グレてるなう。修行から逃げ出しリーゼント頭にキメた「ぐれダルマ」

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2017年12月04日 14:42  おたくま経済新聞

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グレてるなう。修行から逃げ出しリーゼント頭にキメた「ぐれダルマ」

 真っ赤な衣の下からつき出したポンパドール。一般的には「リーゼント」と呼ぶ方がわかりやすいでしょうか?そのリーゼントがバッチリ決まり、腹には「悪」の文字。口には立派な黒ひげをたくわえて、いかにも「なめんなよ!」とケンカを売ってきそうな強面ダルマ。


【さらに詳しい元の記事はこちら】


 そもそもダルマは、中国禅宗の祖「達磨大師」が悟りを開くために9年間も座禅を続けたという逸話から作られた置物だそうです。ところがこの「ぐれダルマ」、退屈な修行から逃げ出したことに困惑しているのかちょっと「ムムッ」とした表情。 クルッとした困り眉に、なんだかじわじわ笑いが込み上げてきませんか?


 この「ぐれダルマ」(税込162,000円)は、「籠谷シェーン」さんと「ふじわらかつひと」さんからなるアートユニット「現代美術二等兵」の作品のひとつ。Yahoo!ショッピング、楽天市場などでは「ぐれダルマ 500円玉貯金箱(税込2,700円)」が販売されているそうです。


 そこで、ダルマならぬ「ぐれダルマ」がどのように誕生したのか、製作までのストーリーを伺ってきました。


―芸術に疎い私でも現代美術二等兵さんの作品はかなりツボにはまってしまいました。ぐれダルマのようなユニークな作品が生まれるきっかけは何だったのでしょうか?


「美術大学を卒業して外から現代美術界を見たときに「あまりにも理屈っぽいくせに面白くも美しくもないなぁ」と感じ、これは僕らでもギャラリーで発表しさえすれば、明日からでも作家になれるのでは? と思い、どうせ作品を作るなら面白いとかびっくりするとか何か感じさせるものを作りたいと……。それからひたすら今と変わらない作品を作り続けています」


―ぐれダルマは、どのような方がご購入されているのでしょうか?


「漆の作家さんから黒塗りタイプでとのオーダーを頂き作りました。そのときはダルマのお腹に「漆」の文字を入れました。又、急ぎ売ってほしいと連絡があった方は、音楽関係の方でしたが、その後極端なリーゼントで有名なバンドのLIVE会場の入り口に黒く塗り替えられたぐれダルマが設置してあるのをネットで見てびっくりしました」


―あのミュージシャンじゃないかとすぐ浮かぶほど、ぐれダルマがしっくりきますね。ところで、ぐれダルマの制作はすべて手作りでされているのですか?ちなみに「ぐれダルマ」を置くオススメの場所があれば教えてください。


「ベースは教材用の無地のだるまで、リーゼント部分を手作りし、ペイントをその上から施しています。置くのにオススメな場所は特にないですね、ご自由にどうぞ。むしゃくしゃした時や、何かを達成したときに目を入れてください」


―はじめは、「ダルマ天使」なるものを製作したと伺いました。ダルマの背中に天使の羽が付き、顔はギリシャ彫刻の天使の顔というユニークな作品だったようですね。こちらは駄作に終わったとの事ですが、またダルマの作品を作ろうと思った経緯を教えてください。


「ダルマ天使は、天使を起点に考えた作品で、「ぐれダルマ」はダルマを見ているときに思いつきました。思いついた時「ダルマ天使よりえんちゃうか!」と思いました」


―目のつけどころがとても斬新で、だるまの頭がリーゼントだったら…と想像して作られたのが「ぐれダルマ」ということですが、実際のところリーゼントヘアは、誰かをモデルにして作られたものなのでしょうか?


「特定のモチーフは無くて、いろいろなリーゼントを見てきた記憶の集積があの形になっています。」


―籠谷シェーンさんとふじわらかつひとさんはアートユニットとしてご活躍されていますが、作品を制作するにあたって大切にしていることや、印象的だったエピソードはありますか?


「作品制作の上で大切にしていることは、伝える工夫です。ざっくり作った方が伝わるのか、緻密に仕上げるか。又タイトルも大事にしています。」


 仕事をしている時やテレビを見ている時など、日常の中で「それがありやったら、これもありやろう!」と心にツッコミが発生して新しいアイデアが生まれるという現代美術二等兵さん。今年で制作活動25周年を迎えたそうです。「見る人が楽しめる、美術界にもお菓子でいう駄菓子のようなワクワク感を」という思いから「駄美術」と命名し、脱力エンターテイメントを発信し続けてきたお二人。


 今年開催され現代アートの展覧会「六甲ミーツ・アート」に出品した作品「KoiのRock ‘n’ Roller」が、準グランプリに輝きメディアでも話題に!芸術というと、自分の生活とはかけ離れた存在に感じる方も多いと思いますが、気づかないだけで自然と日常の中に溶け込んでいるモノなのかもしれませんね。



<取材協力・参考>
現代美術二等兵
密売東京


(黒田芽以)


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