菜々緒の睨んだ目に込められたもの 『Missデビル』最終回に向けて畳み掛ける展開に

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2018年06月10日 06:02  リアルサウンド

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 終盤に差し掛かり、一気にこれまでの謎が明らかになってきた『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』(日本テレビ系)。真実があらわになり、椿(菜々緒)にもピンチが訪れる。これまで何があっても動じない落ち着きとミステリアスな佇まいで、本心を見せることはなかった椿だが、6月9日に放送された第9話では彼女の心の揺れが垣間見えた。


佐藤勝利をタジタジにさせた白石聖【写真】


 これまでの社会問題に切り込んでいく構成とは打って変わり、登場人物に焦点が当てられた第9話。いくつかの伏線が一気に表になり、同時に進んでいったため、非常にスピーディーに展開していった。振り返るとキャラクターそれぞれの過去が断片的に描かれていた。


 中でも椿の過去は、彼女の回想でのシーンがほとんどだった。燃えるホテルを前に大声で泣き叫ぶ少女が1人。それを思い出し「あなたは誰?」と呟くこのドラマ最初のシーンだ。


 いかなることがあろうと毅然とした立ち居振る舞いを見せてきた椿は、斉藤博史(佐藤勝利)の気弱な姿も相まって、非常に強い女性として描かれてきた。そんな彼女の過去を喜多村(西田敏行)が突き止めたとき、椿は初めて動揺した姿を見せた。


 椿の記憶に残っている燃えたホテルは、彼女の父が支配人を務めていた“ホテルアックス”だ。火災により大きな損失を被ったが、共亜火災の細工により保険金は支払われることはなかった。そしてその黒幕は大沢社長(船越英一郎)だった。


 椿の“心の揺れ“は2つのシーンで描かれた。1つ目は喜多村が「あなたはこの会社に復讐をしに来られたんですか?」と尋ねたとき。すべての責任は自分にあると真摯に訴える喜多村に、椿は「探したい。それが一番の理由でしょうか」と父親に会いたいという思いを漏らす。その声にいつもの覇気はなく、どこか寂しげな、か細い声だった。


 そしてもう1つがホテルアックスの保険金未払いが大沢によって偽装されたものだったと突き止めたとき。秘書が自首をし捕まったこのタイミングで、大沢がニューヨーク出張へ行くことを知った椿は、何かに気がつき走り出した。


 少しだけ息を切らし、髪を乱しながら「私の名前は鬼頭舞子。ホテルアックスの支配人の娘です」と大沢に告白する。椿が相手をじっと睨むシーンはこれまでにも多くあったが、今回描かれた、偽装の事実を認めた大沢を睨む椿の目は、これまでにはない“怒り”が込められたものだった。


 椿以外にも、喜多村と伊東(木村佳乃)の関係や斉藤家と共亜火災のつながりなど、まだ隠された謎は残っている。椿のパーソナルな部分がわかったことで、最終回目前にして、視聴者もより作品に入り込める回となった。


(馬場翔大)


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