「発達の遅れを指摘された」保育園にクレームを入れ続けた“モンペママ”の悲痛な叫び

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2018年02月11日 19:03  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

Photo by kanonn from Flickr

 まさに保活のハイシーズンともいえる2月は、預け先が見つかるまでの苦労話ばかりがよく聞かれるが、実際は保育園に入園してから卒園までの在園期間の方がはるかに長い。前回は、ようやく入れた保育園でモンペママに悩まされ、転園を考えるようになったというママの声を紹介したが、一方で「激戦をくぐり抜けて入園したのだから、大事なわが子になにかあれば一石を投じたい」という思いによって、傍から見ると「モンペママ」になってしまった人もいるようだ。今回は、子どもに発達障害の疑いをかけられたことがきっかけで、「周りが信じられなくなった」と言う男児のママの告白から、東京で育児に励むママたちの悲痛な声に迫っていく。

モンペママが“言わずにはいられない”ワケ

 認可外保育所に3歳の男児を通わせている綾子さん(仮名)は、大手の石油元売り企業に勤務する正社員。仕事を理由に退職はしたくなかったため、妊娠中から保活に励み、0歳児枠で認可保育園に無事入園することができた。産後3カ月で職場に復帰したが、入園許可が届いた時は、もう1年育児休暇を伸ばすか悩んだという。

「34歳で結婚したのですが、なかなか自然妊娠ができなかったんです。気づけば高齢出産といわれる35歳を過ぎて、初産のタイムリミットともいえる40歳になっていました。出産するまでに、自然流産を2回経験しているせいか、息子以上にかわいいものってないですね」

 まだ言葉も話せないような0歳児からの入所が当たり前となった近年、保育園ではトラブルが多い。ある園では、男児より女児が2倍の人数となっているのだが、男児は体格が大きくなると乱暴になるなど、トラブルが起きやすいという理由から、「女児の入園が優先される」というウワサもある。かつて男児は「元気すぎるぐらいがよい」と考えられていたが、現代ではそういうわけにはいかないのだろうか。

 「最初に驚いたのが、保護者会で男児のママたちが“うちの子はやんちゃなのでご迷惑をおかけしてすみません”って謝っていたんです。何もしていないに謝る必要なんてないじゃないですか」と綾子さんは語る。また、子どもに「朝の会の最中にじっとしていられない」「先生の話を聞くことができない」というような傾向があると、園側から発達障害の疑いがあるとして、療育と呼ばれる専門の施設を勧められることもあるという。

 綾子さんの息子も、みんなで読んでいる絵本を奪う、ブロックの片付けができずに放り投げるというような問題行動が多く、園からよく家庭でしつけをするように注意されたそう。そして、追い打ちをかけるように、保育士から療育施設を勧められた。「うちの子は、ちょっと周りよりやんちゃで、戦いごっこ(戦隊ヒーローのまねごと)が好きだったんです。それなのに、“口でおもちゃを貸してって言えないのは、発達の遅れがあります”って言われて、腹が立ちました」と声を荒げる。

 この一件以来、保育園が信頼できなくなったという綾子さん。保育参観の日は、息子の行動よりも、保育士の言葉遣いや、保育室の遊具の片付けが不完全なこと、また給食に乳児向けではない大きさの野菜が入っていることなどに不満を持ち、保育士に伝えるようになった。「連絡帳に書いても改善されないので、園長先生に直訴したんです。園長がまだ30代の女性で、経験不足というか。何を言っても“わかりました”の一言で解決しなかったので、役所の保育課や第三者機関と呼ばれる弁護士にも相談しました」。

 最近では、保育士だけではなく園を運営している親会社や、役所の保育課などにもママからのクレームが相次いでいるそうだ。ネットを使って過去の事例を調べるなど、法的手段について詳しいワーキングママも増えた。中には、ママ同士で情報を共有し園を訴えるケースもあるという。

「息子は個性的なだけで、発達異常なんかじゃないんです。昔は、先生の話を聞かないで遊んでいた子なんて普通にいたじゃないですか。結局、役所の保育課も“少し様子を見ましょう”の一点張りだったので、認可外保育園に転園しました」

 園側やほかのママからすれば、綾子さんも「モンペママ」だろうが、彼女にも“言わずにはいられない”事情がある。「良い園」か「悪い園」を判断するのは、実際に通っている園児ではなく、ママ次第なのだ。

「聞いておきます」の一言で済まされた

 もうすぐ5歳になる女児のママの香住さん(仮名)は、娘を自宅育児している。一人っ子の娘は、気が弱く人見知りで、預けていた保育園でも毎日のように泣いていたという。「誕生日が2月だったので、言葉が出るのが周りよりも遅かったんです。自分の気持ちを言葉で言えなくて、泣いてしまったんだと思います」。

 実は香住さんは不倫の末の略奪婚。10歳年上の夫と前妻の間には小学生になる男児がいるため、養育費を払い続けており、学校行事を夫が見に行くなど交流が続いているそうだ。そのストレスが、娘にも影響してしまったかもしれないと、香住さんは振り返る。

「養育費の負担などもあったので、娘を0歳から預けて復職しました。最初は、小規模保育園に預けて時短勤務していたのですが、2歳の時にたまたま空きが出て認可保育園に転園できたんです」

 待機児童の解消を目的とした小規模保育所は、施設が狭いために、満2歳までの保育しか行わないケースがほとんど。この場合、空きを求めて第二の保活が必要となる。香住さんは、「この時、仕事を辞めて保育園ではなく、幼稚園に転園すればよかったと後悔しています」と語るが、その言葉の裏には、転園先の保育園への不信感があったようだ。

 その保育園は、保育士の目が届く人数だった小規模とは違い、大型保育園のため園児数も多い。また縦割り保育を導入し、2〜5歳児までが同じ部屋で合同保育を行っていたという。まだ“ママ”、“クック(靴)”というような単語しか発せられない2歳児にとって、部屋中を走り回る5歳児は、個体差が大きくぶつかった時など危険なケースも想像できる。活発に遊ぶ園児とは違い、仲の良い女児同士で人形遊びのようなままごとを好む香住さんの娘は、何度か園児同士のトラブルに巻き込まれた。

「一緒にお風呂に入った時に、娘の首に引っかき傷ができていたんです。耳の後ろらへんが蹴られたように赤くなっていたことも。迎えに行った時にも保育士から言われなかったので、次の日に担任に聞いたら“昨日は別の保育士が担当だったので聞いておきますね”の一言で済まされたんです」

 それから、園や保育士の事務的な態度が気になりだした。「確かに、保育という仕事はしているのかもしれませんが、それぞれの園児に対してのフォローができていないと感じた」と語る。

 それでも、4歳まで保育園に通い続けたが、ある時、香澄さんの娘が、髪に米粒のようなものを付けて帰ってきた。洗ってもくっついてなかなか取れず、保育園に説明を求めても「ちょっとわかりません。手についていたものがついたのかも」という返答だったという。このことがきっかけで、朝の登園時も娘がぐずるようになり、退園を決意。「園で一緒だったママ友にも相談したのですが“そういうことあるよね”という一言で済まされてしまいました。みんな揉めたり、目立つのが嫌みたいなんです」と落胆する。

 香住さんは「探せばまた見つかるからと、百貨店の仕事も辞めました。それよりも、自分の娘は自分で守るしかないなって気づいたんです。いまは、娘といられる時間の方が大事です」と語る。彼女は、小学校入学までの残り1年を自宅育児で過ごす予定で、その代わりに保護者が同伴できるような習い事を始めるつもりだそうだ。

 彼女もまた、見る人によっては「モンペママ」なのだろうが、子どもを思う気持ちが行き過ぎた結果という面もあるのかもしれない。預かり時間によっては、1日の大半を過ごすことになる保育園に対し、親はどういう姿勢で向かい合うべきか、あらためて考えさせられる。
(文=池守りぜね)

このニュースに関するつぶやき

  • 片側の意見だけでは何ともね…。てか発達の遅れを指摘されて、実際にみてもらわずに「うちの子は違う」ってのはどうも…。本当に遅れがある場合は、早いうちから療育した方がいいしね。みてもらって正常だったなら、保育園にそう伝えて終わる話。
    • イイネ!57
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