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「人を殴るのは、悪いこと。大の大人に、言うことじゃないよな。」
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「手が出たのは、酔っていたから? 酔った自分も、自分じゃないのかい。」
駅員に扮した俳優・藤岡弘、さんが険しい表情で訴えかける――。今年、全国の駅構内に掲示された鉄道係員らへの暴力行為防止を目的としたポスターだ。迫力ある表情とメッセージがひと目をさらう。ツイッター上でも「圧が凄い」と評判のようだ。
駅係員や乗務員が、客から暴力をふるわれることは珍しくない。安全運行を妨げるものとして集計されており、2019年度には全国で611件の暴力行為が確認されている。近年減少傾向にあるものの、国交省は「依然として高止まり」と受け止めている。
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この611件のうち、加害者の飲酒がわかっているのは63%。酔客からの暴行については、具体的には次のような事例が報告されている。
「最終電車が出た後に改札を入場しようとした乗客が、電車が無いことに激高。乗客は駅係員に暴力を振い、駅係員が警察を要請。加害者は警察に連行された」
鉄道やバスなどの労働組合でつくる「交運労協」は12月10日に記者会見を開き、鉄道係員のうち52.4%が、利用客からの暴言や暴行といった「カスタマーハラスメント(カスハラ)」被害にあっているなどとする調査結果を発表した。
特に暴力行為については、鉄道の労働組合も毅然とした対応を取るよう努めてきたという。ただ、必ずしも抑止効果につながらない現実もあるようだ。
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コロナ禍では人流や飲酒の機会が減り、暴力行為自体は減っている。とはいえ、迷惑客は予想外に多いらしい。
福田氏によると、飲食店の営業が少ないにもかかわらず、報告を受けた暴力行為の件数は「決して低い数字ではない」のだという。
今年は、8月の小田急線を皮切りに、九州新幹線や京王線で無差別事件も起きている。働く人の安心安全は、乗客の安心安全にもつながる。交通機関での暴力防止は急務だ。
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