校長先生からお話を聞いたあと、担任の先生からも今回の事態についての説明がありました。いたたまれない気持ちで、何度も頭を下げて学校を出ました。
息子には怒りの気持ちでいっぱいでしたが、なんと言っていいかわかりません。息子も私の感情を察してか、何も話しませんでした。2人とも無言で帰宅します。そしてしばらく後、リビングにいるヤマトに静かに声をかけます。
ヤマトはしどろもどろになりながらも、事態を説明します。おおむね校長先生から聞いた内容と同じでした。「女性の気持ちをものすごく傷つけたんだよ。絶対やってはいけないことをしたのよ。いくら反省しても足りないような悪いことだから!」私がそう叱っても、ヤマトはいまいち自分がしたことの重さを理解していないように見えました。
「実習生さんが学校の先生になりたくて、勉強のために小学校に来ているのはわかるよね?」
「でも小学校に行くたびに心を傷つけられたら、学校の先生になりたいって思う?」「思わない……かも」「そうだよ。思わなくなっているから大学を休んでいるんじゃないの? ヤマトはお姉さんの夢をつぶしたかもしれないんだよ」
ヤマトはようやく事態の重大さに気づきはじめたように見えます。
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「ちゃんと自分のやったことに向き合いなさい。お母さんや先生に言いにくいなら、スクールカウンセラーの先生と話して」「いいよ、カウンセリングなんて」いつも友達グループのなかではリーダー的な立ち位置の息子。カウンセリングルームは弱い子どもが助けてもらう場所で、強い自分が行く場所ではないと思いこんでいるようです。
「カウンセリングなんてかっこ悪い」ヤマトの情けない言葉を聞いて、私は怒りをおさえきれません。けれど小学6年生でこんな悪質な問題を起こしてしまうなんて……。これから私はどうヤマトに接するべきなのか、途方に暮れてしまいました。でもまずは実習生さんに謝罪することが先決です。私は徹底的にヤマト自身の問題と向き合わなければいけない、と決心したのでした。
【第3話】へ続く。
原案・編集部 脚本・rollingdell 作画・うーにゃ 編集・井伊テレ子