発達障害に対する認識が少しずつ広がり、多くの情報が簡単に手に入るようになってきたと思いませんか? しかしその陰で、家族や自分自身、周囲の人が「もしかして発達障害では?」と思い悩むことも増えているのかもしれません。
『実母が発達障害かもしれないと思うんです』苦しそうに実母についての悩みを打ち明ける投稿者さん。相手の気持ちを考えない行動の数々やすぐキレる、こだわりが強く曲げられない……。幼い頃から大人になった今も続く実母の言動や振る舞いに、発達障害ではないかと考えはじめたようです。
発達障害は概して、せっかちでいらいらしてしまうことがよくある、こだわりが強く突発的な出来事や予定の変更への対応が苦手、思っていることをうまく伝えられないなどの症状が挙げられます。大人にもこれらの症状が見られる場合があるために、投稿者さんも不安に感じているようですね。
もし自分の周りの親しい人が、発達障害かもしれないと思ったら、その人の態度や言葉で傷つくことになったら……。みなさんはどうしますか?
参考:国立障害者リハビリテーションセンター|各障害の定義、国土交通省ウェブサイト|発達障害、知的障害、精神障害のある方とのコミュニケーションハンドブック
実母が発達障害かもしれない
『実母は少しでも自分の決まりから周りがズレると、必ずこじらせて人を不快にさせます。人の気持ちがわからないから、周囲に拒否されてもニヤニヤしながら平気で近寄って来るんですよね。投稿者さんが話すように、大人の発達障害は幼少期などに見逃されがちだと筆者も聞くことがあります。見逃されてしまい適切な支援を受けられないまま大人になってしまい、自覚がなかったり周囲に迷惑をかけてしまったりすることなども起こり得るようです。
たとえば自分のなかで「5」でやりたいと思い込むと、「6」だろうが「4」だろうが決して曲げません。法律的にダメでも、周りがどれだけ困っていても曲げることはないんです。気に入らないことがあると24時間昼夜問わず、怒鳴り散らすので疲弊してしまいます……。
この世代の人って発達障害についてなんの支援も受けてきていなくてキツイ。脳の作りが違うのか、この地球上のルールとはズレた世界に住んでいる人に思えます。話も通じないし、宇宙人みたい。
父と姉夫婦は本当にいい人だから実家に会いに行きたいんですが……。苦しくて、ツラくて、悲しい』
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同じツラさを経験したママからの共感の声
『投稿者さん、本当にツラかったね。昔は今ほど発達障害なんて認知されていないから、周りが振り回されるんだよね。自分の価値観で周りを振り回してくるし、少しでも他人からの助言が入ると火がついたように怒り狂う。もう諦めというか感情をオフにしないと付き合いきれない。こちらが病むっていうか、もう病んでいる。本当にエネルギーが奪われるよね……』
『うちの実母も発達障害、学習障害かもなぁって思う。理解力がなくて話が通じないし、計算もあんまりできないんだよね。部屋の片付けも苦手だったしさ。だから対外的なことはずっと父がやっていた』
『うちの実母も多分発達障害じゃないかと思う。いろいろなところでトラブルを起こすし、交通事故も多い。1人目出産のときに里帰りをしたけど、まったく何も手伝ってくれなかった。結局1週間で自宅に戻ったわ。でも仕事する能力だけはあったみたいで、定年まで働いていた。おかげで今は年金生活でお金だけはあるのでそれだけが救い。私はもう何も期待しない』投稿者さんと同じように、実母の今までの言動などから、発達障害ではないかと疑っているママたちからコメントが寄せられました。投稿者さんと同じように、相手の行動に心を痛め、疲弊してきていることがよくわかります。
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悲しいけれど自分の心を守るため、実母との距離を取る
『距離を広めに取るしか方法はないと思います』
『早く縁を切ればいいと思うよ。本人は自分のことをわかっていないと思うけど、つきあわされているこちらの心が壊れそうになるよ……』ママたちが心配しているのは、投稿者さんの心のようです。実父や姉夫婦に会いたい気持ちはわかるけれど、これ以上実母の近くにいると本当に心が壊れてしまいかねないと考えたのでしょう。とにかく実母と距離を取ること、縁を切ることなどのアドバイスが目立ちました。
諦めず医療機関や専門機関につなげる
『お母さん、一度病院に連れていきなよ』
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『診断が出てから知的障害とか発達障害と言ったほうがいいよ。周りの発達障害や知的障害の方は、診断が出た上で向き合っている。決めつけはよくないよ』発達障害などに関する情報があちこちで簡単に手に入る時代だからこそ、氾濫する玉石混交の情報に惑わされないことの大切さもママたちは話してくれています。
高齢のご家族ですから納得させることが難しいかもしれませんが、思い切って医療機関や専門機関につながることを勧める声もありました。
『うちの義母は最近わかったよ。「キツいわー」ってずっと苦しめられてきたから「合点!」って感じだった。だからって今までのことを許せるわけではないけどね。だけどこれからは、もう苦しまなくてもいいんだってわかったから少し楽かな』高齢の親が、今さら発達障害などの診断を受けたところで何が変わるのだろうと思うかもしれません。病院へ連れて行くだけでも困難を極めるかもしれないため、とても難しいことだと筆者も思います。
しかしママの声にもあるように、診断を受けて結果を知ることで、割り切れるきっかけになる可能性もあるんですよね。もちろん今までの言動や仕打ちの数々を忘れることも許すこともできないかもしれませんが、少しでも心が、気持ちが軽くなるのであれば、何もしないよりはいいのかもしれません。
もし相談する場合は、発達障害者への支援を総合的に行う専門的機関である発達障害者支援センターなどがあります。まずはお住まいの地域を担当する発達障害者支援センターに問い合わせてみてはいかがでしょうか。
参考:国立障害者リハビリテーションセンター|発達障害者支援センター・一覧
心が疲弊してしまうのであればまずは距離を取ってもいい
ママたちの声にあるように、今はこれ以上自分の心を疲弊させないために、相手との距離を置くことが大切なのかもしれません。
誰にも話せないツラい思いは、ママスタコミュニティのような掲示板で吐き出してみてはいかがでしょう。誰かに聞いてもらえることで、少しでも気持ちが軽くなるかもしれませんし、共感してくれる人が1人でもいれば、心が楽になるかもしれません。
行動できるのであれば専門機関につなげることも可能です。しかし現状がつらいのであればあまりムリはせず、穏やかな日々を送れるように、距離を取ることからはじめてみてはいかがでしょう。
文・櫻宮ヨウ 編集・山内ウェンディ イラスト・マメ美