「桜を見る会」名簿めぐり安倍政権がまた違法行為! 今度は省庁提出の推薦者名簿を“改ざん”、首相枠を意味する記載を白塗り加工

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2020年01月16日 19:10  リテラ

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リテラ

首相官邸HPより

 カジノ汚職での秋元司議員の再逮捕に、公選法違反疑惑の河井案里参院議員・河井克行前法相の事務所への家宅捜索──。安倍政権の膿がくっきりと浮き彫りになる最中、「桜を見る会」をめぐっても深刻な事実が判明した。森友決裁文書改ざんという国家的大犯罪を引き起こしたというのに、なんと、またしても公文書を加工・改ざんしていたのだ。



 安倍内閣が改ざんしていたことがわかった公文書は、2019年の「桜を見る会」について各省庁など23機関が保管していた約4000人分の推薦者名簿。周知のように、「桜を見る会」の「首相枠」や「与党枠」など政治絡みの推薦者名簿は、内閣府・内閣官房がすでに廃棄したと説明している。だが、それとは別に各省庁ごとに作成した推薦者名簿については、多くの省庁が保存期間1年以上としていたため残っており、昨年11月22日に参院予算委員会の理事懇談会に提出された。



 今回、この国会に提出された省庁の推薦者名簿に改ざんが見つかったのだ。1名の推薦された者について、「推薦部局」の項目に「首相枠」を意味する「閣総」という記載があったのに、白く加工して消していたのだという。東京新聞が情報公開請求によってこの事実を掴み、11日付でスクープした。



 もう少し詳しく解説しよう。まず、国会に提出された該当箇所は、推薦者の「受付票番号」や「氏」「名」、「役職名1」などの欄は黒塗りの加工が施されていたが、「推薦部局」は白の空欄になっていた。これを普通に見れば、黒塗りは情報が隠された部分で、白の空欄部分はもとから何も記載されていないものだと認識する。



 つまり、「白塗り」することで、情報を隠していることさえわからないように加工して名簿を国会に提出していたのである。これは情報の隠蔽などではない、完全に「改ざん」だ。



 しかも、もとの文書では、「閣総」「内閣官房内閣総務官室総理大臣官邸事務所」と記載されていた。「閣総」とは「内閣官房内閣総務官室」を示し、「総理大臣官邸事務所」は閣総の一部局だ。ようするに、この1名はすでに名簿が廃棄された「首相枠」で推薦された人物だった。その事実を、白塗りで「改ざん」し、隠そうとしたのだ。



 いったいなぜ、名簿の改ざんをしてまでこの事実を隠そうとしたのか。よほど「首相枠」だとバレてはまずい「ヤバい」人物なのか。それとも、廃棄したと言い張っている「首相枠」の名簿が、実際にはまだ残っていることがバレるのを恐れたのか。



 もうひとつ指摘されているのが、菅義偉官房長官および内閣官房の国会答弁との関係だ。菅房長官はこの名簿が国会に提出される5日前の昨年11月27日におこなわれた参院本会議で、「内閣総務官室」が取りまとめた名簿は廃棄されたと答弁。同様に2日前の衆院内閣委員会でも内閣官房の大西証史審議官が「(内閣総務官室の推薦リストは)残っていない」と答弁していた。ようするに、これらの答弁と整合性をとるために名簿を「改ざん」した可能性があるのだ。



 内閣府は、この改ざんされた1名について、官邸事務所の依頼を受けて内閣府人事課の枠で推薦したとし、「官邸事務所の推薦枠だと誤解を受けかねないと判断して、国会提出資料を用意する際に白く塗りつぶした」(毎日新聞15日付)などと釈明しているが、それが本当だったとしたら国会提出時に「最終的には人事課枠になった」と説明すればいいだけの話。それをせず、名簿を改ざんまでして事実を隠そうとしたということは、やはり不都合な事実があるのではないか──。



 しかも、今回はたまたま東京新聞が情報公開請求をしたことで「白く消した」ことがわかったが、こうした加工は気づかれていないだけで、他にも山ほどある可能性がある。



●菅官房長官が名簿不記載で「民主党時代の2011年と2012年のやり方引き継いだ」と言い訳…両年とも「桜を見る会」は中止



 ともかく、都合の悪いことはなんでも隠蔽・改ざんするという安倍政権の実態がまたしてもはっきりしたわけだが、自殺者まで出した森友改ざん問題の反省はおろか、性懲りもなく再び公文書を改ざんしたというのに、菅官房長官は14日午前の会見で「極めて不適切な対応」と事実を認めながらも「改ざん」ではなく「消した」と表現。15日午前の会見では、記者から「改ざんにあたるかどうかの長官の認識は」と質問されても「具体的に承知していない」と逃げ、さらに同日午後の会見でも同様の質問を投げかけられたが、「これは、あの、何と言うかは別として」などとごまかし、結局「不適切な行為」「不適切な対応」と言うだけだった。



 繰り返すが、記載されていた文言を隠すのではなく消すという行為は、れっきとした「改ざん」だ。そして、森友公文書改ざんと同じで、官僚が勝手に改ざんをするなんてことは有り得ず、上からの指示、つまりは安倍官邸から改ざんの指示があったのは確実だ。だからこそ、「何と言うかは別として」などと下手なごまかしに終始しているのである。



 にもかかわらず、本日おこなわれた参院予算委員会の理事懇談会では、内閣府の大塚幸寛官房長が、名簿を改ざんしたのは人事課長ら幹部2人だったと報告。森友改ざん問題のときと同じで、またしても現場に責任をなすりつけようとしているのだ。



 しかも呆れるのは、先週しぶしぶ違法であることを認めた招待者名簿の管理問題だ。菅官房長官は10日の会見で2013〜17年度の招待者名簿が行政文書ファイル管理簿にも廃棄簿にも記載せず、さらに廃棄前に義務づけられている首相の同意手続きもなかったことについて「公文書管理法の関連規定、内閣府の文書管理規則に違反する対応だった」と認めたが、連休明けの14日になると、こんなことを言い出したのだ。



「平成23年(2011年)と24年(2012年)に記載すべきことを記載していなかったわけです。民主党政権ですけど。ですから、それを引き継いでいたということだと思います」



 民主党政権時の招待者名簿も管理簿や廃棄簿に記載されていなかったから、それを安倍政権も引き継いだ……って、そんなバカな話があるか。すでに指摘されているが、2011年は東日本大震災、2012年は北朝鮮のミサイル発射予告を理由に「桜を見る会」を中止にしている。野党合同ヒアリングでは内閣府の酒田元洋・官房総務課長も「招待者名簿というかたちで最終版というかたちにはなっていない」と述べていたが、最終的に完成しなかった招待者名簿の管理を持ち出して「民主党政権も記載してなかったからそれを引き継いだ」などと責任をなすりつけるとは、「民主党ガー」は安倍官邸のお家芸とはいえ、もはや呆れ返るほかない。



 しかも、民主党政権時に「桜を見る会」が唯一開催された2010年の招待者名簿は、管理簿にも廃棄簿にも記載されている。引き継ぐというのであれば、「桜を見る会」がきちんと開催された2010年の管理を引き継ぐのが普通だ。ようするに、「桜を見る会」を開催しながら招待者名簿を適切に管理せず違法行為をおこなったのは、2013年の安倍政権時からのことなのだ。



●違法認め、再調査の姿勢を見せた菅官房長官が一転した背景に安倍首相周辺からの指示



「桜を見る会」を私物化してきた安倍政権が違法行為まではたらいていたことが事実として判明したのに、居直るばかりの菅官房長官……。その上、菅官房長官の説明・対応には、あきらかに不自然さがある。



 というのも、招待者名簿管理の違法性を認めた際は「事務的な記載漏れ」だと言っていたのに、連休を挟むと唐突に民主党政権時のことを持ち出し「漫然と前政権を踏襲した」と説明を変更。また、14日午前の会見では、招待者名簿について「調査をするのか」という質問に「対応している」と発言し、再調査をおこなう姿勢を見せたと報じられた。ところが一転、午後の会見では「再調査は考えていない」と否定したのだ。



 じつは14日午前の会見で再調査を匂わせた発言のあとも、〈その後の取材でも政権幹部が再調査に肯定的な見解を示していた〉(朝日新聞デジタル14日付)というが、それが数時間でひっくり返された。民主党政権に責任転嫁する説明に一変したことといい、安倍首相周辺から指示があったのではないか。



 実際、この招待者名簿の違法管理問題は、来週からの通常国会で安倍首相が確実に矢面に立たされることになる。安倍首相は昨年12月2日の参院本会議で「内閣府はあらかじめ定められた手続きにのっとって招待者名簿を廃棄している」と、事実に反した虚偽の答弁をおこなっていたからだ。



 再びの公文書改ざんに、違法な管理を隠した虚偽答弁問題……。こうした重大な事実が次々に判明しているというのに、こうした問題をほとんどのワイドショーがスルーしている。だが、このままフェードアウトさせるわけにはいかない。元副大臣のカジノ汚職や前大臣の公選法違反疑惑も含め、通常国会は安倍政権の膿を徹底的に暴き出す場とし、メディアも無視できない状況をつくり出す必要がある。

(編集部)


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