KinKi Kids 堂本剛の“素”は脳みその外にある 『堂本剛の素』が示したアーティストとしての本質

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2018年05月24日 18:23  リアルサウンド

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「脳みその外でね、みなさんぜひ生きてください。脳みその中で生きる必要ないですから」


 KinKi Kids 堂本剛の素顔に迫るドキュメンタリー番組『堂本剛の素』。最終回となる第6回“「親友と行く 箱根ふたり旅」後編”が、5月18日より動画配信サービスGYAO!にて配信されている。第6回では、剛が親友である芸人・天竺鼠 川原克己と“彼らの箱根”に到着するまでが収められていた。


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 朝10時に東京・新橋を発った剛と川原は、東名高速にて箱根を目指す。途中、海老名パーキングエリアなどに寄りつつ、午後5時にようやく“彼らの箱根”に到着。川原は「箱根、着きました! ここで降りたら完璧ですよ」と口にしながら、車を降りる。降車した後、目的地点まで少々歩く2人。ふと、立ち止まると剛は「ここが箱根か……」と呟いた。彼らが着いた場所は、なんと東京・新橋。ロケがスタートした地点に帰還していた。


 剛は「これぞやっぱりね、脳みその外ボンバーで考えた、箱根ボンバーですよね」とコメント。川原もまた「あなたたちの箱根は、そもそも最初にいましたよってこと」と言い、「ずーっと最初から僕らは箱根にいて、箱根の中を移動してたわけですよ」と説明した。そして2人して「最高でしたね。ありがとうございました」と満足気にロケを締めくくる。


 “脳みその外で考える”。『堂本剛の素』で度々耳にするワードだ。剛と川原は“脳みその外”というワードで意気投合し、それからずっと2人のテーマにしている。そして“彼らの箱根ふたり旅”こそ、到着地点や道中のやり取りを含め、まさに脳みその外で考えることを体現していたように思う。剛は今回の旅の途中で「これ(『堂本剛の素』)も観てもらって、“で、なんやったんコレ?”っていう(感想の)方が、気持ちええなぁ〜っていう感じがしてるんですけどね」と語っていた。そして全6回が終わった今、私たち視聴者は、剛の思惑通りの感想を胸に抱いている。いくら脳みそで考えても、“堂本剛の素”がなんなのか、わからないのだ。だからこそ、私たちは『堂本剛の素』を“感覚的に見る”。


 剛はこんなことも言っていた。「ちょっと一回、目覚まさへん? って思ってるんですよ。いつも作品作るときに。自分で結構決めつけてないって。人のことも自分のことも。直感とかそういうの忘れちゃってるっていうか」。そして、そんな“決めつけ”に悩んだ時期もあったと続ける。「僕なんかも、結局ジャニーズの中で変わってるとか、ぽくないとか、よく言われんねんけどさ。いやだってこれ半分以上は、企画とかイメージが先行して、みんな第三者の人が作ったイメージを僕は生きてるつもりなくても、生かされてるっていう状況が続くっていうか。いつもどんなときも第三者が決めていて。僕が決めたことなんて一個もないですよ。ルールもイメージも」と“堂本剛らしさ”や“ジャニーズらしさ”に対しての苦悩も明かした。


 しかし、剛は30歳辺りから「もう自分の思ってることしながら生きていこう」と思い、決めつけの呪縛が解けたという。そして、次第に「仲間」と呼べる人たちにたくさん出会えたのだとか。その一人が川原である。「どんな人と恋愛しても、影響されない人は多分合わないと思うんです」と話していた剛。それは恋愛に限らず、友情もまた然りなのだろう。“脳みその外”というワードもそもそもは川原が言い出した言葉である。剛は川原から影響され、川原もまた剛から影響される。互いが互いに影響され合うことで、さらなる成長と充実へと繋がっているのではないだろうか。


 同番組の最後に剛は、約30本のマイクスタンドに囲まれながら、「それではみなさん、またどこかでお会いしましょう。それでは、サヨナラ!」と挨拶するも、「……サヨナラ! で終わると思うんですけどね、終わらないというやり方も僕は持ってるんですよ」と笑う。そして「脳みその外でね、みなさんぜひ生きてください。脳みその中で生きる必要ないですから」となんとも剛らしいコメントを寄せて、締めくくった。


 私たちは、わからなければわからない物事ほど、気になって仕方ない。わからないからこそ、知りたくなる。興味を持つ。好奇心が刺激される。わかりたいと思う。調べて、考えて、答えを見つけようと必死になる。脳みその中で検索しても答えが導き出せないものが、本当の意味で“わからないもの”なのかもしれない。つまり、それは脳みその外で感じないと掴めないこと。そう考えると、脳みその外側は内側よりも圧倒的に広く、可能性も無限に広がっているように感じる。その可能性を剛は今後、エンターテインメントとしてどう表現していってくれるのだろうか。きっと“わからない何か”を生み出していってくれるはず。


 『堂本剛の素』を全6回観ても、結局剛の頭の中はわからなかった。というよりも、知れば知るほどわからなくなっていく。その“わからなさ”こそが、“堂本剛の素”の正体なのかもしれない。そんな脳みそで考えてもわからない剛だからこそ、妙に癖になってしまう。(文=朝陽空)


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