アムロが途中で戦死!? 『ジークアクス』とも関連する小説版『機動戦士ガンダム』の衝撃

114

2025年07月12日 08:00  リアルサウンド

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

リアルサウンド

機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)公式Xより@G_GQuuuuuuX

 スタジオカラー×サンライズによる異色作として、大きな話題を呼んだ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』(以下、ジークアクス)。同作はTVアニメ『機動戦士ガンダム』(以下、ファースト)を設定の下敷きとしていたが、ほかにもさまざまな関連作品が元ネタとなっている。その1つが、富野由悠季による小説版『機動戦士ガンダム』だ。


 今回は『ジークアクス』の元ネタとなった部分も含めて、その意外な設定の数々について振り返ってみたい。


 小説版『機動戦士ガンダム』は1979年から1981年にかけて刊行されたもの。アムロ・レイを主人公として、地球連邦とジオン公国による一年戦争を描いたストーリーだが、『ファースト』とはさまざまな点で設定が異なっている。


 まず『ジークアクス』との関連でいえば、シャリア・ブル大尉の扱いは要注目だ。『ファースト』では“木星帰りの男”として第39話に登場するも、アムロに撃墜されてたった1話で退場していったキャラクターだが、小説版ではかなり存在感が強くなっている。


 ギレンの特命を受けてキシリア麾下のニュータイプ部隊に加わる展開は同様だが、そこでシャアとの絆を深めることに。シャアはシャリアを自分以上の腕前とも評し、信頼に足る相棒のような関係を築くのだった。さらにシャリアは、アムロに同盟を持ち掛けるという重要な役目まで担っている。


 またシャアに関しても、驚くべき展開が次々と描かれる。そもそもシャアは士官学校時代からガルマ・ザビと親交を結んでいたが、その内心にはつねにザビ家への復讐心があった。そしてホワイトベースが地球に降りた際、戦闘中にガルマが死去するように策謀を巡らせる……というのが『ファースト』での展開だ。


 ところが小説版のシャアは復讐心を友情が凌駕しており、あろうことかガルマを助けるために自ら出陣。ザビ家への恨みが胸の内によぎるものの、ガルマが撃墜されそうになっている姿を見て絶叫するのだった。


 さらにガルマの「ジオン公国に栄光あれ!」という最期の言葉を聞くと、「……お坊ちゃんらしいよ」と呟き、士官学校の頃を思い出しながらしばし感傷にひたる。その後、ガルマの追悼演説に触れて「坊やだからさ」と呟く場面もあるものの、同じセリフでありながら『ファースト』よりずっと素直でやさしい言葉のように響く。


セイラさんと結ばれる!?『小説版アムロ』

 そして小説版『機動戦士ガンダム』では、アムロがたどる運命も激変している。そもそも物語の始めから『ファースト』と設定が違っており、アムロは成り行きでガンダムに乗り込むのではなく、パイロット候補生として厳しい訓練を受けていたことになっている。そのためホワイトベースの一員として戦うようになった後も、民間人としての自意識と軍人扱いとのギャップで思い悩むような描写は出てこない。


 また、アムロはサイド7の図書館でたびたびセイラを見かけ、憧れを抱いていたという設定に。心の中で愛情をこめて「金髪さん」というあだ名をつけているところが描かれており、2巻ではついに肉体関係をもつに至る。


 ちなみに幼馴染みのフラウ・ボゥは民間人だったため、早々にホワイトベースから降りており、物語の大部分で出番を失っている。


 さらに極めつけは物語終盤の展開だ。アムロは戦場にてシャリアの接触を受け、自分たちと同盟を組んで一緒にザビ家を討ち取ってほしいと伝えられる。そしてシャリア撃墜後に自分の過ちに気づき、同盟を受け入れることに決めるのだが、その矢先にルロイ・ギリアムというジオン軍パイロットの狙撃によって死亡してしまう。


 言うまでもなくアムロは『ファースト』では無事に生還し、その後の『機動戦士Ζガンダム』や『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』にも登場しているため、まさに衝撃の展開だ。


 なお肉体を失ったアムロの意識は戦場を駆け巡り、シャアとブライト率いるホワイトベースの面々が同盟を組むきっかけとなる。そして彼らはギレンとキシリアを倒して一年戦争を終結に導くため、ある意味アムロが平和への架け橋になったとも言えるだろう。


 あらためて物語全体を『ファースト』と比べてみると、小説版はアムロとシャアの内面的な部分がよりストレートに描かれている。またシャアの過激な行動をアムロが阻止するという構図になっておらず、戦争を終わらせるという理想のために協力し合うという着地点がはっきりと提示されているのも印象的だ。


 物語をコンパクトにまとめている分だけ、富野監督のメッセージを濃密に感じられるのが小説版の大きな魅力。『ジークアクス』から『ガンダム』の世界に興味をもった人は、ぜひ触れてみてほしい。



このニュースに関するつぶやき

  • 第2巻でセイラと肉体関係を持つ?ゴム持ってんの?子供出来ちゃうだろう?🤔
    • イイネ!4
    • コメント 1件

つぶやき一覧へ(77件)

ランキングゲーム・アニメ

前日のランキングへ

ニュース設定