アンジュルム「恋はアッチャアッチャ」好調の要因 ハロプロ伝統と本来の目的果たしたMVの効果

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2019年04月30日 17:31  リアルサウンド

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 ハロー!プロジェクトに所属するアイドルグループ、アンジュルムの9枚目(改名前からは通算26枚目)のシングル『恋はアッチャアッチャ/夢見た 15年』が好調だ。


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 4月22日付のオリコン週間ランキングでは48,650枚を売り上げ2位をマーク。デジタル領域の数値も組み込んだ合算ランキングの方でも2位に付けている。YouTubeのMVには「CMを見て来ました」などのコメントが寄せられ、新規ファンを獲得している様子がうかがえる。理由を探ってみよう。


 まず第一に、曲が面白い。インド風味の一風変わった曲調だ。ボーカルの加工やエスニックな楽器の音色など、細部に耳に残る工夫が凝らされている。タイトルにある”アッチャ”とはヒンディー語で”いいね”を表すという。「大器晩成」や「臥薪嘗胆」といった力強いダンスナンバーをリリースしてきたこのグループにとっては変化球的ではある。


 作曲は星部ショウ。アンジュルム以外にもこぶしファクトリー、Juice=Juiceといった近年のハロー!プロジェクト楽曲を支える気鋭の作家だ。一方、作詞は児玉雨子。こちらもここ数年で頭角を現している若手の女性作家で、昨年発売されたアンジュルム「46億年LOVE」が好評でいっそう注目が集まっている。ハロプロの新世代を象徴する2名が手掛けているとあって期待も大きい。変化球的だが、才能を結集させた力作という印象だ。


 加えて、この曲の面白さはMVにある。腰のあたりで両手を少しだけ動かすシンプルなダンスは奇妙で、目を引く。それをさまざまな人々が踊る様子が移り変わっていく映像は意味不明だがなぜか見てしまう。奇天烈なサウンドと相まって、映像の世界にじわじわと引き込まれてしまう。今作はテレビCMとして打たれているので、彼女たちを知らなくても気になった人が多いのも頷ける。


■正攻法かつハロプロ流とも言える


 視聴者の気を引くために昨今のCMには様々な仕掛けが張り巡らされているが、ロッテのFit’sシリーズや大東建託の「いい部屋ネット」シリーズなど、人気タレントを起用してダンスやキャッチーな楽曲を歌わせるのはテレビCMの王道の手法である。その点で、今回の「恋はアッチャアッチャ」のCMとしての作りはむしろ正攻法と言えるだろう。


 そして、こうした風変わりな振り付けを取り入れるのは「LOVEマシーン」に端を発するハロプロの伝統芸でもある。アイドルの振り付けとして当時は有り得なかったダンスで世間にインパクトを残し、社会現象にまで至った先輩グループ・モーニング娘。の姿を彷彿とさせる。つまり、今作のMVは現代広告のトレンドに倣いつつ、グループの伝統を受け継いだ結果とも言えるのだ。


 また、今回のCMは非常に効果的に打たれている印象がある。日本テレビ系列で4月12日に放映されたジブリ映画『風立ちぬ』をはじめとした多くの特番で散見されているが、ここまでCMが打たれるのはハロプロ楽曲としてはあまりなかった傾向だ。今回の場合、CMに出くわした視聴者が「中毒性がある」「癖になる」とのことでYouTube動画へと移る流れができている。CMが単なるCMで終わらず、そこからMVまで引き寄せる好循環が起きている。効果的な広告の在り方だ。そもそも「MV」というもの自体が、曲あるいはアーティストを広く世の中に知らせるために作られるものである。「曲を作ったからとりあえずMVを作った」ような作品も見受けられる中、今作のMVは本来の目的通りに機能している。


 曲の面白さ、映像のインパクト、テレビCM。シンプルだが基本的なこれらの要素を備えていると同時に、ハロプロの伝統も汲んでいるという点が今作の好調な要因なのだろう。これを機にアンジュルムの快進撃が始まるかもしれない。(荻原 梓)


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