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東京メトロの子会社で売店などを運営するメトロコマースの元契約社員の女性らが、正社員には支給されている退職金の支払いを求めていた訴訟で、最高裁第三小法廷(林景一裁判長)は10月13日、二審・東京高裁判決を変更し、労働者側敗訴の判決を言い渡した。
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裁判の争点は、 有期雇用であることを理由とする不合理な格差を禁じた「旧労働契約法20条」。二審では、退職金の支給をまったく認めないのは不合理だとして、正社員基準の4分の1を認めていた。
判決後、原告の加納一美さんと疋田節子さんが会見した。2人はともに約10年勤めていた。
加納さんは「裁判官は、経営者側の方を見ていて、非正規労働者を見ていない」。疋田さんは「同じ仕事をして、(二審で認められた)退職金の4分の1すら認められないなんて、本当に悲しい」と憤りを語った。
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メトロコマース社の売店では、正社員と契約社員がそれぞれ運営に携わっていた。
最高裁判決は、まず同社の退職金制度について、正社員としての職務を遂行しえる人材の確保や定着などのためのものと判断した。
そのうえで、正社員と契約社員の業務は「おおむね共通する」としつつも、正社員はエリアマネージャー業務に従事することもあったなどとして、「職務の内容に一定の相違があったことは否定できない」と判示。また、正社員には配置転換の可能性もあったことを指摘している。
このほか、売店業務の正社員が少数で、ほかの正社員と職務の内容や配置の変更の範囲に差があったこと、試験による契約社員から正社員などへの登用制度があったことも踏まえ、契約社員の退職金ゼロは「不合理であるとまで評価することができるものとはいえない」とした。
また、林景一裁判官と林道晴裁判官は、退職金制度を持続的に運用していくためには、原資を長期的に積み立てる必要などがあるとして、退職金については使用者の裁量の余地が大きいとする補足意見を付した。
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なお、判決は全員一致ではなく、5人の裁判官のうち宇賀克也裁判官が反対意見を投じた。
宇賀裁判官は、メトロコマース社においては、契約社員の方が正社員より長期間勤めることが珍しくないと指摘。さらに業務の内容や配置転換等についても、「大きな相違はない」と評価し、使用者・労働者双方の上告を棄却し、原審を維持すべきだったとの見解を示している。
労契法20条は現在、パートタイム・有期雇用法8条・9条に引き継がれている。しかし、賞与などと違って、厚労省のガイドラインも含めて、退職金については具体的な言及がない。
判決について、女性側弁護団の井上幸夫弁護士は、「今回は労契法20条という、古い法律についての判断。新しい法律のもとでどうなるか」と述べ、一般化できるものではないと強調した。
一方で、「長年勤務していたという事案で、退職金なしが不合理ではないとした影響」を懸念しているとして、「裁判所の考え方が前近代的。裁判官の発想の切り替えを求めたい」とも話していた。
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