年金世代「50万円の壁」見直しへ シニア世代の働き控え解消目的も…現役世代の年金給付額減少に懸念の声【news23】

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2024年11月22日 12:40  TBS NEWS DIG

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働きながら年金を受け取る高齢者が月に50万円を超えると年金額が減る仕組み「在職老齢年金」制度。「年金の壁」とも言われるこの制度を国は見直す方向で検討しています。“高齢者の働く意欲向上”になる一方、現役世代への影響を懸念する声も…

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87歳「年金だけではやっていけない」 見直し検討「50万円の壁」

藤森祥平キャスター:
「年金の壁」は全ての世代にかかわることです。今、働きながら年金を受け取る高齢者は、月の収入が50万円を超えると、受け取る年金額が減るという仕組みになっています。

国は「年金の壁」を見直す方向で検討していて、現役世代への影響を懸念する声も上がっています。

87歳 男性
「年金だけではやっていけないですよね。家内がやりくりしてくれているけど」

一定の収入がある高齢者の厚生年金を減らす在職老齢年金制度にも壁がありました。いわゆる「50万円の壁」です。

現在65歳以上で働いている人は、賃金と年金合わせて月額50万円を上回る場合に、超えた分の半分が減額となります。

高齢者の働く意欲を奪うとして、厚生労働省は制度の見直しを検討していて、50万円の基準額を引き上げる案と、制度を廃止する案が浮上しています。

73歳 男性
「年金受給額が増えるわけだから、どこの財源からその分を持ってくるのか。年寄りの、ある程度金のある人はいらないんじゃないの」

66歳 男性
「若い人の負担が増えている。原資には限りがあるから、(お金は)困っている人のところに行けばいいわけで」

制度を見直した場合、年金給付額は増加しますが、その影響は今現役で働いている世代に響いてきそうです。

野村総合研究所 木内登英 氏
「在職老齢年金の見直しについては、現役世代の人の負担、(収入が高い)現役世代により社会保険料を払ってもらうということもいま検討されています。現役世代で働いて必ずしも豊かではない人の保険料を引き上げて高齢者の給付の増加を支えてあげるというのが、必ずしも理解を得られないということもあると思う」

29歳 男性
「保険料高くなっちゃうのは嫌。しわ寄せが払ってる方、僕らに行くのは難しいなって思います」

30代 女性
「仕方ないとは思いつつも…胸が痛いところではありますね。できれば働いてる人たちの負担が増えないようにしてほしい」

年金世代の働き控えを招く「50万円の壁」

藤森キャスター:
高齢者の働く意欲を奪っているとも言われている「年金50万円の壁」、具体例を見てみましょう。

働いている高齢者でひと月に賃金を40万円、厚生年金を20万円も受け取っている場合、合わせて月額60万円を受け取ることになり、「50万円の壁」を10万円超えていることになります。超えた分の半分にあたる5万円の厚生年金が支給されなくなるという形で年金財政が支えられてきたわけです。

働いても受け取る年金が減ってしまう仕組みが高齢者の働き控えを招いているということで、厚生労働省が見直しの検討を進めているということです。

小川彩佳キャスター:
「103万円の壁」は若者の働き控えの問題でしたが、「年金50万円の壁」は高齢者の働き控えの問題ということです。働く高齢者も増えているという中で、こうした制度を見直す必要性はどう考えますか。

教育経済学者 中室牧子:
結局のところ働き手が減っている問題です。次の30年で20%の生産年齢人口が減り、ありとあらゆる職場で5人に1人の人がいなくなるということが非常に大きな問題だと国は考えているので、何らかの形で働き手を増やしたい。そうすると、専業主婦、学生、それから高齢者ということで、壁が次々に議論されているということです。

「50万円の壁」見直しの影響 専門家「どうなるかわからない」

藤森キャスター:
壁を見直した場合、課題は財源です。

▼“年金の壁”見直した場合の給付額(厚労省の試算)
59万円の壁:年1800億円↑
65万円の壁:年2600億円↑
廃止:年4500億円↑

「50万円の壁」を59万円に引き上げた場合は、支払われる年金が新たに1800億円追加、65万円に引き上げた場合は年2600億円、壁そのものを廃止した場合は年4500億円増えるという試算もあります。

小川キャスター:
「50万円の壁」を見直した場合の影響はどうなるのでしょうか。

教育経済学者 中室牧子:
一言で言うと、「どうなるかわからない」というのが私の見方です。高齢者が働くとその分納税してもらえるので、増える部分もあるわけですが、当然財源が必要なので減る部分もある。どっちがどれくらい多いかによって、効果は変わってくると思います。

過去にも、実は老齢年金は何回か見直されてるので、そのときに労働供給を増やしたというエビデンスは確かにありますが、その大きさは研究によってまちまちで、はっきりわかりません。

なので今回も、例えば50万円を59万円に増やしたら何が起こるかは、はっきりとは予測できないので、今回しっかりとデータを取って、何が起こるかを見ないといけないと思います。もしかすると、全然労働供給が増えないかもしれません。

小川キャスター:
本当に壁が多すぎて、何か一つの改革が行われたときに、その次のひずみが生まれる可能性が生じてしまう。このまま補修を繰り返していいのかとも感じてしまいます。

教育経済学者 中室牧子:
それは重要な問題ですよね。やはり制度はシンプルにしないといけないと思います。

藤森キャスター:
年金システムそのものは、どの世代にも関わる問題です。この「50万円の壁」の見直しについて、厚生労働省は来週専門部会を開いて議論を行い、年末までには結論を出す見通しです。

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<プロフィール>
中室牧子さん
教育経済学者 著書「学力の経済学」など
教育をデータに基づいて分析

このニュースに関するつぶやき

  • 日本の現役世代の月収中央値が50あるわけない状況で何言ってるんだか・・・。中央値に合わせるなら月30に下げてもいいくらいだぞ。バブル世代の価値観色々変だ。
    • イイネ!13
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