吉田鋼太郎、“乙女モード”演じる破壊力 『おっさんずラブ』で“歴代屈指”のヒロイン役に

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2018年05月31日 06:32  リアルサウンド

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 巨乳好きのモテないサラリーマン・春田創一(田中圭)と、仕事ができる理想の上司・ 黒澤武蔵(吉田鋼太郎)、ドSなイケメン後輩・牧凌太(林遣都)の三角関係を描いたラブコメディ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)。話題に事欠かない本作だが、なんといってもその魅力は登場人物たちがまっすぐに恋をしていること。なかでも吉田が演じる黒澤の乙女っぷりには、誰もを惹き付ける唯一無二のパワーがある。


牧(林遣都)が春田(田中圭)との家を出て1年後【写真】


 吉田といえば、シェイクスピア・シリーズの常連として、長きにわたり第一線で活躍を続ける舞台俳優。2013年放送の日曜劇場『半沢直樹』(TBS系)で注目を集め、翌年に出演したNHK連続テレビ小説『花子とアン』で大ブレイクを果たしてからは、テレビやスクリーンでも“大人の男性”としてただならぬ色気を放ってきた。


 その吉田が現在演じているのは、春田のことが好きで好きでたまらない不動産会社の営業部長・黒澤武蔵。あまりに不可解な設定に頭が混乱してしまうが、『おっさんずラブ』の世界では、これが常識。仕事中の黒澤は包容力のある素敵な上司で、ダンディな魅力で女性たちをメロメロにしてきた吉田の真骨頂といえる役どころ。だが、そんな黒澤が春田を思って「はるたん…」とつぶやけば、それとは相反する“乙女モード”に一気に様変わりするのである。


 第1話では、自身が撮影した“はるたん写真”を本人に見られたことを機に、自分に嘘はつきたくないと「好きです! はるたんが好きでぇぇぇす!!」と全力の告白。さらに「俺は、結婚していて妻がいる。だから、俺がちゃんとするまで待ってほしい。春田、俺に時間をくれ」と懇願し、花束を渡して「ありがとう」と告げて去って行く。それまで「おっさん同士の恋愛とは、どうしたものか」とドラマとの向き合い方を探っていた視聴者に対して、「何も考えずに楽しめばいいのだ」と示してくれた瞬間だった。


 第2話では、10年前にケガをした際、手当てをして靴を履かせてくれたことが春田を好きになったキッカケだと明かし、「あの時、お前が俺をシンデレラにしたんだ」とこれ以上ないパワーワードをサラリと言ってのける。さらに、2人の屋上ランチに「ちょっと待った」とばかりに乱入してきた牧と “春田の悪いところを10個言う”という子どものケンカのような事態に突入すると、「かわいすぎる〜、存在が罪〜、ピュア〜、えっ…かわいすぎる〜」と完全なる恋は盲目状態を露呈。春田の「俺のためにケンカするのやめてくださぁぁぁい」という絶叫とあわせて腹筋崩壊必至の名場面なのだが、と同時に胸キュンまで訪れるのが『おっさんずラブ』のおもしろさ。まさに新感覚のラブストーリーである。


 回を追うごとに黒澤の乙女っぷりはますますヒートアップし、第4話で浮気を疑う妻・蝶子(大塚寧々)に、相手が春田であることを伝えたシーンでそれが爆発。現実を受け入れられずに取り乱す蝶子を前に、モジモジと春田の背中に隠れ、口を結んで上目遣い……どこぞのブリッ子かとツッコみたくなる姿に“威厳ある吉田鋼太郎”の面影は一切なく、完璧な“乙女部長”と化していた。


 仕事モードと恋愛モードのスイッチが切り替わったとき、黒澤が一瞬にして別人のように変化してしまうのは、ただひとつ、吉田の演技力によるもの。カメレオン俳優という言葉はよく耳にするが、これほどまでに瞬時に変色するカメレオンは初めてみた。“演技の幅が広い”という言葉もよく聞くが、“強面を活かした極悪人から、年下に恋するヒロインまで”とは、さすがに幅が広すぎではなかろうか。2016年に放送された同名単発ドラマで役者として新たな扉を開いた吉田は、今作でその勢いを一層加速。そして私たちは、その魅力にあれよあれよとハマってしまったのだ。


 まるで高校生、いや中学生のような恋愛模様を丁寧に描く『おっさんずラブ』は、脚本、演出、配役、そして役者陣の演技、どれをとってもエンターテインメントの極み。『おっさんずラブ』にあるのは、男だから、女だからとか、そういうところを超越したおもしろさであり、吉田演じる黒澤はもちろん、田中演じる春田、そして林演じる牧が織り成すラブストーリーだからこそ、ここまで心惹かれる作品になったと言えるだろう。


 牧の優しい決断により、春田は幼なじみのちず(内田理央)とくっつくかと思いきや、第6話のラストに映し出されたのは、春田と同棲する黒澤のエプロン姿……!? 黒澤の公式Instagramアカウント「武蔵の部屋」のフォロワー数は、驚異の45万人突破という支持を受け、早くも続編、映画化への期待がかかる『おっさんずラブ』は、ついに最終回を迎える。どの恋愛にも真摯に向き合う春田と、一途に春田を愛し続ける黒澤。2人が迎える恋の結末を、最後まで温かく見守りたい。


(nakamura omame)


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