「キャンプ用マット」は、寝心地はもちろん、持ち運びやすさや断熱性なども製品の良し悪しを左右します。今回は、マット選びに悩んでいる方に向けて、タイプ別の長所と短所、選び方について解説します。
●キャンプマットは大きく3つのタイプに分けられる
キャンプにおいて、就寝時の敷き布団に当たるのが「キャンプマット(スリーピングマット)」です。手入れの行き届いた芝生サイトでも、実は地面に微妙な凹凸があったり、小石などが隠れていることも。そうした不快な要素を和らげ、さらに地面からの冷気を軽減するのがキャンプマットの役割です。
一般的にキャンプマットは、「エアマット」「インフレータブルマット」「クローズドセルマット」の3タイプに大別されます。ここでは、各タイプの長所と短所について説明しましょう。
|
|
●携行性重視ならエアマット
エアマットは、その名のとおり浮き輪のように空気を注入するタイプのマットです。3タイプの中では収納時のボリュームが圧倒的にコンパクトですので、荷物をできるだけ少なくしたい、家の物置を圧迫したくないという人にはピッタリでしょう。
寝心地については、地面の凹凸をうまく緩和してくれる上に、空気の注入量で好みの硬さや厚さに調整することも可能です。これも他のタイプにはない長所と言えるでしょう。
短所は、膨らませるのにそれなりの時間と労力を必要とすることです。バルブから息を吹き込むタイプの場合、男性が頑張っても1〜2分はかかるでしょう。また、マットの一部が足踏み式のポンプになっている商品もありますが、これも要する時間としては同等レベルです。
最近はコンパクトで安価な電動ポンプが出回っており、これを使えば膨らませるのは容易ですが、作動音がかなり大きいのがネックです。
|
|
なお、エアマットは穴が開くと補修しない限り使えなくなりますが、よほど尖った石のあるサイトで寝たり、たき火の火の粉が飛んでこない限りは、そうした自体に陥りません。とはいえ、キャンプに出掛ける前には一度膨らませて、空気漏れがないか確認することをおすすめします。
●寝心地重視ならインフレータブルマット
インフレータブルマットは、エアマットの中にウレタンフォームが挿入されているタイプです。バルブを開くとウレタンフォームが形状を復元しようとし、その力で半自動的にマットが膨らむので、エアマットよりも設営は簡単です。
そして、何より魅力的なのは寝心地の良さ。適度な反発力はベッドのマットレスに近く、厚みが増すほど快眠度もアップします。
ネガティブな要素としては、収納時のボリュームが挙げられます。エアマットと比べるとその差は歴然で、寝心地を優先すればするほどボリュームと重さが増していきます。
|
|
何より面倒なのが収納作業です。ウレタンフォームを圧縮しながらマット内の空気を抜いていくので、それなりに腕力が必要です。狭いソロテントの中でこれを行うのは至難の業で、暖かい時期は朝から汗をかいてしまうほど。しっかり空気を抜かないと収納袋に入らない商品もありますので、キャンプの前に何度か練習するとよいでしょう。
●時短・軽さを重視するならクローズドセルマット
クローズドセルマットは、一般的にポリエチレンフォームで作られており、キャンプ場に着いたら広げるだけ、撤収はたたむだけ(丸めるだけ)なので、エアマットやインフレータブルマットと比べると、圧倒的に設営と撤収がスピーディーです。昔からある銀ロールマットもこれに属します。
折りたたみ型であれば、上を1段分折って枕にしたり、4つに折って座布団にしたりと、さまざまな使い方が可能です。収納サイズはインフレータブルマットよりも少し小さい程度ですが、軽さでは抜きん出ています。
寝心地はそれなりで、大きめの凹凸がダイレクトに感じられる傾向にありますが、エアマットのように穴開きによるトラブルはありません。加えて、縦走登山向けの高価な商品がありつつも、基本的に他の2タイプよりも安価という点は見逃せません。
●断熱性などもチェック!
以上、3タイプのキャンプマットの特徴について紹介しました。どのタイプが自分の使い方に合っていそうか、何となくイメージできたでしょうか。
最近では、断熱性の目安となるR値(熱抵抗値)を記載した商品が増えましたので、これを目安に選ぶのもよいでしょう。この数値が大きいほど断熱力が高まり、寒い時期に使うなら4.0以上が良いと言われています。あとは予算に応じて、じっくりと選んでください。