『三省堂 国語辞典』が8年ぶりの改訂となり、「スッチー」「テレカ」「トラバーユ」「パソコン通信」「ピッチ」「プロフ」「MD」「携番」「伝言ダイヤル」など、約1100語が削除されることになった。
SNS上では「全然わからん」というツイートが話題を呼んだ。確かに、今では使う機会のない言葉たちだが、こういうのが「すでに伝わらないのか」と思うと戦慄する。案の定ツイートには「全部わかる」「懐かしい」と驚く声も出ていた。(文:昼間たかし)
この8年で確かに使ったことない
ただ、覚えている人が懐かしくても、使われなくなった言葉は消えていく。90年代に一世を風靡した「コギャル」も今回の改訂で消滅。90年代ファッションが再流行しても、コギャルという言葉は復活しないだろう。
同じく「携帯メール」「赤外線通信」といった言葉も外れた。確かに、その機能自体「ああ、ガラケーの時に使っていたな」という遙か昔の思い出である。
数ある国語辞典の中で『三省堂国語辞典』は1960年の初版以来、新聞や雑誌、近年ではネットなどで用いられている新語を拾い集めているのが特徴だ。
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例えば2001年の改訂では「学級崩壊」「ぼったくり」「不適切」「キレる」「リベンジ」という言葉を初めて収録している。収録される言葉の条件には「言葉として定着し今後も使い続けられる」ことがある。なるほど「学級崩壊」や「キレる」といった表現は現在も使われている。
ところで「ぼったくり」なんて、もっと以前からある言葉なのでは? と思ったら、これは品のよくない俗語ということで、長らく収録が見送られてきた言葉だそう。2001年になって東京都で「ぼったくり防止条例」が誕生したことを受けて、ようやく採録されたようだ。
一方で、この2001年改訂では、キスを「A」妊娠を「D」というような隠語も「大学生がだれも使わなくなった」と削除されている。辞書は現実をうつす「かがみ」ということらしい。
過去に消えた言葉はもはや意味不明
第2版以降、『三省堂国語辞典』から消えていった言葉には次のようなものがある。
2版(1974年) 溜め桶 タレット旋盤 愛児 マニファクチャー
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3版(1982年) サンドイッチマン テクニカラー 肺尖カタル 優生学 ライカ判
4版(1992年) 白葡萄酒 瀬戸引き ビデカセ ラテカセ 藁婚式
5版(2001年) アミノピリン 公労委 遊飲税 ワリチョー
6版(2008年) セーリングポイント 女ドラ レクる
(『朝日新聞』2008年3月30日付朝刊などをもとに作成)
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なるほど、あまり馴染みの無い、もう使わない言葉が並んでいる。全然わからないものもある。
今年の改訂で追加された言葉には「一周回って」「犬笛」「遠慮のかたまり」「わちゃわちゃ」「マリトッツォ」「ソーシャルディスタンス」「身バレ」など3500語があるようだが、さて10年後にはどうなっていることやら……。