GLAY、25周年ライブから感じた“愛の深さ” 『LIVE DEMOCRACY』2日間を振り返る

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2019年08月21日 10:11  リアルサウンド

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GLAY(写真=田辺佳子)

 8月17日、18日の2日間、メットライフドームにて『GLAY 25tn Anniversary “LIVE DEMOCRACY”』が行なわれた。本公演はGLAY25周年のテーマでもある“DEMOCRACY(民主主義)”から生まれた7つの公約のうちの一つ。セットリストの一部をファンからの投票で決めるなど、まさに民主主義を体現したライブと言えるだろう。また、1日目は“良いGLAY”、2日目は“悪いGLAY”とコンセプトが分かれているのも、見どころの一つだ。GLAYのドーム公演は実に5年ぶり。猛暑にも関わらず、久しぶりにドームに立つ4人の姿を一目見ようと集まったファンで会場は満員に。オフィシャルサイトには暑さ対策についての特設ページが開設され、会場には無料の給水所まで設置された。ファン思いで有名なGLAYだが、ここにも心配りが感じられた。


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■1日目「良いGLAY」は王道のセトリで攻める


 花道の先にあるセンターステージに出現した巨大な白い球体が割れ、中から現れたのは真っ赤な衣装の4人。「HAPPY SWING」が始まると一曲目から満面の笑みを浮かべるメンバーは、ステージギリギリまでファンに近づいて「アリーナ! スタンド!」と煽り、“GLAYチョップ”でファンはそれに応える。勢いをそのままに「口唇」へ。真っ赤なライトがドーム中を照らし、正面のメインステージからは火柱が上がる。ギターソロではTAKUROとHISASHIが無邪気に笑い合うシーンも。「グロリアス」では天井まで届きそうなほど高く水が噴き出す演出があったが、高まる会場のボルテージは冷める気配すらない。JIROも「ぶっ倒れんなよ!」と笑顔で会場を煽る。


 「More than Love」では、大きな車に乗り、スタンド席のファンへサービスタイム。夢中で手を振るファンの姿に4人も優しい笑顔に。のちのMCでTERUは「(あんな感じで)より近くに届けたい。皆さんのためのメットライフドームなんで」と語り、この日集まったファンの心を鷲掴みにした。実はここまでのセットリストは、1999年の幕張メッセで20万人を集めた伝説のライブ『GLAY EXPO ’99 SURVIVAL』のセットリストと全く同じ。GLAYの歴史に深く刻まれた一日をこの場所で再現してくれたことは、ファンにとって最高のプレゼントになっただろう。


 「体感温度とGLAYのライブ、どっちがアツいんだ?!」とTERUが煽り、「サバイバル」、「SOUL LOVE」と立て続けにヒット曲を披露。スクリーンには、夕日をバックにギターを掻き鳴らすTAKURO、HISASHIの姿が。壁のないメットライフドームだからこその天然の演出が、2人を引き立てる。涼し気な青いライトの下、スタンドマイクを握りしめたTERUが歌ったのは「夏音」。この時期にぴったりの極上のバラードだ。「YOUR SONG」が終わると、突如「GLAY史上初の休憩はさみます!」と宣言し、一旦クールダウンのための休憩タイムとなった。


 後半戦はファン投票で選ばれたトップ3を披露。3位の「南東風」ではタオルを回してノリノリのフロア。2位の「BEAUTIFUL DREAMER」では、「これから一緒に夢を見ていこうぜ!」と愛ある言葉をファンへ贈るTERU。歌詞に合わせてTERUが投げキッスをすると、悲鳴のような歓声が沸き起こった。1位は「pure soul」。スクリーンに流れる歌詞と、アコースティックギターの音が胸にじんわりと染みわたる。気づけば、外は暗くなっていた。しっとりした雰囲気をそのままに、「春を愛する人」へ。〈僕らの掌 わずかな時間しかないさ だから体中で愛を伝えたくて 生き急いでる〉と優しい表情で歌うTERU。この曲はGLAYからファンに向けた愛のメッセージだろうか。


 「JUST FINE」からは、ラストスパートへ向けて一気にヒートアップ。事前に配られていたライト付きのリストバンドが音に合わせて光ったり、メンバー4人そっくり(?)の超大型人形がステージに出現したりと、次々に仕掛けが飛び出す。花道にメンバーが舞い戻ると「ピーク果てしなく ソウル限りなく」「彼女の“Modern…”」「HIGHCOMMUNICATIONS」と畳みかけ、会場を熱狂させたまま本編は幕を閉じた。


 アンコールの「BELOVED」で優しい雰囲気に包まれた会場は、「誘惑」で再び熱狂の渦へ! ラストは「XYZ」で爽やかに締めくくった。最後にスクリーンに映った4人の姿は、汗だくの満足気な笑顔だった。終演後のスクリーンに流れたのは、最新アルバムのタイトルと発売日の告知。「NO DEMOCRACY」と名付けられたGLAYの新しい作品が10月2日に発売されることが決まり、大きな歓声がドームに響いた。


■2日目「悪いGLAY」は悪ノリが炸裂、MISIAの登場も


 1日目が“優等生”のGLAYだとしたら、2日目はまるで“悪ガキ”のようなGLAYだった。初っ端から「誘惑」のイントロが流れ、大歓声に包まれるドーム。しかし出てきたのは、なんとメンバーに扮装した偽物のGLAYだった! 戸惑う会場に追い打ちをかけるように、「FATSOUNDS」をなぜか3回連続で披露。「TWO BELL SILENCE」ではイントロが流れただけで大歓声が沸き、TAKURO、HISASHIのツインギターが会場中の耳を痺れさせる。「シキナ」では、興奮を表すような大きな手拍子が会場中に響き、キーボードの繊細な音色がドームを包む。


 ここでTERUが「僕らの仲間を紹介します!」と発表すると、MISIAがサプライズ登場!「(GLAYのライブ)最高です!」と興奮した様子のMISIAと共に披露したのは、「YOUR SONG」。真っ白なドレスのMISIAとTERUのツインボーカルという、この日限りの贅沢なステージは、カラフルなライトに彩られ、まるでパーティーのようだ。


 ファンがスマホでメンバーを撮影する「GLAY DEMOCRACY Photo 3D」と休憩を挟み、後半戦へ。前日はファン投票で選ばれたベスト3を披露したが、この日は“悪いGLAY”だけに、ワースト3の楽曲を披露するという鬼畜っぷり。「SMILE」では、スクリーンには過去のライブ映像やファンの笑顔が流れ、ノスタルジックな曲調と相まって胸にグッとくるものを感じた。つづく「Time for Christmas」では、JIROがサンタ帽をかぶった愛らしい姿を披露。さらに、JIROの真上だけに紙吹雪が舞い、会場は爆笑の渦へ。ワースト1に選ばれてしまった「WHY DON’T WE MAKE YOU HAPPY」では、ランキング結果が超高速でスクリーンに流れ、さらに笑いを誘う。「もっとみんなの悪い部分を引きだしていきたいと思います」とTERUがニヤリと笑い、「JUST FINE」「ピーク果てしなく ソウル限りなく」へ。爆音と共に、アリーナ席に色とりどりの巨大バルーンが出現する。「心にいつも微笑むのは……もちろん、愛すべき皆だ!」と歌詞になぞらえてTERUが叫ぶと、悲鳴のような歓声が。そして、「coyote,colored darkness」「彼女の“Modern…”」「XYZ」で本編を締めくくった。


 アンコールでは、GLAYの悪ノリがさらに炸裂。赤ちょうちんの屋台がステージ現れ、TERUがアコギ片手に登場。どうやら流しのギター弾きのようだ。おもむろに披露したのは、名曲「HOWEVER」。残りのメンバーは屋台の前でお酒を片手に盛り上がり、一番良いサビでギターケースにおひねりを入れる。自身最大ともいえるヒット曲をこんな形で披露するとは、さすがは悪いGLAYだ……。そして、オープニングで聴き損ねた「誘惑」をようやくフルで披露。一度お預けを食らっただけに、いつも以上に会場はヒートアップした。「みんなが夢を見てくれることが、俺たちの夢だ!」とTERUが叫び、ラストの「BEAUTIFUL DREAMER」へ。曲が終わると、夜空に花火がいくつも打ちあがり、25周年のドーム公演の最後に花を添えた。


 2日間を通して感じたのは、GLAYからファンへ、またファンからGLAYへの愛の深さ。2日目のMCでTERUが語った「皆さんの笑顔と声があれば、この先30年、40年とやっていけると思う」という言葉は、きっと実現するだろう。そう確信する2日間だった。(南 明歩)


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