カフェ「K―port」で、客との写真撮影に応じる俳優の渡辺謙さん(中央)=20日午前、宮城県気仙沼市 東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県気仙沼市を支援しようと、俳優の渡辺謙さん(66)が2013年から運営してきたカフェ「K―port」が21日、閉店した。地元住民だけでなく、県外などからも多くの人が訪れる「心の港」として親しまれてきた。20日に取材に応じた渡辺さんは、自身の年齢を踏まえ「いったん閉店し、ぼくより若い世代でお店を継承してくれる人を探すことにした」と語った。
大震災直後から各地の避難所を回る中で、「皆が笑顔でおしゃべりできる場所を作りたい」と考え、漁港の目の前に店を構えた。2カ月に1回ほど店で接客するほか、ほぼ毎日、手書きのメッセージをファクスで送り続けた。
「1日5分間だけでも、気仙沼のことを考え、つながり続けていると伝えるため」という渡辺さん。「東北にも気仙沼にも大事なご縁ができた。それを切らすつもりはない」と強調し、今後も同市に足を運び続けるという。
21日に同店を訪れた同市の浅野浩成さん(62)は「こんなに良い店をつくって、10年以上も続けてくれて感謝の思いでいっぱいだ」と語った。

俳優の渡辺謙さんが運営していたカフェ「K―port」=20日午前、宮城県気仙沼市

俳優の渡辺謙さんの手書きメッセージ=21日午後、宮城県気仙沼市