では激やせぶりが報じられた『モダン・ファミリー』のサラ・ハイランドが、「ベッドから起きられないほどの病気で筋肉が落ちてしまった!」と弁明し、悪気なく昔の写真の自分に「太ってたなぁ」とSNSでつぶやいた『プリティ・リトル・ライアーズ』のルーシー・ヘイルは「どこが?」という批判を受け、謝罪コメントを出す騒動に。とにかく、痩せても太っても、ちょっとした体型に対するコメントをするにも、どこでやり玉に挙がるかわからない世界なのである。
モデル業界ではプラスサイズ・モデルとしてアシュリー・グラハム、健康的なむっちりボディのケイト・アプトンの活躍で、アカデミー賞授賞式で一世風靡した言葉“多様性”が受け入れられつつあるが、やはりボディ・シェイミングは女性にとって欠くことのない話題だ。
しかし、スクリーン上で筋骨隆々のシックス・パックとまぶしい笑顔を武器に活躍している俳優たちがボディ・シェイミングと無縁かといえばそうでもない。『ハンガー・ゲーム』、『スノーホワイト』シリーズのサム・クラフリンは、どこからどう見ても非の打ちどころがないイケメン俳優だが、驚くことにボディ・シェイミングの被害者であるという。女優に比べ、語られる機会の少ない俳優陣のボディ・シェイミング。サムはオーストラリアのエンタメサイト「The Sydney Morning Herald」とのインタビューで、「俳優だって、女優と同じくらいひどい有様だけど、決してそういう話は表に出ないんだよね」と口火を切った。「あれは忘れもしないな。現場でシャツを捲し上げられて、脂肪をギュッとつかまれたんだ。『ちょっと体重を落としたほうがいいね』って言われて。ピシャッと叩かれたこともあって、なんだか自分が肉の塊みたいに感じたよ」と悪夢を振り返る。そんなこともあって、特に上半身をさらけ出す必要のある作品では「ナーバスになる」と吐露している。「ジムで何時間も何時間もワークアウトして、何週間も食べず、彼らが求める身体を作り上げるんだ」と涙ぐましい努力を語った。「50年代、60年代はこんなこと、問題にされなかったのにね。ジェームズ・ボンドにはシックス・パックがなかったし、胸毛もボーボーだった」。
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ここのところ、痩せすぎてしまったことで注目を浴びたのは14年ぶりに新曲をリリースしたアーロン・カーターだ。現在29歳のアーロンは、19歳の時に食道裂孔ヘルニアを患い、「体重を増やしたいけど、拒食状態にある」と過去にその葛藤を表現していたが、先日あるファンからSNSで「がん患者みたい」と言われ「ひどく傷付いた。僕が聞いていないとでも思っているの? これはボディ・シェイミングだ。いじめだよ。僕はすでに自分の身体の状態を公表していたじゃないか!」と怒りをツイート。ほどなくしてERへ搬送され「ただの検査」と言い張っているものの、健康状態が懸念されている。
オフ時のレオナルド・ディカプリオのビール腹やキアヌ・リーブスのよれよれ具合はおなじみで、安心感すら感じる。その一方で、涼しい顔で主役を張っている若手俳優やアーティストたちもボディ・シェイミングに悩んでいることが明らかになった。ロバート・デ・ニーロやジャレッド・レト、クリスチャン・ベール、ジョナ・ヒルなど、役作りで誰だかわからないレベルの体重の増減を繰り返す俳優たちは確かに称賛に値するが、私たちが思い描いている“そのままの姿”をキープしている俳優にもすさまじい努力が伴っているのかもしれない。ギャラをもらっているからには体型維持も仕事の一部と言ってしまえばそれまでだが、日常生活と同様、映画にも様々なタイプの人間が存在していてこそリアリティが際立つのではないか。(賀来比呂美)
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