山善“コンセントに刺さない”家電 売上100億円を狙う新シリーズは成功なるか?

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2024年05月16日 08:11  ITmedia ビジネスオンライン

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シリーズはトレンドのくすみカラーで展開

 山善は5月13日、リチウムイオンバッテリーを活用する新家電カテゴリー「ELEIN(エレイン)」を発表した。コンセプトは「新しいバッテリーが人を自由にする」で、第1弾商品として16商品を用意。6月上旬から順次発売する。同社家庭機器事業部長の中山尚律氏によると、初年度の売り上げは5億円を見込んでいるという。


【画像】山善の”コードに刺さない”新家電(全8枚)


 ELEINのメイン商品は、同社初となるリチウムイオンバッテリー(想定価格1万2000円前後)。同シリーズの商品全てに共通して使用できるバッテリーで、PD20W/Type-C出力機能を搭載。モバイルバッテリーとしても使用が可能だ。


 リチウムイオンバッテリーの充電器(同3000円)も併せて販売する。同シリーズのバッテリーを、約2時間でフル充電できるという。


 バッテリー対応家電の第1弾として押し出すのは、コンパクトクーラー(同7万8000円)をはじめとした6商品。コンパクトクーラーは周囲温度差マイナス10度の冷風を放出。バッテリーを4個搭載すれば、最大2時間の使用が可能だ。トイレや脱衣所といった冷房がない屋内やアウトドアでの使用をはじめ、災害などによる停電時の使用を想定する。


 扇風機(同1万円)と工場扇(同1万3000円)は、電源のない屋外の作業現場や農業用のビニールハウスといった、現場仕事での需要を見込む。フル充電のバッテリーを使用すれば、扇風機は最大20時間、工場扇は最大44時間の使用が可能だ。


 その他、ワイヤレス充電機能を備えたポータブル電源(同7万2000〜22万円)や、接続して使用できるソーラーパネル(同2万〜3万1000円)、リュックなどに取り付けて充電するポータブルソーラーパネル(同4400〜5500円)を展開する。


●太陽光の活用を意図、海外展開も視野に


 山善がELEINの企画を立ち上げたのは約2年前。開発の背景として、中山氏は「太陽光エネルギーの活用」を挙げる。「電気代の高騰や環境意識の向上から、太陽光エネルギーの有効活用が求められている」ことを受け、企画が進んだ。


 そこで同社は、太陽光エネルギーとリチウムイオンバッテリーを組み合わせた家電を開発。昼間にバッテリーへ貯めた太陽光エネルギーを、夕方以降、家電で使用するサイクルを提案する。同社商品企画1部の村上幸輔氏は「これまでの家電開発で培った知見を生かし、バッテリーを使用したコードレス家電のラインアップ拡充を目指す」と話す。


 ELEINの初年度売り上げは5億円を見込んでおり、3年後には20億円を目標にする。商品ラインアップの拡充とともに、将来的には100億円の売り上げ達成を目指すという。


 同社はELEINについて、国内だけでなく海外での展開も視野に入れる。「通常の家電製品は、現地の電圧に対応する必要がある。しかし、バッテリーを使用する家電製品ならばそういった対応は不要だ。すでに販路や事業所を持つASEAN諸国のほか、電力インフラ不足が課題となっているアフリカ諸国での展開も目指したい」と意気込んだ。


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