高飛び込みで金&銅獲得のトム・デイリー、ロシア番組での誹謗中傷に屈せず「カミングアウトしたことを誇りに思う」

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2021年08月08日 11:51  Techinsight Japan

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東京五輪で2個目のメダルを手にしたトム・デイリー選手(画像は『Tom Daley 2021年8月7日付Instagram「MY TWO MOODS…MY 4th OLYMPIC MEDAL!」』のスクリーンショット)
東京オリンピックの男子10m高飛び込みで銅メダルを獲得した英国代表のトム・デイリー選手が「(LGBTQ+を)公言するアスリート達の姿を見て、人々が孤独ではないと感じなくなることを願う」と伝えた。トムをはじめとするLGBTQ+の選手達は、ロシアのテレビ放送で同性愛嫌悪や誹謗中傷のターゲットになっていた。

7日に銅メダルを手にしたトム・デイリー選手は、7月26日の男子シンクロ高飛び込み決勝でペアのマティ・リー選手と共に金メダルを獲得している。トムは金メダル獲得後の記者会見で自身がゲイであることについて語り、「どんなことでも成し遂げられる」と若い世代のLGBTQ+に向けて励ましの言葉を送っていた。

スポーツサイト『Outsports』の分析によると、今大会ではLGBTQ+を公言するアスリートの参加が180名以上と過去最多を記録したという。ニュージーランド代表のローレル・ハバード選手が、オリンピック初のトランスジェンダーとして女子重量挙げに出場したことも話題になった。

しかしロシア国営テレビ局による番組では同性愛嫌悪のコメントが急増、ロシア議会議員であるパネリストやゲストがLGBTQ+のオリンピック選手達を「汚物」「変態」「サイコパス」などと中傷する場面が放送された。

英『BBC』によると、ロシアの放送局『Russia 1』ではトム選手を「イギリス人の同性愛者」と紹介するなど、主にトム選手とローレル選手を誹謗中傷のターゲットにしていたという。

これに対し国際オリンピック委員会は、『Russia 1』が放送したLGBTQ+アスリートに対する誹謗中傷コメントについて調査を開始したと発表した。

トム選手は7日に銅メダルを手にした後、ロシアのテレビの件について聞かれた。すると「全く知らなかった。オリンピックの会場にいると、なんだかバブルの中にいるようで何も見えないんだ」と言い、このように続けた。

「歴史を振り返ると、社会のすべてがストレートの白人男性の経験に基づいて決定されている。僕らが一丸となって異なる視点を使えば、世界はより良い場所になるだろう。だけどそれはまだまだ先の話。今回オリンピックに出場したうちの10か国では、LGBTであることが死刑の対象となっている。」

夫で米国人脚本家ダスティン・ランス・ブラック氏との間に代理母でもうけた息子ロビーくん(3)を育てているトムは、「チームGBの代表として、夫と息子のいる僕が飛び込み台に立つことができ、何の影響も心配しないで済むというのは、非常に幸運なことだと思う」と述べた。

「世界には恵まれない環境で育った人々が沢山いる。(LGBTQ+を)公言する人達がさまざまなスポーツで活躍している姿を見ることで、人々が孤独ではなく、自分は大切にされていて、何かを成し遂げることができると感じてもらえることを願っている。」

2013年にカミングアウトしたトムは、自身の経験とその後の心情についてこう明かした。

「カミングアウトしてオープンに話すことはとても大変なこと。特にスポーツの世界ではファンがあまり受け入れてくれず、人によってはかなりの不安と恐怖を感じるかもしれない。自分らしく生きることが、世界中の人々にどれほどの影響を与えるのか、僕は気付かなかった。このことをとても誇りに思っている。」

画像は『Tom Daley 2021年8月7日付Instagram「MY TWO MOODS…MY 4th OLYMPIC MEDAL!」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)

このニュースに関するつぶやき

  • かっこいい! 広くカミングアウトする人は、理不尽なリスクを覚悟の上でやっているからね。にしても国営放送ねえ。独裁的な国ほど、LGBTQIA+を憎むからなあ。
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